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042.【リアリティ】の舞台裏(第4回)(2022.04.23)

 いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。中村尚裕です。


 私、先日からこういう旨のお悩みに関して【我流】で【考察】を巡らせております。


・【お悩み】:「どこまで【説明】すれば【リアリティ】が出せるだろうか……」


 先回はこのお悩みに対する反面教師として、『悪い意味でのオタク語り』について考察しました。

 第4回に当たります今回は、“情報の【構造】”という存在から私が感じる救いについて【考察】を巡らせることといたします。よろしくお付き合いのほどを。



◆4.【希望】:“【深層】の情報”がもたらす救い


 前項では、良作の醸す【リアリティ】から、“情報の【構造】”とでも称すべきものについて学びを得ました。


・“情報の【構造】”:少数の『“【深層】の情報”という【原理原則】』に対して、それを基にした『“【表層】の情報”という【応用例】』が多数存在する


 実はこれ、【作者】側としては希望に満ちた発見――と私は観ております。


 つまりはこういうことです。

 まず大前提。“【原理原則】から【状況】に応じて表面化した【応用例】”というからには、“【表層】の情報”はそれこそ【状況】の数だけ存在します。個別に覚えようにも、【現実】においては【状況】など【可能性】の数だけ分岐するものです。

 詰まるところ、これでは切りがありません。覚え切れるわけがないのです。


 ここで、途方に暮れる【作者】さんもおいでかとは存じますが。

 むしろ逆に、私はここに希望を見出すところです。

 【作者】として【原理原則】を押さえていたなら、さてどうでしょう。【原理原則】を元に、【状況】に対する【応用】をシミュレートすればいい――ということになってくるわけです。覚えるのは基本的に【原理原則】のみ――ただしシミュレートするための【考察】力を磨く必要はありますが、『【作者】が頭の中を整理しやすくなる』ということにかけては圧倒的に有利です。


 この場合、シミュレートつまり【考察】だけで、“【表層】の情報”のうち相当の範囲をカヴァーできることになります。

 もちろん精度を上げるには【実例】を調べるのが上策ですが、それにしても『調べるべき方向性』を見定めることができる利点は巨大です。何せ調べるべき情報量が絞り込めているからには、調査にかかる労力を圧倒的に軽くすることが可能になるからです。


 この時点で、【作者】としては『“【作品】に込めるべき情報量”に尻込みする理由』が、ほぼ解消されます。『全てを【説明】しなくても、一連の【描写】群に【一貫性】や【法則性】を込めてあることがアピールできる』からです。


 この結果として、例えばマニア型の【観客】は納得を得やすくなりますし、例えば初心者型の【観客】もくどい【説明】を観ずに済むので利点を得られることになります。それでいながら『【観客】が【リアリティ】を感じる根拠』は【作品】に込めることが可能になりますので、需要に応じて【観客】は【リアリティ】を楽しむこともできるわけです。


 さて、ここで重要な気付きが。


 ここまでの【考察】で言えるようになったのは、この『“【表層】の情報”に通底する【一貫性】や【法則性】』というものは、【原理原則】即ち“【深層】の情報”を押さえ続けることで担保できる――ということです。


 ということは。

 『“【表層】の情報”に通底する【一貫性】や【法則性】』を、『【表層】で【説明】する必要性』は、ここまでの【考察】によって『存在しないこと』が証明される――ということになります。


 つまり『ドラマや話術といった“魅せる【工夫】”が【説明】に埋もれる、という悩み』から【作者】は解放されるわけで、このとき【作者】は『ドラマや話術といった“魅せる【工夫】”に注力した分だけ、【作品】が面白くなる』という【構図】を獲得することが可能になるのです。

 もちろんそのためには『【原理原則】即ち“【深層】の情報”を追い求め、また“【表層】の情報”を【原理原則】に沿って【考察】する能力を鍛える【※2】』必要があるわけなのですが。得られる利点を考慮するに、その労力は決して過大とは、私には思えません。


 さて、ここで話が『【引き出し】を増やすこと』へ戻っていきます。

 『【引き出し】を増やす』ということの少なくとも一例は、『数多くの“【表層】の情報”に通ずること』に他なりません。様々な【状況】に対して“豊かな【知識】”を“柔軟に【応用】”してみせることができる――という人物像は、『【引き出し】を多く持つ』ということを体現する姿でありましょう。


 ここで、“豊かな【知識】”とは『“【表層】の情報”に幅広く通ずることで実現できる姿』を意味し、また“柔軟に【応用】”とは『【状況】に合わせて“【表層】の情報”を選んで使い分けること』を意味します。


 これ、『【原理原則】という“【深層】の情報”を、【状況】に応じて【考察】し、有用な“【表層】の情報”として【応用】すること』に他なりません。言い換えれば『【原理原則】を押さえておけばおくほど、【応用】できる“【表層】の情報”の量は爆発的に増える』ということになります。


 この能力を得るために成すべきは『【原理原則】即ち“【深層】の情報”を追い求め、また“【表層】の情報”を【原理原則】に沿って【考察】する能力を鍛える【※2】』ことそのものですが。

 これはそのまま『オタク語り』を卒業していく流れの一つ、即ち『自分の【引き出し】を増やすこと』に繋がります。のみならずこれは『【観客】に【リアリティ】を感じられやすいように【表現】能力を鍛えること』でもあり、『ドラマや話術といった“魅せる【工夫】”が【説明】に埋もれる、という悩み』を解消していくことでもあります。


 要は、『【原理原則】即ち“【深層】の情報”を追い求め、また“【表層】の情報”を【原理原則】に沿って【考察】する能力を鍛える【※2】』ということは、そのまま【作者】として【表現】能力全体を底上げしていく道でもあるわけです。


 逆に『手っ取り早く“【表層】の情報”だけで知った気になる者』は、より【深層】にある【原理原則】を追い求めることはありませんし、そうなれば“【深層】の情報”である【原理原則】に行き着くことも、【原理原則】に沿って【考察】する力も育ちません。


 これは『学問に王道なし』の諺にも通ずる話になりそうですが、こうなると『手っ取り早く“【表層】の情報”だけで知った気になる者』は、“【表層】の情報”を語るだけが能――ということになります。これは見る人が見れば一見にして看破される『【原理原則】を理解しない、よく吠えるだけの“弱い犬”』に留まるのが関の山でありましょう。『【引き出し】を増やす』などは夢のまた夢、従って「“自慢できるもの”が他にない」という自己【認識】(劣等感)からも逃れることはできないわけですね。


 このように【考察】することもあって、少なくとも私は、『【原理原則】即ち“【深層】の情報”を追い求め、また“【表層】の情報”を【原理原則】に沿って【考察】する能力を鍛える【※2】』ことに注力すべき、巨大な理由を見出します。

 もちろん楽とは申しませんが、自分の【表現】能力に直結する鍛え方ですから。少なくとも、『費やした努力』に比して『報われるもの』の量が多いであろうことは、間違いないところでありましょう。


 と、理屈だけを並べても、納得いただけるとは限りません。

 次項では、『“【深層】の情報”とその【応用例】』を用いて【リアリティ】を表現する、その【実例】をご覧に入れたいと考えます。


 ◇


 というわけで第4回、“情報の【構造】”に私が見る救いについて【考察】して参りました。

 次回は【実例】をご紹介していく予定です。


 よろしければまたお付き合い下さいませ。


 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

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