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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第3章_夏の恋
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6話《春宮兄妹》

「むぅ……」

「機嫌直せって」


 帰宅途中の春宮はるみや兄妹だったが、ルミは不機嫌なままで、夕月ゆづきがどんなに宥めても、ムッとした表情は消えなかった。


「仕方ないだろ。俺たちばかり独占できないし、たまには同じ部活のやつと交流しないと」

「写真見せたかったのに……」


 自分で撮った歌恋かれんの写真を眺めるが、胸がずっとモヤモヤしていた。不意に、ルミは写真を見るのをやめた。最後に写っていたのは、わずかに笑いながら弓を引く歌恋の姿だった。


「兄さんは、弓道やめて良かった?」

「ん、どうした急に」

「大会、いっぱい優勝したのに、やめたから」

「どうだろうな」

「才能があったのに」

「続けるかは本人しだいだろ」


 夕月はルミの頭を撫で、そのまま大きく背伸びをする。


「俺は好きでやってた。別に将来やりたいからやってたわけじゃない」

「じゃあ辞めたのは、将来的にやりたいことが見つかったから?」

「どうだろう。俺にもよくわかないけど、とりあえず弓道ではないことはわかった」

「そう、なんだ」

「どうした、急にそんなこと聞いて」


 ルミはその場で足を止めると、きた道を振り返る。学校の姿は小さくなり、当然歌恋が今何をしているのかもわからない。


「歌恋先輩は、才能にこだわっていたから……羨ましいって思ってるのかな」


 まだお互いにぎこちなかった頃の、歌恋と椎葉しいばの会話をルミは思い出した。その時の彼女は、自分の中には何もない。才能や好きなことを持っている目の前の人物が羨ましいとそう思っているようだった。


「昔、歌恋に言われたよ。才能があるのにって。でもさ、俺はあいつが逆に羨ましかった」

「どうして?」

「だってさ、才能があるとそのことだけを期待されるだろ。でも才能がないってことはどんなことにでも挑戦できて、何にでもなれる可能性がある。だから俺は、あいつが羨ましいよ」


 弓道で夕月はずっと期待されていた。だけど、いざ本人が辞めてしまえば、周りはがっかりして冷たい目を向ける。才能=将来という考えが、夕月は嫌だった。


「まぁあいつはいまだにわかってないみたいだけどな」

「……お腹減ったね」


 ルミはそれ以上話しを続けようとしなかった。多分これ以上先は、夕月の繊細な部分であり、苦しいところなのだろうとなんとなく察した。


「そうだな。せっかくだし、外食でもするか。何食いたい?」

「んー、お肉」

「了解。駅前のハンバーグ屋にでもいくか」

「チーズイン食べたい」

「俺は肉肉しいのが食いたいなぁ」


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