7話
「君を廃棄することになった」
「……」
喋るのダルい。目を開けるのも億劫だ。
静かに喋る男の言葉を聞き流しながら壁に背をつけたまま、意識だけを浮上させる。
「……あぁ、やはり傷が残っているな。血が滲んでいる」
ガシャ、という重たい金属音がしたとおもったら手足が軽くなる。鎖を外されたらしい。
「まだ温かいな。息もある」
優しく、頬を撫でられる。
「……すまないな。私はあの人に逆らえない」
膝裏と背中に手を回され、持ち上げられた。何をする気にもなれず、されるがまま、ゆっくりと揺られながらどこかに連れて行かれた。私はまたすぐ意識を手放した。
「あーぁ、この子も駄目だったなぁ」
この声はロンドとかいう男の声だ。
上方から聞こえる声に目を開ける。私のすぐ横でドサリと、重たいものが落ちる音がした。温かい、ぬるりとしたものが頬につく。
血。
一気に視界が晴れた。
血。
先程はあった僅かな光が遮断された部屋で、身を起こす。無駄に良い眼はその部屋の中をそこそこ鮮明に映し出してくれた。
血。
私が手を付けばピチャリと音を立てるそれは、大量の血。
血。
生温かいそれ。
視線を下に向ける。先程音を立てて落ちてきたもの。
それと目があった。
「ぁ」




