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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第4章_夏の花火
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7話《暗闇の桜》

チカチカと点滅する街灯の下を通り抜け、浴衣を着た親子の隣をすり抜けて、私服姿の歌恋かれんは、春宮はるみや家のインターホンを鳴らした。

 今日は花火大会。いつものようにルミの家へと彼女を迎えに来た歌恋。

 昼間のように照りつけるような日差しもなく、幾分か涼しく感じるが、夏場であることは変わらないため、夜の蒸し暑さを感じる。

 遠く、祭りの明かりのせいだろうか。漆黒の空が僅かに黒紫こくしに染まる。きっと、花火が打ち上がれば、空はもっと明るくなるだろうと、まだ花が咲かない空を歌恋は見上げた。


「先輩すみません!」


 慌ただしく扉が開くと同時に、激しさのあるルミの声と、耳に心地いい下駄の音が聞こえた。

 空を見上げていた顔を春宮家の玄関先に向けた瞬間、歌恋は大きく目を見開き、だらしなく口を開いた。


「準備に手間取って、出て来るのが遅くなりました」


 私服姿の歌恋とは違って、浴衣を着て、髪を綺麗にまとめているルミ。

 女の子らしいピンク色に桜の刺繍や柄が描かれたデザインに、浴衣と同じ桜の簪で髪をまとめており、その可愛さに思わず見とれてしまった。


「先輩?」

「エッ、あぁごめん……浴衣なんだ」

「はい。兄さんがせっかくならって」


 袖口を軽く持ち、くるっと一回転したルミは、ニコッと笑みを浮かべる。


「どう、ですか?」

「……うん、可愛いよ」

「えへへ。褒めてもらえて嬉しいです」

「行こうか」


 ゆっくりと手を差し出す歌恋。ルミはその手を取り、暗い夜道を二人、手を繋いで歩いて行った。

 アスファルトを叩くように鳴り響く下駄の音。チラチラと横を歩くルミの姿を見ながら、ドキドキと激しく動く心臓を抑えるために、歌恋は繋いだ手を強く握る。


「先輩は、浴衣着なかったんですか?」

「面倒でね。動きにくいし……」

「先輩って、せっかく美人なのに、あんまりそっち系に興味ないですね?」

「女子力なくて悪かったですねぇー」


 徐々に賑やかなお祭りの音が聞こえてきて、二人は近くにつれ、何を食べたい、何をしたいなどと、楽しそうに会話をしていた。


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