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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第6章_夏空の下
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10話《突然の訪問》

エアコンが程よく効いた心地の良い部屋の中、寝苦しさなど微塵も感じさせることなく、タオルケットを抱き枕にしながら歌恋かれんはベットの上で眠っていた。

 激しいアラーム音が聴こえるまでは、夢の世界でひと時の非日常を味わいながら、体の疲れをとっていく。


「歌恋、歌恋起きてる?」


 アラームよりも先に、扉の向こうから母の起こす声が聞こえ出し、歌恋の意識が徐々に現実に引き戻されていく。


「これは寝てるわね……歌恋、起きなさい!」


 扉が壊れてしまいそうなほどに激しく叩かれ始め、歌恋の表情は徐々に険しいものに変わっていく。


「うるさ、い……」

「ルミちゃんが来てるわよ!」

「おばさま、無理に起こさなくてもいいですよ!」

「っ!」


 母の口にした言葉と、少し遅れて聴こえたルミの声に、一瞬にして意識が覚醒し、歌恋は勢いよく体を起こした。

 慌ててベットから降り用としたが、足と足とが絡み合い、勢いよく床に倒れてしまった。部屋の前にいた二人はなかから聴こえた大きな音に、何事かと勢いよく扉を開いた。


「あー……」

「歌恋さん!」

「あんた何してんの……」


 うつ伏せで床に倒れる歌恋。ルミは慌てて彼女のそばに駆け寄り、母は冷たい眼差しを向けながら娘を見下ろす。


「いったぁ……」

「あ、おでこ赤くなってます」

「平気平気」

「全くあんたは……」

「お母さんのせいでしょ!」


 母は歌恋の怒りを軽くあしらいながら、そのまま部屋を出て行ってしまった。

 その場に残った歌恋とルミ。エアコンの音が虚しく響き、しばらくすれば、セットしていたアラームが鳴り始め、歌恋は慌ててそれを止めた。


「えっと、何故に?」


 主語はなかったが、なんのことかはさすがのルミにもわかり、俯き気味に、ほんのり顔を赤くしていた。


「はっ、早く歌恋さんに会いたくて……すみません、寝てたのに……」

「…………あー、もう可愛いな!」

「うひゃっ!」


 ルミの発言で感情が高ぶった歌恋は、そのまま勢いよく抱きしめる。突然のことで歌恋を支えることができず、ルミはそのまま倒れてしまい、歌恋がルミを押し倒す形となってしまった。

 特に何か言葉を発することもなく、二人はじっと見つめ合う。


「ねぇルミ」

「なんですか?」

「キス、していい?」

「……はい」


 何度か目を泳がせたあと、恥ずかしそうにしながらも、ルミは返事を返した。


「ありがとう」


 歌恋はゆっくりと顔を近づけていき、触れるだけのキスをした。

 触れるまでの時間がものすごく長く感じ、触れた時間もほんの数秒だったはずなのに、数分間も触れ合ったような感覚がした。

 唇が離れた後も、二人は見つめ合う。だけど自然とお互いに笑い合い、歌恋はゆっくりと体を起こしていく。


「早いけど出かけようか。準備するからちょっと待って」

「はい」


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