3話
「……もっくん」
「なんだよおチビ……」
「なんで私達誘拐されてんの?」
「知るかよ」
何か覚めたら見知らぬ場所にいた。最後の記憶は普段は外に出られない寮生活の中、久々の休日にもっくんと外に出たところで終わっている。ちなみにバルドさんは少佐たちの方へ用事があるらしく、今日は一緒じゃなかった。
どうしたものか、と腕を後ろで縛られたまま床に寝そべって考えていると扉が静かに開いた。男が三人入ってくる。
「おや、これはこれは」
「見目の珍しい奴をとのことでしたから」
「有力種で間違いないんだね?」
「学園から出てきているのを見ました」
「なるほど。では買おう」
なんか流れるようにお買い上げされた。意味がわからない。お買上げありがとうございますぅとでも言えばいいのかな。いいぜ言ってやるよ裏声で、全力でぶりっこしてやる。任せろ。
「さて、こんにちは。私のことは博士とでも呼んでおくれ」
「はぁ……こんにちは、博士」
「……」
博士と名乗った男は床に転がる私ともっくんの前にしゃがみこんで持っていたカバンを漁りだした。ところで本当、なんでお買い上げしたの? これからなにされるの? 酷いことするんでしょう! エロ同人みたいに! とか言えばいいの? というかこの国での人身売買は禁止されているんだけど。
「少しちくっとするよ」
「っ……!」
「?」
博士は鞄の中から注射を取り出し、私ともっくんにその中身を注入した。注射を見た瞬間もっくんが息を呑んだ気がするのは気のせいだろうか。ところで何入れたの?
「さぁ、行こうか」
嫌な予感がするなぁ。




