14話
目を開けたら真っ暗だった。
「…………?」
「フィオーレ、起きたか」
「ししょー?」
「耳は聞こえてるな。声も出せてる。何か違和感は?」
「あー……」
師匠の声が聞こえて、手を動かしたりして異常を確認する。手足は問題なし。動いた両手を顔に持っていきペタペタと触れる。うむ。
「目が見えないですねぇ」
「まじか。検査すんぞ。エリーゼ」
「わかってるよ。カルトス、フィオーレを運んでおくれ」
「任された」
カルトスさんの声が聞こえた途端腹部に圧迫感を感じた。これは肩に担がれたな? 扱い雑すぎない? 米俵かよ。この国に米を食べる習慣ないけど。米が恋しい。タイ米じゃない、もち米が食べたい。お赤飯。
「お前どこまで覚えてる?」
「誘拐されてー、なんか薬注入されてー、体調崩してー、眠くなったとこまでですかねぇ」
ん? もしかして私寝続けたのか? 何日経ったんだろ。というかなんで師匠がいるの? なんで私の目は見えないの?
「お前は魔力操作を乱されて暴走した。目はその影響だろう」
「ほへぇ」
「傷はもう見当たらない」
「ふぅん……。因みに私何日寝てました?」
「救出されてから4日間」
「学校サボりすぎでは?」
「被害者だからどうとでもなる」
「はーい」
ノシノシとカルトスさんが歩くたびに揺れるそれが心地よくてまたウトウトし始める。頑張って検査までは起きていないと。
「あと少しだけ頑張れ」
「ん……」
「まだ寝るってことは万全ではないんだな」
「だな。傷はだいたい治ったが」
「あと少しか」
「眼球に傷もないね。暫く様子見だ。ついでに他の検査もしたけど、他はもう問題ないよ」
「ん……もっくん……」
「モナはもう起きてる。元気だよ」
「ん……」
「おやすみ、フィオーレ」
「完! 全! 復活!!」
制服を着てイエーイと跳ねればバルドさんたちに笑われた。解せぬぅ。
目も見える! 吐血もなし! 完全復活だよ! 今日からまた学園に戻りますよ! お仕事!!
もっくんは本当に私より先に起きていたらしく、目が見えるようになったらお見舞いに来てくれた。なんか傷だらけだった。どうやらあの施設での実験のせいで魔力量が増えて魔力が不安定らしい。制御装置をもともとつけていたのよりさらにグレードアップしたと言っていた。
「久々の学校!」
「勉強は大丈夫か?」
「……」
「教えてやるから……」
「バルドさん大好き!!」
なんか出鼻をくじかれた感あるけど、お仕事頑張りますよ! 私は! やればできる子だもの!
「……」
「さっきからずっと私のこと見てるけど、どうしたのもっくん?」
「お前希少種なんだってな」
「そーだよ! 珍しいでしょ!」
「……こんな阿呆をあいつらは求めてたのか……」
「もっくんって唐突に私のことディスるよね〜」




