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魔術師vs女帝

 翌日、闘技場に集結したNos.達の顔ぶれを確認する。

 現在発現が確認されているNos.は36人。そのうちの15人がこの闘技場に集まっているのだから凄い大会だ。


 Nos.1【アイギス】のサーヤ

 そして沙耶の相手を努めるのはNos.24【ライトニングウェポン】のマルアニス

 名前からして雷を操るNos.だと思うけど……事前情報を仕入れてないので詳しくは不明だ。


 そしてNos.7【ファストアリア】のリン

 対戦相手はNos.3【疾風迅雷】のクイーン

【疾風迅雷】は自身の素早さを5倍にするという効果。素早さを上げれば上げる程【疾風迅雷】は活きる。


 最後に私。Nos.を持たない無名の数合わせと紹介されたマリ

 そして対戦相手はNos.2【金剛不壊】のキング



「はぁ………」

「大きな溜め息ね、マリちゃん」

「そりゃそうですよー。キングですよ、キング! 一番対戦したくない相手なのに」

「あら、私はキングと対戦させるためにトリデンテまでスカウトしに行ったのよ」

「それは沙耶と会長じゃないですか。紹介された通り、私は無名の数会わせで……」

「いいじゃない。余計なプレッシャーを与えないように、あえてそう申告しただけで、実際はNos.4を倒した実績を評価したから勧誘したのよ」


 うーん……でもまぁ、キングと対戦するのって負けて当たり前みたいな所があるし気負う必要もないのかな。

 クイーンが沙耶と会長を闘技場に引っ張りだしたことでトリデンテにキングが殴り込んでくるなんて物騒な話もなくなりそうだし。


『さぁ、おまたせしました。キングとクイーンに選抜された実力派が集う大会、ナンバーズカップがいよいよ始まるぞ~!』


 サッカーや野球の世界大会を実況するアナウンサー並のハイテンションで実況のスキュラ氏が叫ぶ。

 熱が入っていて、根っからの闘技場好きなんだな、というのが伝わってくる。


「さてと、私は第一試合だからそろそろいくわね。マリちゃんも準備は怠らないようにね」

「あ、はい。がんばってください」


 がんばってなんて言ってしまったが、クイーンの対戦相手は会長だ。

 二人を天秤に掛けるのはよくないが、付き合いの長さや親密度から言えば、気持ち会長を応援したくなってしまう。


「では、ワタクシもいきますわね」

「会長! 期待してます!」

「悩みましたが、全力でお手合わせすることに決めましたわ! ワタクシの全力を出してまいります」


 右手を突き出し左手は額に添えるという謎のポーズを決めてから、会長はクイーンの後を追って選手入場口のほうへ歩いていった。うん、大丈夫。いつもの会長だ。



『実況はこの私、スキュラ。ゲスト解説としてイヴ氏をお招きしました』

『よろしくね。スキュラさん』


 実況の音声を聞いて実況席を見上げると、そこには確かにイヴさんの姿がある。


「イ…イヴさん……解説なんてしてるんだ」

「あの人、こんな所に出てきていいのかしら」


 私の隣で沙耶も実況席を見上げている。

 まさかNW社員であるイヴさんが、わざわざ解説に来てるなんて。


『さてイヴさん。まずは一回戦のクイーンvsリンですが、イヴさんは両者と交流があるそうですが』

『ええ、この二人だけではなく、Nos.が発現した者にはある程度接触しているわ。この解説の依頼を受けたのもNos.を間近で観察出来るから、といった理由が大きいかしら』

『なるほど。では両選手の特徴などをお聞かせ頂けますか?』

『そうね、まずはリンちゃん。ファストアリアから繰り出される連続魔法の瞬間火力はNW全プレイヤーの中でも1、2を争うレベルじゃないかしら』

『つまりクイーンといえども無事では済まないと?』

『……どうかしらね、あなたも知っているでしょう? クイーンの【疾風迅雷】を』



 対戦動画を見た限り、クイーンは動きの速さで他を圧倒するスタイル。そして会長のNos.は瞬間火力で勝負するタイプだ。



『さぁ、選手入場です!』


 入場してきたクイーンは闘技場を埋め尽くす観客に対して手を振って応える。対して闘技場初参戦でファンのいない会長への声援は少ない。

 対戦前に両者のステータスが巨体スクリーンに標準されている。


ランキング2位

【クイーン】Lv75

 HP 5150

 MP 541

 攻撃力 318

 防御力 225

 魔攻力 119

 魔防御 452

 素早さ 877



ランキング99999位

【リン】Lv75

 HP 3500

 MP 1081

 攻撃力 90

 防御力 175

 魔攻力 560

 魔防御 560

 素早さ 320




「リンは最大MPを伸ばせるだけ伸ばしたみたいね」

「ファストアリアを発動する時に撃てる魔法の回数を増やすためだよね」

「うん……リンはこの勝負、ファストアリアに賭けてると思う。もし開始直後にファストアリアを発動させるなら、勝負は一瞬……30秒かからずに終わるかもね」


 沙耶が言うことはたぶん合っている。

 まともに戦えばクイーンの攻撃を受けて詠唱が中断され、手も足も出ずに終わる。つまり会長は開始直後にファストアリアを発動せざるをえない。

 ファストアリアの連続魔法がヒットすればクイーンは一瞬で沈み、会長の勝ち。逆にクイーンがファストアリアを凌げば会長のMPは底を尽き、次の手がなくなった会長は負けるだろう。

 回復アイテムを使う手もあるが、硬直時間が長いために1vs1の戦闘では隙が大きすぎる。持ち込めるアイテムは一種類だけで個数は50個までという制限があるが、現状アイテムを有効利用するには相手にスタンをかけた隙に使うというテクニックなどが必要になる。


『さぁ、試合開始のカウントダウン! 両者見合って……』


 クイーンと会長は構えを取って視線が交差する。

 オリンピックなどを見ている時も思うのだが、スターターによる合図を待っている時間の沈黙は凄く緊張する。見ている側がこれだけドキドキするのだ、選手側の人はどんな感覚なのだろう。


『……試合開始!!』



「加速して【ファストアリア】!」

「加速しろ【疾風迅雷】!」


 会長は試合開始の合図と共にファストアリアを発動し、クイーンも疾風迅雷を発動させる。

 クイーンは開始と同時に突撃してファストアリアとスピード勝負をするものだと思っていたが、クイーンは前に出ない。撃ち合いではなくファストアリアによる連続魔法を回避する道を選んだんだ。


『さぁ、いきなりNos.同士のぶつかり合いだ! スピードスターの称号を賭けた光速勝負。瞬きする暇はないぞ!』


 リンは【スノードロップ】を唱えた → ミス

 リンは【スノードロップ】を唱えた → ミス

 リンは【スノードロップ】を唱えた → ミス


『速い! 速い! 速すぎる! 魔法を唱えるリン選手も、それを軽々と回避するクイーンも速すぎるぞ!』


 一発目はサイドステップ、二発目はバックステップ、三発目はバク転で魅せながら回避。

 クイーンはいとも簡単に会長の光速殺人マジックをかわしている……が、会長は6発目にして変化をつけた。


 リンは【スノードロップ】を唱えた → ミス

 リンは【川霧の舞】を唱えた → クイーンに 450 のダメージ


『おーっと、ここでようやくクイーンに攻撃がヒット!』


【スノードロップ】は単体に攻撃するために一点集中の攻撃魔法。しかし【川霧の舞】は複数の敵を攻撃するために広範囲に着弾するので攻撃は当たりやすい。スノードロップを5回連続見ていたクイーンは目測を誤り【川霧の舞】を回避しきれずに被弾する。


「会長! いけます!」

「いけ、リン!!」


 私に加えて沙耶も会長に向けて声援を飛ばす。

 しかし、伊達にクイーンを名乗っているわけじゃない。すぐさま見極めて次弾を回避する。


 リンは【川霧の舞】を唱えた → ミス

 リンは【川霧の舞】を唱えた → ミス

 リンは【川霧の舞】を唱えた → ミス


 何度魔法を唱えただろうか。

 試合開始から撃ち続けた怒涛の連続魔法は会長のMP切れによりストップがかかる。


「勝負あり……ね。リンちゃん」

「参りましたわ」


 クイーンが会長の首に刀を突き付け、会長は降参のポーズを取る。

 負けた……会長が負けたんだ。こんなにもあっさりと、何もさせてもらえずに……。


『決ッッ着!! これが闘技場ランキング2位の実力か。新星【ファストアリア】のリンの光速殺人マジックをいとも簡単に撃ち破ったクイーン、ベスト8進出だ!』



 会長は間違いなくトリデンテで一番キングに近い存在だったはずだ。対人では無類の強さを発揮するはずなのに……こんな……。

 じゃあ、私はどうなるんだ。この圧倒的強さを誇るクイーンに全戦全勝の怪物を相手に……私は……。

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