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目標:推しキャラ死亡ルート回避  作者: 櫻井 羊
一章 1年次前期
82/96

9話




 惨状。



 そんな言葉がよく似合う。



 チビはすぐに見つかった。



 ついでにあのクソッタレも。気絶してやがる。



 チビは、血塗れで立っていた。


 地下の天井……廃棄場の真上の床は壊され、地下が丸見えになっている。案の定死体だらけ。チビはそこに立っている。



 異常な風が壁を崩して。


 原因不明の爆発が至るところで起きて。


 外は雷雨が降っていて。


 滅茶苦茶だ。



 幸いなのは、チビが誰も殺していないところか。建物がだいぶ壊されているが、そこは仕方ない。というか、これはチビがやったのか?


「これは酷い」

「……なぁ、今更なんだが、お前らオレたちになんの薬を入れてたんだ」


 魔法がやまないから近づけず、チビから距離を取ったまま、男に聞く。先程から魔法が使えない。使おうとすると痛みが走る。


「魔力循環を乱す薬を定期的に。あとは魔力増強のを」

「チッ」


 そりゃあ魔法が使えないわけだ。施設内でも使えなかったから薄々気がついてはいたが、最悪だ。


「循環を乱す方、あとどのくらいで切れる?」

「あなたの場合はまだしばらくはかかりますよ」

「人によって違うのか」

「魔力量によります」

「ふぅん」


 しかし、どうしたものか。そもそもチビはなんであんなことになってるんだ? 何か叫んでいるようにも見えるが、雷雨や爆発音のせいで聞こえない。


「……」

「……26番、大丈夫ですか?」

「は?」

「先程から体調が悪そうですが」



 言われて気がつく。さっきから呼吸が浅いのか息苦しいし、汗もひどい。手足が震えて……。







 あぁ、これはまずい。










 オレは男を木々のある方へぶん投げた。





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