14ゾラ様っていなかったんじゃ?
みんな疲れたようで部屋に戻って来た。
手を洗ってワイワイと部屋に戻って来た所にいきなり扉が開いてゾラ様が入って来た。
「エディオ!これはどういう事?私がいないからって女と一緒にイチャイチャしてるなんて!」
ゾラ様は私を睨みつける。
「ゾラか?いつ来たんだ?これのどこがイチャイチャに見えるんだ?弟と友達が遊んでるだけだろう?」
「ゾラ様。誤解を与えたなら申し訳ありませんでした。殿下の仰る通りピューリ殿下の所にお邪魔していました。すぐに帰りますので」
「待ちなさいよ。あなた、アマリエッタ・ロータネクね?」
ゾラ様の怒りはまだ収まりきらないらしく私の前まで来て腕をぎゅっと掴んだ。
痛い!彼女は力を込めて私の腕を掴んだ。相当嫌な気分になったらしい。
困った。
「はい、そうです。ゾラ様にご挨拶が遅れまして申し訳ありません」
「ふん!いい事。婚約者候補だったからっていい気にならないで。婚約者は私に決まったの。これからはエディオに近づかないでちょうだい!」
「誤解です。私は殿下にそのような気持ちはありません。婚約者もいますし‥」
「だったらその婚約者を大事にした方がいいわよ。あなたのお相手はヴィント・サルバートだったわよね?こんな所で遊んでいる場合じゃないと思うけど‥ふふっ」
ゾラ様が意味深にほほ笑んだ。
「おい、ゾラ。いい加減なことを言うな。アマリエッタを誘ったのは俺だ。彼女は何も悪くはないし俺達はそんなつもりもない。わかったら嫉妬は止めろ。俺は女の嫉妬は嫌いだからな」
エディオ殿下がそう言ったのでゾラ様は慌てて殿下の機嫌を取った。
「もう、それだけあなたが好きって事なの。エディオ機嫌直してよぉ~」
ゾラ様はエディオの腕に絡みついた。
そのままエディオ殿下は私たちにお礼を言った。
さっさと帰れって事だろう。
「ああ、わかった。わかった。アマリエッタ今日はありがとう。ロニオもありがとう。また遊びに来いよ」
「はい、今日は楽しかったです。ピューリ殿下ありがとうございました」
さすがロニオ。空気読めてる。
「ロニオ。また遊ぼうな。トンボ一緒に取りに行こう」
ピューリ殿下は機嫌よくそう言った。
「では、私たちはこれで失礼します。エディオ殿下。ピューリ殿下ありがとうございました」
私は急いで部屋を後にした。
恐い。恐い。ゾラ王女って結構嫌味な人なんだ。
それにしてもさっきの意味深な言葉は何だろう?
そんな事を思いながら私たちは王宮を後にした。
ロニオはすっかり疲れたらしく馬車で眠ってしまった。
ロニオが楽しかったなら良かった。
小さな手を握りしめながら心ない言葉にどうしようもなく心がささくれて行く。
私が何をしたって言うわけ?
もうどうしていいのかわからない。
苛立ちのまま私のまぶたもゆっくり閉じられていった。




