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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第4章_夏の花火
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2話《写真》

「それにしても、よく撮れてるよなー」


 気持ちも落ち着いて、三人でテーブルを囲みながら歌恋かれんが買って来たケーキを口にした。

 駅前のケーキ屋の新作ケーキをむしゃむしゃと食べるが、テーブルの隅にまとめていた例の写真を、夕月ゆづきは一枚一枚見ていく。


「先輩。そんなの見ないでください。汚れます」

「でも、本当にうまいぞ。盗撮写真なのが勿体無い」


 夕月は見ていた写真の一枚を歌恋に渡し、彼女はそれをしぶしぶ受け取り、写真を見た。

 それは学校帰りの写真で、顔は写っていないが、笑みを浮かべるルミの横には歌恋の姿があった。


「確かに……良く撮れてます」

「だろ。というかこいつ、水族館にも来てたみたいだぞ」


並べられた写真は、この前水族館に行ったときのものだった。全てルミがメインではあったが、ところどころ歌恋の姿も映ってる。ピントはちゃんとルミに合わせてあり、それ以外はぼけ、撮った人物が誰を写したいのかが一目でわかる。


「こんな至近距離に……」

「ズームだろ。こんなに近かったら、流石にバレるって」

「でも、魚以外にカメラ向けてたら不自然じゃないですか?」


 歌恋はその日のことを必死に思い出そうとするが、人も数もかなり多かったため、カメラを構えていたりと不振な人物の姿はなかった。


「いったい誰が……」


 歌恋は、一枚、また一枚と写真を見ていく。だけど、ある一枚の写真を見て、歌恋の動きがピタリと止まり、じっとその写真を見つめた。


「ん、歌恋?」

「先輩、どうかしましたか?」

「え、ううん。先輩、この写真、私の方で回収してもいいですか?」

「構わないが……なんでだ?」

「単純にルミの側に置いときたくないんです。思い出して、ルミが怖い思いをしちゃうから」


 ニコッと笑いかけながら、歌恋はルミの頭を優しく撫でた。その自分を思ってくれる優しさが嬉しいのか、ほんのり頬を染めながら、ルミは歌恋に勢いよく抱きついた。


「すっかり仲良しだなぁ、お前ら」


 しみじみと口にし、夕月は肘をつきながらケーキを貪っていく。

 ケーキを食べ終え、片付けを済ませると、そのままのんびり三人で過ごした。

 しかし、歌恋のスマホに母からメッセージが届き、買い物を頼まれてしまった。


「あぁ……ごめんルミ。買い物頼まれちゃった」

「いえ。すみません、急に呼び出して……」

「いいよ。またなんかあったら呼んでね」


 数回優しくルミの頭を撫でてあげ、荷物を手にして立ち上がる。


「ケーキごちそーさん。気をつけて帰れよ」

「はーい。それじゃあお邪魔しました」


 軽く手を振り、見送られることなく、歌恋は春宮はるみや家を出て行った。


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