315-絶えぬ祟りの呪法少女
“虚雫”の呪詛災害───かつて一つの異星種族を滅ぼす主因となった魔法少女の呪いは、死後も健在。それ所か、死後更に強まる呪いとしてこの世に有り続けている。
受け継がれた歪みの魔。
再誕した儀式は、終わりのない円環の上で、死を焚いて廻り続ける。
その呪詛の悍ましさは、彼女の出身が日本だからか。
正義の対極とされた陰陽師、蘆屋道満。首塚の平将門。天満天神にして火雷神、菅原道真。日本一の大怨霊にして大魔縁、崇徳天皇など……日ノ本の歴史に悪名を残した、人の形をした呪いたちに共感を覚え、理解を示し、自分もそうなりたいと望んだ、最低最悪の魔法少女。
生まれながらに疎まれ、呪われ、忌み嫌われ。
人扱いされなかったが故に、人間を悍ましい生き物だと定義して嫌悪するようになった……なるべくしてなった、
真性の怪物。
「ハァ、ハァ…ハァ……ごほっ、ごほっ…」
地球の呪い師、マレディフルーフと戦うメーデリアは、既に限界を迎えていた。
心身共に、進化する呪いに容赦なく蝕まれながら。
「そろそろ諦めたらどうだい?幾ら私の呪い、歪の耐性を獲得したって……追いつかない量を注ぎ込まれちゃ、もうどんなヤツだろうとぐちゃぐちゃになる……そういうモノなんだよ。だから、抗うのも本当はよくないんだ」
「っ、ハァ……そんな脅し文句で止まれる程、私に余裕は無いんですよ……ッ!」
「ふぅん?そいつは可哀想」
水面に膝を着き、荒く息を吐くメーデリア。見た目には呪詛による被害が出ていないが……その体内は、かなりの呪毒に汚染されてしまっていた。
浄化はできるが、追いつかない程に。
耐性があるのに、ここまで苦しむ羽目になったのは……偏に、フルーフがお遊びをやめたからだろう。ユメの力、その覚醒をもって。
紅い襤褸を纏い、黒ずんだ鎖をジャラジャラ揺らして。
黒い布地に紅い日の丸が描かれた顔隠しの面布をつけた、フルーフのドリームスタイル。
仄暗い影を背負い、呪詛を食む深紅の怪物。
正攻法では勝てっこない、旧世代のアリスメアーからも畏怖された、その異様。
怪人たちの恐怖の象徴。深紅の業を前に、メーデリアは歯噛みする。
「くっ…こんな、もの…!」
だが、メーデリアは諦めない。執念の女。皇帝の為に、ムーンラピスを討つ為に、死の淵から生還した彼女は生き足掻く。
軋む身体を無視して、浄化の魔力を巡らし、無理にでも立ち上がる。
耐性ができたから抗える。無ければ、意識を保つこともできなかった。数々の幸運を経て、メーデリアは反骨心を呪詛で煮え滾らせる。
浄化が追いつかずとも、心は折れず、身体は動く。
悲鳴一つ上げずに、フラフラになりながりもフルーフを睨みつける。
「まだ、まだですッ…!こんな、モノ……私は、決して!認めません!!」
執念深き水魔。不屈の闘志を見せつけるメーデリアを、対峙するフルーフは冷めた目で見下ろす。鎖が雁字搦めになった水星の上で、呪い師は思う。
面倒な相手。ここまでやって、まだ抗う。
魔法少女を相手していた怪人たちと同じ気持ちなのには目を瞑る。どれだけ死にかけようと、死を恐れずに戦いに挑む。その諦めの悪さは、自分にも覚えがあるが……
こちら側に立つと、かなりムカつく。イライラする。
だが、別に嫌いではない。諦めないモノを嫌いになる程拗れていない。敵対関係にあり、対峙しているから面倒なだけで。
「仕方ないな……いいよ、最後まで付き合ってあげる」
液体状の髪を振り上げて、その美貌に怒気を滲ませて。覚悟を灯したその瞳に、敬意を表して。フルーフは眼下のメーデリアを、再起不能になるまで呪うことを誓う。
最悪、殺してしまっても良いのだが。
雑兵は兎も角、将星クラス。それも暗黒銀河の文明値を一定に揃える要因である、浄水機構を一手に担う将星は、殺すにおしい存在だ。メーデリアは特に、生きたままでも浄水機構に加工するなりした方がお得な部類だ。最悪敗戦処理で強制労働させるのも手である。
……若しくは、ムーンラピスがそういった機構を一から作るかだが。命を奪って人道を外れるよりも(今更)、まだ生産性がある。
故に殺さず生かし、無力化する……該当個人に関しての殺意や恨みは、それを向けられる側が我慢すればいいだけのこと。
「……でも、まぁ。殺した方が楽になれそうだけど。私は知ったこっちゃないね」
敵の未来など。
形だけの主の決定など。
その果ても。
フルーフが知ったことではなく、気を回す必要もない。必要ないから、自由にする。自由に戦って、好きに勝利を飾って悦に浸るだけ。
負ける心配はない。
世界を呪う、人類を蝕む、この星空に紅色の悲劇を齎す魔法少女。
「もう一回染め上げてあげるよ。私の色に。呪いに浸して苦しませてあげる」
「ご遠慮願いたいですねぇ…ッ!」
半笑いのフルーフと、冷や汗混じりに笑うメーデリア。どちらが優位に立っているのかなど、今更語るまでもないわかりきった話だが……
敗戦濃厚のメーデリアは、再度呪いに挑む。
液体化した身体を星海浄地の水面に半分沈め、水全てを使って殺意を込める。
相手が死なずとも、魔力切れを狙えば……まだ、勝てる未来はある。
「負けません。絶対にっ!あなた相手には、特に!私は、負けられないのです!!」
「精霊魔法ッ!」
この世の液体は、全て彼女の支配下にある。厳密には、惑星の一部である海や川などの“生きた水”であり、人体の構造部品である血液や腐敗した液体等は該当しない。
呪詛に塗れた影響か、その類は支配可能になったが。
メーデリアの揺らぐ周囲が、大きく渦巻き、轟き、宙へ立ち昇る。
「諦めの悪さは、将星一ッ!この執念に、偽りは無いと!宣言させて頂きます!!」
「勝手にしてなよ」
───精霊魔法<マナ・フォール・ジャッジメント>
浮かび上がった聖水が螺旋を描く槍となり、それが複数同時顕現。如何なる強固な障壁をも貫き、裁きという名の死を押し付ける聖槍たち。
フルーフの物理防御では防げない絶殺の魔法。
次々と降り注ぎ、フルーフの身体を突き刺す液体の槍。だが、彼女は生きた死体。どれだけ身体に穴を開けられ、液体を流し込まれようとも。
終わらない。
滅びはない。
「無駄、無駄……無益だよぉ?」
貫かれたフルーフはまたしても水面に落ちるが、やはり沈まない。
ケラケラと嗤って、身体に突き刺さって体内を回転する聖槍を魔力で無理矢理弾き出し、空いた風穴はブクブクと血肉を増殖させて軽々と塞ぐ。
死とは程遠い領域に立つフルーフには効かない。
メーデリアの浄化の力では───それこそ、エーテたち新世代の浄化でも、浄化しきれない呪いの権化。邪悪たる深紅の怪。
その全貌は、既に明らかになっている。メーデリアは、見せつけられている。
故に臆さない。
「それを決めるのはあなたではない。私です!!」
───精霊魔法<マナ・キリングゾーン>
───精霊魔法<マナ・ハイドロキャノン>
───精霊魔法<マナ・ソールカッター>
同一魔法の三重詠唱、足元からの集中刺突と聖水砲撃、横薙ぎの刃がフルーフに殺到する。これでもかと、呪詛で稼働する不滅の身体をズタズタにせんと。
無尽蔵にも等しいフルーフの魔力が、尽きるまで。
その物量は凄まじく、その殺意を浴びてしまえば再生に必要以上の魔力消費を要するだろう。
当たれば、の話だが。
「いいや、私が決めるとも」
───歪魔法<イグニ>
水をも焼き尽くす青い祟り火が、迫る全てを無に帰す。最大火力で放たれた炎は、ビューティダスター表面の水も僅かに蒸発させる程。
魔法の残滓も残さぬ、死の炎。
その勢いは収まることを知らず、メーデリアの眼前まで炎が迫る。
「理不尽なッ…」
「あんたにできることはないよ。潔く諦めた方がいい……命の保証ができる」
「くっ…ふざけたことを!!」
蛇行するように襲いかかる炎を跳んで避け、フルーフの物言いにこめかみを震わせて。
怒りが頂点に達したメーデリアは、策を講じる。
それはゴリ押しにも等しい脳筋戦法。呪いの炎が燃やす速度は凄まじいが……焼却速度と面積を上回る質量で全て押し潰すこと。
「っ、ぐっ…」
メーデリアは、あの呪毒に蝕まれた日から、呪詛を体内保管する臓器構造と、魔力に変換する機構を液体状の身体に作ることに成功している。浄化しきれず、残ってしまう呪詛の溜まり場を。
ある程度の定まった形を逸しなければ自由の効く水体。
外見はあまり弄れないが、体内は好きなようにできる。そんな液体特性を利用して作り上げた臓器は、今も稼働中ではあるのだが……溜め込む速度と変換する速度が、今は追いついていない。それだけ、現在進行形で注がれているフルーフの呪詛は凄まじい。
だが、メーデリアは自分を追い込む。
許容限界を迎えている、心臓の下に作った臓器に向けて呪詛を流し込む。体内の液体全てに指向性を持たせ、その臓器に集中させる。
「ぐっ、がっ…ハァ、ハァ……ふっ…!」
溢れんばかりの呪詛が、透明な器の中で暴れ出すが……その痛みを無視して、メーデリアは呪詛そのものを魔力で刺激し、活性化させる。
自殺行為だが、彼女なら問題ない。
ただ、かつての二の舞を。呪詛に呑まれても耐え抜いたあの日を思い出しながら───その水体を、呪毒で大きく歪ませる。
「おいおい。やるにしても、こう……まったく、ヤル気があるのも感慨ものね…」
「ごほっ、げほっ……こレぐらいやらネバ勝てなイ相手。自らのミを削らナナナいで勝てるとオモうほど、あナたをナメているとでモ?」
「重いなぁ」
そうはさせないとフルーフが魔法を叩き込むが、最早、メーデリアは意にも介さず。
声が変わる。
姿が変わる。
星海浄地に下半身を埋めたまま、否、水惑星そのものを下半身として取り込んで、星と一体化する。
原型を留めぬまま、その水体を膨張させて。
かつて、呪いに落ちた時と同じ姿───“邪海星滅”へと変容する。
今の自分が有する最高火力を出せる、黒歴史の姿へ。
「アガッ、グ、オッ、オオッ───■■■■■■ッ!!】
声にならない叫びを轟かせて、プラネット・ラグーンや周辺の水惑星を完成崩壊させた巨神は顕現する。
洞の空いた顔が、遥か天上よりフルーフを見下ろし。
己の下半身となったビューティダスターにいる、小さな深紅。呪いに沈む思考でも、理性を保ったまま、下半身に居座る深紅へ攻撃する。
そのまま取り込んでは、内から蝕まれるだろう。
故にメーデリアは、フルーフを惑星から追い出し、宙へ弾き出す。
【■■■ッ!!】
「ッ、こいつ…」
爆発的が魔力放出を実行することで、フルーフを銀河に吹き飛ばすことに成功。爆風に耐え切れなかったフルーフは身体にヒビを入れ、吐血しながら宙を舞う。
恒星異空間の中でも、一際大きな邪水の巨神。
魔力探知の範囲も桁違いに広がり、宇宙に漂う小数点を見逃さない。
【■■■───死にナさイッ!!】
かつては、この姿となったことで、自我を手放したが。今のメーデリアは、その欠点をも克服した。執念で、敬愛する皇帝に勝利を捧げる為に。
思い通りに巨躯を動かし、無数の手をフルーフへ。
山を砕き、大陸を貫き、星を破壊できる超質量の拳が、フルーフへ殺到する。
そう、最適解とは───大量の拳で、殴り続けること。
「それは無理があるッ!!」
余裕そうだった表情は一変、焦り顔のフルーフは障壁を張るなり緊急脱出魔法を使おうなりして、どうにか拳から逃げようとしたが……
巨拳の速度には間に合わず、直撃。
星間攻撃級の連打は絶え間なく降り注ぎ、顔面も身体もタコ殴りにされる。
……拳の大きさがフルーフの大きさを遥かに超える為、最早タコ殴りではないが。複数の方向から、質量をもった水の塊に潰される。それも、連続で。
原型を留められるわけがない。
「ごぽっ、ぐへっ、う゛っ、ごぺっ」
ぺしゃんこ、といった言葉が生易しく思えるぐらいに、徹底的に破壊されるフルーフ。皮膚は破け、血肉は弾け、神経は断絶し、骨は粉に、眼球は液化し、脳みそまでもが粉砕される。
生存不可能、瀕死の騒ぎではない残骸そのもの。
この状態で意思を保っていられるのが、フルーフの怖いところなのだが。
【ニ度と、現れルナッ!!】
そんな状態になっても、メーデリアは殴るのを止めず、攻撃を連打する。油断はしない。魔法少女であるならば、この状態でも復帰しかねない。そんな恐怖心も滲んだ重い予感を胸に、殴る手を止めない。
殴られているフルーフは、溜まったものではないが。
痛覚は切ったが、衝撃は精神にまで届く。何度も思考が途切れかけながらも……ただで殴られてやるフルーフではなく。
「くぁwせdrftgyふじこlp───…いい加減にしろッ!!執拗いぞミズオンナァ!!』
【なっ!?】
口は動かない。その代わりに、思念で殺意を飛ばして。なんとフルーフは、ぐちゃぐちゃになった肉体をそのまま宇宙空間に放棄した。
肉体を破棄し、精神を器から飛び出させ。
霊体となったフルーフは、うるさい巨神に向けて突貫、進撃する。
今のフルーフは亡霊である。肉体を捨て、精神体でのみ活動する呪詛深き真の怨霊である。この状態でもしっかり活動できるのは、彼女が呪術に精通しているから。
これは秘密なのだが……
この魔法少女、将来的には霊体でゾンビマギアの色物になろうとしていた為、ある意味では予定調和なのである。当然怒られるが。
『幽体離脱は経験済みだから、知ってたけど……せっかくなんだから、教えてあげる。いいかい?霊体、精神体の方が呪詛効率がいいんだよ。使いやすいんだ』
【ッ、気持ちノ悪いコトを……さっさと、黙レッ!!】
『聞いてけってば……仕方ないなぁ。いいよ、痛み分けで終わりといこうッ!!』
【ソうでスねぇ!!】
フルーフは肉体を失い。メーデリアは将星としての地位諸々を失う。損失が大きいのはメーデリアだ。フルーフは自分たちの勝利を疑わず、敗北を赦さない。
霊体となったことで精神の軛が外れたのか、フルーフのテンションは高くなっていて。
歪魔法の呪詛を増幅させ、霊体を脈打たせる。
咆哮を轟かせたメーデリアは、紅き呪いに共鳴しながら殺意を高まらせる。
霊体には普通、干渉できないが……精霊の力であれば、問題はない。
【負けまセんッ!陛下に、勝利ヲッ!!】
───精霊魔法<マナセイクリッド・オーバーヘブン>
聖水と魔水、二つの力を併せ持つ巨神の全てを使って、メーデリアはフルーフに襲いかかる。本来は塊そのものをぶつけて破壊する魔法。その発展系として、巨神の状態で突撃しながら、複数の破壊水砲を束ねたビームを放つ。
無数の手がフルーフに狭り、掴みかかり、霊体も精神も引き裂こうとする。
そんな脅威を前にしてもフルーフは止まらず、どころか迷わず突き進み続け。
炎を点火する。
『祟ろう。呪おう。終わりと往こう』
───歪魔法<タタリビ>
それは、術者以外の運命力───メーデリアの勝機や、意志の力などを燃料に、<イグニ>よりも青く燃える炎をフルーフはその身に纏う。
正に、業火に燃える亡霊。
祟りそのものであり、呪いそのものとなったフルーフの吶喊である。
その祟り火は、より熱く、より強く、より悍ましく。
メーデリアの想定を遥かに上回る速度で、巨神の水体に着火、延焼する。
【なっ、アアアァァァァァッ!?】
燃える。
燃える。
燃える。
呪いの業火が、全てを燃やす。メーデリアの魂までも、焼いていく。
恒星異空間に悲鳴が響き、青い太陽へと燃え上がる。
メーデリアの失敗は三つ。
“邪海星滅”という呪いに耐性があり、呪いそのものたる超級存在になったこと。戦略としては大きいが、フルーフという怪物には通用しない。肉体を削れても、それ以上は効きもしない。ただの燃えやすい薪でしかない。
二つ目は、これならすぐには燃え尽きないと自らの力に自信を持ってしまったこと。
そして、三つ目は───さっさと降参せず、プライドを捨てれずに戦ってしまったこと。
メーデリアの敗因は、その全て。
死という“活動限界”を迎えられなくなったことで、余計手が付けられない怪物となった、フルーフの相手になった時点で、もう。
【うぐっ、アッ……がぁっ…】
燃やされた水体が、青く燃えて溶けていく。祟り火が、呪いの業火が巨神を焼き尽くす。
聖水は汚染され、魔水は燃料となり。
メーデリア・アカリュリスは、悲鳴を上げながら巨神を縮小させる。水体は蒸発していき、残っていた呪詛も全て焼却されていく。
抵抗はできない。逆らうという思考すらもが、祟り火に焼かれて消えていく。
メーデリアは敗北を悟る。
身体は元に戻って、燃え尽きなかった下半身の浄水……何事も無かったようにビューティダスターの形に元通り。切り離されたメーデリアは、伴星を統括していた浄水所に落下する。
「がはっ…くっ、ぅ…」
息も絶え絶えで死に体のメーデリア。息ができてるのが不思議なくらいの状態で、血反吐を吐いて蹲る。どうやら死んではいないらしい。
死んでいないだけで、瀕死の重傷だが。
外見的な差異が、あまりにもありすぎる。そんな将星をフルーフは見下ろす。
『ふふふ……随分とまぁ、ちっこくなったじゃないか』
戦いは終わった。
霊体故に、僅かに浮かんだフルーフの視線の先には……手のひらサイズにまで小さくなった、デフォルメのようなメーデリアが蹲っていた。
どうやら、弱体化するとこうなるらしい。
随分と可愛らしい姿になったメーデリアを、フルーフは指で摘んで持ち上げる。
「くっ、ころせっ!」
『え?やーよ。それにこんな可愛いの、殺したら方々から怒られそうで怖いしねぇ。ふふっ、いいこと思いついた。もうずーっとその形でいような』
「いやです!ふざけるな!はーなーせーっ!って、なんでもちあげられてるんですか。は?ごーすとならごーすとをまっとうしなさいよ」
『正論やめな?』
猛烈に抗議するメーデリアなど、最早怖い物ではなく。星海浄地の戦いは、フルーフの勝利で終わる。肉体の器を失ったが、損害はその程度。
力を失い、無力となった水精霊を摘んだまま。
亡霊へと変容したフルーフは、ケラケラと笑って勝利を喜ぶのだった。




