040.【リアリティ】の舞台裏(第2回)(2022.04.09)
いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。中村尚裕です。
私、先回からこういう旨のお悩みに関して【我流】で【考察】を巡らせております。
・【お悩み】:「どこまで【説明】すれば【リアリティ】が出せるだろうか……」
先回はこのお悩みに対する私の【認識】として、『“【深層】の情報”と“【表層】の情報”を見分け、区別して提示することが肝要』ということをお話ししました。
第2回に当たる今回は、この必要性を示す意味で、反面教師と私が【認識】している『悪い意味でのオタク語り』についてお話しして参ります。よろしくお付き合いのほどを。
◆2.【我流の認識】:『オタク語り』という衝動的行為
『オタク語り』に関する認識は、概して“送り手”(【作者】)側としては自虐的、“受け手”(【観客】)側としては『好ましくない表現傾向』、という印象が強くあります。【要約】を試みるならば『“送り手”(往々にして【作者】)が“語りたい情報”のみで(時間や画面、紙面などを)埋め尽くす現象』というところでありましょうか。
私は特に『悪い意味でのオタク語り』の【特徴】を、下記のように捉えております。
○『悪い意味でのオタク語り』の【特徴】:
1)衝動優先
2)“重み付け”不在
ここで、各項目を掘り下げてみます。
1)衝動優先
これは、『“送り手”が“語りたいこと”から順に語る』現象よりきています。これが意味するところは、“送り手”が『自分の都合』のみを考慮している――ということで、つまりは『“受け手”が理解するための都合』が不在になっている――ということに行き着きます。
2)“重み付け”不在
これは、『“送り手”が、思い付く限りの注釈(関連情報)を垂れ流す(「ちなみに」という語が極めて多い傾向あり)』現象よりきています。これが意味するところは、“受け手”の理解に必要ない情報も、“送り手”が無制限に語りたがる――ということで、つまりは“送り手”に『情報を選別する意思、または能力』が不在――ということに行き着きます。
これらの【特徴】が、どんな不都合を招くかと申せば。
1’)話が発散する:“受け手”が『どこに注目すべきか』を把握できず、集中力を持続できない
2’)話の要点が不在:“受け手”が伝えられた情報を完全に覚えないと、自力では何も理解できない
総合すると、『“受け手”は果てしなく集中力を削がれ続け、そのくせ膨大な情報を丸のまま記憶するよう迫られる』ということになります。
これを例えるなら、『“詰め込み教育”(ただし教科書さえ渡されない)』とでも表現するのが適切でありましょうか。ただでさえ意義の感じ取りにくい“詰め込み教育”に加えて、『丸暗記のガイドとなる教科書』すら与えられない状態です。“受け手”に『一種の拷問』と捉えられたとしても、ちょっと反論しづらい状況ですね。
これ、よろしくない意味では大変【リアリティ】に溢れた状況ではあります。
即ち『元々の情報は系統立っておらず、“受け手”自ら興味を持って整理しなければ、「退屈な混沌」として映る』というもの。
これ自体は『【現実】の容赦ない一面』ですが、【物語】にそのまま組み込んでしまうと、“受け手”である【観客】には酷が過ぎると申すもの。ごく一部の例外を除いて、【観客】は興味を失う危険性が極めて大と申せましょう。
そう観てみると“送り手”、つまり【作者】の側から見ても、『悪い意味でのオタク語り』には巨大な弊害が存在することになるわけです。
では、この弊害を回避するためにはどうするか――ということを考える前に。
この『悪い意味でのオタク語り』の【背景】にあるものへ、つまりは【要因】へと、眼を向けてみましょう。そこに突破のヒントがあるはずです。
ここで、私自身の経験を振り返ってみるに。
『オタク語り』の【背景】にあったものは、主に2つ。
a)「『好きなことを語れる』相手が滅多にいない」という事実
b)「“自慢できるもの”が他にない」という自己【認識】(劣等感)
ここでa)が【背景】にあると、いざ語れる機会が訪れた時に【抑制】が利かなくなります。「この機会を逃したら、次はいつ『好きなことを語れる』か判らない!」という強迫観念が作用するわけですね。
次にb)が【背景】にある場合。この場合は『自分をより大きく見せて【承認】してもらいたい【自己顕示欲】』が突っ走ることになります。この時の心理に余裕などがあるはずもなく、よって『手っ取り早く【自己顕示欲】を満たしに行く行為』、要は『“手持ちの自慢要素”を片っ端から見境なく開示する』という暴挙に訴えるというわけですね。
このような【背景】を踏まえて、改めて『悪い意味でのオタク語り』を振り返ってみましょう。
これは私の個人的な経験則(ただし【作者】と【観客】、両方の立場に立って得たもの)ですが。
『悪い意味でのオタク語り』をよく観察してみると、次のような傾向が見て取れます。
即ち、こういうことです――『悪い意味でのオタク語り』から“【表層】の情報”を抜き取ると、その跡に残る内容には『“魅せる【工夫】(ドラマや話術など)”に乏しい』傾向が強い。
前項にてご提示した【仮説1’】を“思想”として頭に置いているためでありましょう、私はこの傾向が存在することに強い【説得力】を感じます。
・【仮説1’】(再掲):『【リアリティ】の表現においては、“【説明】の情報量”のみが、素人描写との差別化ポイントである。逆に【説明】を封じられたら、【リアリティ】において素人描写との差別化ポイントは存在しなくなる』
では、【仮説1’】に基づくこの“思想”が、いかに深刻な弊害をもたらすかと申せば。
こういう状況を想定してみて下さい。
『“中身の伴わない軽薄な人物”、つまりは“「程度が浅い」と認識している人物”が、自分自身に陶酔して「自分は偉い」と、支離滅裂にひたすら垂れ流す“【自分語り】の長自慢”、これを延々と聞かされ続ける状況』
この状況を楽しめる人物は、決して多くはない――と私は考えます。“「程度が浅い」と認識する人物”が垂れ流す“【自分語り】の長自慢”というものを楽しんで聴ける【作者】であるならまだしも、そうでもないのに【観客】に【自分語り】を押し付ける――というのであれば、どう控えめに表現しても『【不誠実】そのもの』ですね。そうでなくとも、『【観客】に配慮できない【作者】』が敬遠されたとして、そこに文句を付けられる筋合いはもちろんありません。
『悪い意味でのオタク語り』は、これに類似した状況を【観客】に押し付けるのです。これでは【観客】に回れ右されるか、あるいはそもそも近寄ってももらえなくなるか、いずれにせよ【作者】にとって好ましい結果を招くとは、私には考えられません。
ここで、個人的な経験則を持ち出すなら。
“「程度が浅い」と認識する人物”が“【自分語り】の長自慢”を垂れ流す【背景】というものは、極めて高い確率で先述のa)およびb)と合致します。
また同時に、『“弱い犬”ほどよく吠える』という諺もあります。
“弱い犬”に吠え付かれて懲りた人は、往々にして『“よく吠える犬”=“弱い犬”』という【連想】を成立させるものです。つまりこの場合、長説明を見るだけで、【作者】の『悪い意味でのオタク語り』や“【自分語り】の長自慢”を【連想】して引き返す――という事態さえ想定されるわけです。
そして【観客】の【連想】、言い換えれば『思考する自由』に対して干渉しようとすることは、他人の身である【作者】としては厳に慎むべきものです。もし干渉を試みるなら、その際は手痛い悪影響(嫌われるリスク)を覚悟せねばなりません。
何が言いたいかと申せば。
【作者】の『悪い意味でのオタク語り』は、【自己顕示欲】に任せて押し込めば押し込むほど、【観客】を遠ざける【逆効果】を招く――ということです。
この辺り、『北風と太陽』の教訓にも通ずるところが大いにありますね。『自分の目的を叶えようとするに当たって、北風のように短絡的な力任せでゴリ押しすればするほど、目的は叶わなくなる』というわけです。『目的を叶えたければ、太陽のように旅人(ここでは【観客】に相当)の事情に考えを巡らせ、その事情と目的の双方に応じた手を講じるのが良策』というわけです。
ここで、私個人の『オタク語り』の【背景】にあったものを再び振り返ってみますと。
a)「『好きなことを語れる』相手が滅多にいない」という事実
b)「“自慢できるもの”が他にない」という自己【認識】(劣等感)
ここで、それぞれに応じた策を考えてみますと。
まず、a)については。
逆を考えてみるなら、普段から「好き!」を語り合えたなら、この問題については(完全回避とは言わずとも)緩和することが見込めるわけです。つまりは「好き!」を語り合える【仲間】を作ること、これがこの【要因】に対処する鍵になりそうですね。
もう一つ、b)については。
『“自慢できる要素”に代えて、“静かに誇れる要素(特にドラマや話術といった“魅せる【工夫】”に関するもの)”を増やしに行くこと』ができれば、この心理に対処する方向性が掴めることになります。つまりは『自分の【引き出し】を増やす動機を得ること』、これがこの【要因】に対処する鍵となりそうです。
ここで『【引き出し】を増やすこと』に繋がる動機は何かと申せば。
実は【リアリティ】に繋がる表現を【考察】していくうち、私はこのヒントとなる【事実】に行き当たりました。ですが、こちらは【リアリティ】を醸す好例からお話しするのが早そうです。
そこで次項では、『【リアリティ】を醸す好例』から【考察】を巡らせることとしましょう。
◇
というわけで第2回、反面教師から『学ぶべき方向性』を見て取るところまで参りました。
次回は私の【実感】を元に、『学ぶべき方向性』の先にあるものを【考察】していく予定です。
よろしければまたお付き合い下さいませ。
それでは引き続き、よろしくお願いいたします。




