X4_Hidden Surface
第十八話「Hidden Surface」。サブタイトルは「アンバランス」。
迷宮都市の路地で、ウィルフレドは道に迷っている。
教えられた通りに進んでいるのに、何度も同じ地点に戻されてしまっているようだ。
彼が目指しているのは、魔術師ホーカ・ヒーカムの屋敷。
ただ歩くだけではたどり着けない魔術師たちの庭を、ウィルフレドはコルフの協力を経て進んでいく。
〇 シュヴァル
10話「Chain of faiure」で回収業者に助けられ、デルフィの「生き返り」で命を取り戻した少年。
11話「Pay Day」でティーオを襲い、12話「Celebrity of the 12 gates city」で「黄」の迷宮に潜んでいたのも彼である。
初登場時の年齢は十一歳。髪は栗色で柔らかく、瞳は深い青色。顔だちは美しく整っているが、子供らしさは余りない。
非常に荒々しい言葉遣いをすること、平気で盗みをすること、どうやらスカウトとして見込みがあることなどがわかっている。
紫で一緒に倒れていた大男の名はオンダで、シュヴァルとは主従関係にあったような気配がしている。
この話の時点ではホーカ・ヒーカムの屋敷に軟禁されていて、自由に外に出られる状態ではない。
― 迷宮都市豆知識 ―
□街のど真ん中は魔術師たちの住処
迷宮都市は迷宮を囲むような形で出来上がっていった街だが、迷宮の並び方から、「橙」を除く八つの迷宮の描く四角形の中にもう一つ入口があるのではないかと考えられていた。
結局新たな迷宮の発見はなく、街のど真ん中にはぽっかりとスペースが空いてしまう。
商人たちはなんとなく恐ろしくてそこに住むことも、店を建てることもしなかった。
そんな空き地に住み着いたのは魔術師たちで、ど真ん中は私塾や魔術師たちの屋敷が立ち並んでいる。
□迷い道現象
このエピソードの頃、魔術師たちの住処のあたりでは、なぜか道に迷ってしまうという現象が多発するようになっていた。
明確に目指すところを知っている者ならばとか、既に弟子入りをしていれば大丈夫だとか、いろいろと言われてはいるが、目的地に辿り着く条件ははっきりしていない。
□キーレイの見立て
ウィルフレドに魔術師の屋敷への行き方を尋ねられ、キーレイは「黄」で出会った少年について思い当たる。
あの年頃ならば保護が必要であり、スカウトとしての素質があるとも考えているようだ。
□ホーカ・ヒーカムの屋敷
直接の弟子であるというコルフの手を借りて、ウィルフレドはホーカの屋敷に辿り着く。
屋敷の中には透けた布だけを身に着けた美しい青年が大勢ぼんやりとしており、驚かされている。
そんな屋敷なので「若くて美しい男しか入れてもらえない」と噂されているが、実際の条件は違う。
よほど見苦しくなければ、才能のある者は受け入れてもらえる。魔術師を潤す儲け話を持ってきた商人も、通してもらえる。
□屋敷の美青年たち
髪や瞳の色は様々だが、みんな色白で美しい顔立ちの者ばかりらしい。
□迷宮での潜伏生活
詳細は不明だが、シュヴァルはオンダと共に「紫」の迷宮でしばらく身を隠していたらしい。
追われて仕方なく迷宮に入り、毒を浴びながらも潜伏を続けていた。
運よく泉の水に気付いて生き延びていたが、最後には落とし穴にはまって力尽きたようだ。
デルフィたちが二人のところに辿り着いたのは、とても運命的な出来事だった。
□屋敷へ来た理由
シュヴァルと名乗った少年に、ウィルフレドは母親の名を尋ねている。
長い間探していた女性に生き写しで、確認したいと思ってのことだ。
だがシュヴァルは荒々しい言葉で客を罵り、答えは示されずに終わった。
あまりの態度の悪さに、ウィルフレドもさすがに驚かされている。
□謎の男、ヴィ・ジョン
魔術師の屋敷を案内してくれた黒づくめの男。
ウィルフレドを「御武人様」と呼び、シュヴァル直通の鍵を分けてくれる。
待遇は悪いものではなく、それゆえにウィルフレドは困惑させられたようだ。




