04_Love will KILL you 〈愛の花は迷宮に咲く〉
第六話「Love will KILL you」 サブタイトルは「愛の花は迷宮に咲く」。
探索者になろうと迷宮都市を訪れる者は大勢いるが、続けていけるのはほんの一握り。
探索を辞める理由はそれぞれに違うが、この話では前向きな気持ちで終われる幸福について語られる。
「愛する者ができた」探索者は、危険な暮らしを続けるのはやめる。
このエピソードに登場する探索者、フィーディーは、恋した相手のためにあるものを手に入れようとして、迷宮へ向かう仲間を探しているようだ。
〇 フィーディー・ステア
もともとはベリオの仲間であった探索者。
迷宮の中で勝手に去って行ったベリオを恨んでいたが、ちょうどよく見つかったからと全力で頼ろうとする。
〇 チョーク・フルッチ
探索の腕はそれなりの中級者でスカウト。レンドという戦士と組んで探索をしている。
カッカーの屋敷には初心者時代に世話になっており、才能を開花させて自立したという経緯がある。
屋敷で暮らしていた頃、ヴァージに思いを寄せ、何度もアタックしたものの玉砕している。
自立した後も未練から屋敷に顔を出していたようだ。
ヴァージがよりによってカッカーと結ばれ、子供を産んだことを内心で恨んでいた。
このあたりの事情は本編ではまったく明かされない。
― 迷宮都市豆知識 ―
□クーデリオ商店の看板娘、エーリア
フィーディーが恋した相手。街の西側にある雑貨屋で働いている。
フィーディーにしつこく言い寄られて困った末に、難題をふっかけることで諦めさせようとした。
この難題はエーリアだけで考えたものではなく、仲間であったミルカルたちに入れ知恵されて計画された。
ベリオの考えた通り、役立たずを追い出すための画策だった。
ただ、結果的に難題をクリアして帰ってきたフィーディーに感激したらしく、エーリアは愛の告白を受け入れている。
二人は故郷へ戻り、ミルカルたちは新たな仲間を加えてまだ迷宮都市で探索を続けているらしい。
□白晶石の華
ビーネレースと読む。「白」の迷宮だけで見つかる宝石で、白く透けていて見つけるのは非常に困難。
売るとかなりの高額になるのは、街に持ち帰れる量が少ないからだろう。
原石のまま飾られたり、加工されて宝飾品に使われたりするらしい。
□夜明かし中の排泄マナー
夜明かしの間はみんな寝ているので、用を足したい時には一人でちょうどいい場所に行ってすませる必要がある。
どうして怖くて行けない場合、仲間が寝ている近くで……なんてことも探索中には起きる。
すっきりはできるだろうが、地上に戻ってから追放されても文句はいえない。
□探索上級者の地図
上級者の作った地図は、どんな宝にも勝ると考えられている。
有名なスカウトは盗難の被害を防ぐためにあえて偽物の地図を作って自宅に置くこともあるという。
ベリオはそうわかっていたのに、ニーロの地図を持ち出してしまった。
この地図によって引き起こされる事件は、後にベリオ以外の人物の上に降りかかることになる。
□探索中に仲間とはぐれた時
迷宮には落とし穴や回転扉などの罠が仕掛けられていて、仲間とはぐれてしまうこともあるだろう。
同じ罠にかかれば合流は簡単だが、致死の仕掛けが施されていれば合流どころではなくなってしまうし、一度作動すると再び動くまでに時間がかかるものも存在している。
なるべく早いうちに合流しなければ、探索者の命は危うくなるだろう。
万が一はぐれた場合、それぞれで確実に脱出できる用意があるのは、上級者だけだ。
初心者は深追いせず、無事に戻れるよう祈った方が良い。
感傷的になって追おうとすると、全滅の可能性は高まるだろう。
□最初はまっとうな探索者だった
デルフィが語ったジマシュについての言葉。
これは完全に誤りであり、デルフィがそう気づくのはもう少しあとになる。
□二人のはじまり
食堂で相席しただけのベリオとデルフィが再び出会い、フィーディーやレンドたちとの探索でさまざまな思いを抱えて、二人は共にやり直していこうと心に決める。
悲劇を見て心を痛めていたデルフィが、「生き返り」の力を得る重要なエピソードでもある。
迷宮都市には出会いと別れが溢れている。
ベリオとデルフィもそれぞれに別れと得難い出会いを経て、新たな暮らしに身を投じていくことになった。




