二十二話
「次の仕事はB班と合同なので今から顔合わせをします」
晴れた日の朝、エルくんが会議室に向かう道すがらそんなことを言う。うちの部隊は普段AとBに別れているが、次の仕事は合同でやるらしい。
「どんな人たちですか?」
「変人だな」
「優秀だけど変人」
「変人かしら」
「変人ですけど、良い人たちですよ」
「変人なんですね!」
変人ということしかわからなかった。
ところで、この班も他人のこと言えないと思うんだけど、どうだろうか。
「つきましたよ」
会議室の中には5人の男性がいた。
長い金髪の美青年、フードで顔を隠した男性、カルトスさんと良い勝負になりそうな筋肉のマッチョ、黒髪猫目なほっそりした人、それから。
「もっくん!!」
「うるせえチビ! もっくん言うなっ!」
「みぎゃっ!」
同期との感動の再会をしようとしたらチョップされた。いきなり酷くないですか。
夕日のように赤い髪に、翠の右目、左目には眼帯をつけた少年は私と同じく今年入隊したモナくんである。私は親しみをこめてもっくんと呼んでる。
「久しぶりもっくん!」
「おう、トーナメント以来だなチビ」
「もっくん、私ともっくんそんなに身長違わないから、私がチビならもっくんもチビということにぐえっ!!」
「その減らず口聞けないようにしてやろうか」
殴ることなくない!?
「フィオーレ、君は彼と知り合いなのですか?」
「そういえば同期よねぇ」
もっくんに殴られた私にエルくんたちが聞いてくる。私の心配しておくれよ。
「友達ですね!」
「友達じゃねぇよ」
「えっじゃあ親友??」
「なんでだよ!」
「はっ! そうか、今までのスキンシップじゃ足りないってことだね!? まだ知り合って日も浅いしね! これからはもっともっくんに構ってもらいに行くよ! 覚悟しとけよもっくん!!」
「そういやオレお前と友達だったな」
「遠慮するなよもっくん!」
「うるせえもっくん言うな!」
「みぎゃぁぁあ!!」
アイアンクローはやめろ!
因みに私ともっくんは片手で数えられる程度しか会話したことがない。もっくんの所属する部隊もわかったし、これからはもっとしつこく話しかけに行くことにしよう。
「仲良しねぇ」
「にぎやかだな」
見てないで止めてください!
結局、誰も止めてくれなかった。もっくんの気が済むでアイアンクローされた。
「で、モナ! 彼と知り合いなのかい?」
金髪のあんちゃんがもっくんにそう尋ねた。この人声でかいな。そして髪がサラサラだ。シャンプー何使ってるんだろ。
「トーナメントの決勝で戦ったんです」
「あぁ、入隊後のだな!」
ここでは入隊試験に通るとトーナメント形式の試合が行われる。魔法は使用可能で武器は軍が貸し出してくれる。また、死者が出ないよう軍の実力者がストッパーとして何人も用意されていたりする。
私ともっくんはそのトーナメントの決勝で当たったのだ。私が負けたけど。それに決勝と言っても新人しか参加しないトーナメントで、人数も少ない。
「こいつ、トーナメントで一切魔法を使わなかったんですよ」
もっくんの言葉を聞いた上司全員が私を見た。そんな化物でも見るような視線を向けるんじゃないよ。




