22話
「で、私がラウロ王子とワクワク庭園内デート♡を繰り広げている間二人はどこにいたんです?」
その日の放課後、王子たちが寮に戻ったのを確認してから三人で集まり、私が花に囲まれている間姿を見せなかった二人に聞く。二人はきょとんと顔を見合わせた。
「ラウロ王子の傍にはフィルがいたからな。他の二人を見守ってた」
「ついでに言うと他の二人はお前たちを見守ってたからお前たちの動向も知ってる」
「助けてくれても良くないです?」
結構困ってたんだぞ私は。匂いきつい花あるし。ラウロ王子に失礼のないよう気を張らなきゃいけないし。
ブーブー文句を漏らすとバルドさんが仕方ねぇなと飴を差し出してきた。まったく……こんなもので私が宥められるとでも……。
「美味しい!」
「もういっこやろう」
「わーい!!」
飴美味しい!!
「さて、学園に来て結構な日にちが経ったわけだが」
「私ともっくん誘拐されてましたけどね!」
「やめろ、思い出させんな」
「そういえばその間の護衛はどうしてたんです?」
私ともっくんの二人がいないとなると相当面倒だったはずだ。流石のバルドさんも三人いっぺんに守ることはできないだろう。首を傾げる私にバルドさんは大丈夫だと言う。
「その間は『生徒が行方不明になった、危ない』ということで堂々と護衛をつけられていたからな」
「なるほどー」
口の中で小さくなった飴を砕きながら頷く。たしかに、生徒が二人攫われたとなればそうもなるか。
「……平和だな」
「そうですね?」
私達は攫われたわけだが。平和という言葉の定義が気になるね。
「今の所敵襲もないし」
「学校も中々楽しいです」
「勉強さえ無ければ……あ、ご飯美味しいです」
王宮とはまた違った美味しさである。やはり貴族なんかも通うからある程度質の良いものを揃えているんだろう。ありがたや。
「平和って素晴らしいですねぇ」
「だな」
「3年間このままが良いな」




