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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第6章_夏空の下
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4話《きょうだい》

「なににしようかなぁ」

「………」

「凄い不機嫌そうですね」

「兄さん、スマイル」

真昼まひる、足バタつかせるな」


 街中のレトロなカフェ。すっかり夕食の時間となっているが、ファミレスなどの飲食店と違い、歌恋かれんたちが足を運んだお店はポツポツとまばらにお客さんが席に着き、コーヒー片手に読書をしたり、向かい合って楽しそうに雑談したりと、各々自分たちの世界に入り込み、ゆったりとしていた。

 ここは夕月ゆづきのバイト先のカフェ。ほかの店舗と違い、夜九時まで営業をしている。昼間はたくさんのお客さんで賑わうが、夜になれば、家で食事を取る人が多く、店はしんと静かになり、店内に流れるBGMが大きく聞こえる。


「なんでここにきたんだよ」

「「割引目当て」」

「声を揃えるな女子組。悪いな高崎たかさき、こいつらに付き合わせて」

「い、いえ……」


 慌てて目をそらす慎也しんやに、夕月はやれやれといった感じでため息をつき、四人の前にお冷を置いて、貼り付けたような笑顔(営業スマイル)を浮かべる。


「お決まりになりましたらお呼びください」


 軽く一礼をして、夕月はその場を後にした。


「なんか、ムカつくね」

「あの笑顔で何人の女の人を魅了したのやら……」

「二人は、春宮はるみや先輩に当たりが強いですね」


 そんなこんなで、四人はメニューを見ながらなにが食べたいかと口々に言いながら選んでいく。歌恋とルミ、慎也はすぐに決まったが、席に着いてからずっとメニューとにらめっこ状態の真昼は、まだ悩んでるようだった。


「決まったか?」

「もう、ちょっと」

「早くしろよ。お姉ちゃんたち待ってくれてるんだから」

「ゆっくりで、良いよ」

「そうそう。マスターのご飯なんでも美味しいから、私も迷うんだよね」


 夕月が高校を卒業してしばらく、ここでバイトをしてることを聞いた歌恋は、たまに足を運んでいた。最初はただ、夕月に会うのが目的だったが、いつしかマスターのご飯が食べたくて、夕月がいない日も足を運ぶようになっていた。


「決めた!」

「声でかい」

「先輩お願いしまーす」


 ほかのお客さんの迷惑にならない程度のボリュームで、夕月を呼び、注文を取ってもらう。

 歌恋はナポリタン。ルミはオムライス。慎也はカレー、真昼はハンバーグを注文した。

 食事が運ばれてくるまではしばらく雑談をする。

 歌恋と慎也は部活の話をし、ルミはそんな二人のやりとりを見つめたり、たまに混ざったりする。慎也の隣に座っている真昼は、まだかなまだかなとカウンターの方を楽しそうに見つめていた。


「にしても良いな、兄妹。私だけ一人っ子だよ」

「そうですか?」

「うん、賑やかだし。まぁうちは両親仲良いし、ある意味賑やかだけどね」

「歌恋先輩は、兄弟いたら、姉か兄、妹か弟、どれがよかったですか?」

「そうだね……頼ってくる弟や妹もいいけど、頼れる兄や姉もいいよね」

「妹……」

「弟……」


 じっと歌恋をみながら、慎也とルミはぽつりと呟いた。歌恋は頭の中で色々想像した後、ヘラっと笑みを浮かべる。


「まぁでも、一人っ子だからこその羨ましいだよね。実際いたら大変そう」


 その言葉に慎也は真昼を、ルミはカウンター側にいる夕月を見つめ「えぇ、まぁ」と声を揃えていった。


「にぃに、まだかな」

「まだだから、大人しくしてろよ」

「はーい」

「……ねぇ真昼君」

「ん?」

「お兄ちゃん好き?」

「ちょっ、先輩!」


 顔を真っ赤にして慌てる慎也。気にせず歌恋は真昼の方を見て、答えを待つ。しばし小さく唸って考えるが、天使の笑顔といっていいほどの笑みを真昼は浮かべる。


「うん、にぃに大好き」


 その返答に歌恋とルミはニヤつき、慎也は顔を赤くして俯いた。


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