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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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875/882

第875話 帝国内の組織についてですが何か?

 バシャドーの街、住民達が一丸となって、復興に力を入れている頃。


 リューは『次元回廊』を使用して、帝国国境の街『キョウコク』に、足を運んでいた。


 しばらく現場に任せて放置していたのだが、ランドマーク本領へ数日ぶりに顔を出した時、帝国の新領地(クレストリア王国から奪った領地)で、紛争が起きていると父ファーザから知らされたからである。


「あっ、若様! お久しぶりです!」


 狼人族でリューから支援を受けて帝国裏社会で『竜狼一家』を設立したボスのウルガが、本部事務所の玄関前で腰を低くし、嬉しそうな笑顔で出迎えた。


「ウルガ、元気にしてた?」


 リューは気さくに声をかける。


 これには、リューの顔を知らない他の新人構成員達が、目を見開いて驚く。


 ウルガは、上下関係に厳しい狂暴なボスとして、恐れられていたからだ。


 それが、見た事も無い人族の少年に呼び捨てにされ、笑顔で対応している姿は、何が起きているのかと、信じられない思いで見ていた。


「元気にしてましたよ。若様。最後に会った時から、構成員の数も結構増えていて、勢力が順調に拡大しつつあります」


 ウルガは、リュー達を自ら応接室に案内する。


 これにも、構成員達は、驚くしかない。


 接客は普段、平構成員にやらせているからだ。


 いよいよリューが、何者なのかとざわつき始める。


「あの方は、ボスの親分にあたる方だ。名前は秘密だから言えないが、ボスは一度、あの方には徹底的に負けているからな。それに『竜狼一家』は、あの方によって作られたんだ。──お前ら、粗相がないようにしろよ」


 だが、設立時からの狼人族メンバーが、他の構成員達に軽く説明をした。


 構成員の獣人族達は、また、驚くしかない。


 ボスであるウルガは、抗争になれば先頭に立つような勇敢さで、凶暴さを併せ持った、連戦連勝、負け知らずの狼人だからだ。


 二メートル十二センチの巨体だが、その体躯に似合わない程の敏捷さ。


 力も強く、武器である爪剣を振るえば、たちまち死体が積み重なって、敵は震え上がった。


 その為、帝国裏社会では、『狂狼』ウルガという異名で知れ渡り始めている。


 そのウルガが小さい人族の少年に負けたと聞けば、その対照的な大きさに想像が追い付かない。


「どんだけヤバい人なんだ……」


「ボスに一度、話は聞いてはいたが、冗談だと思ってた……」


「俺もだ……。あの身長差で、どうやったらボスに勝てるんだ……?」


 腕利きの構成員達がお手上げであるボスを倒した、というリューの存在に畏怖を感じるのだった。



「それで、ウルガ。最近はどうだい?」


 リューは応接室に移動すると、早速、『竜狼一家』の近況を聞く。


「元『吠え猛る金獣』の縄張りは、全て傘下に入れる事ができました。現在は、帝都のいくつかの組織が、うちに接触してきています」


「帝都の?」


「がう! 元々、『吠え猛る金獣』が、帝都にある組織の一つ、『金色夜叉』の傘下だった事もあり、組織名が変わっただけで、すぐにうちが、どこかの組織の傘下に入ると思っているようです」


「『金色夜叉』……ね? 帝都には他にどんな組織があるの?」


「他には『黒の鉄腕士団』、『銀の槍鬼会』がかなり大きな組織ですかね」


 ウルガは、『吠え猛る金獣』の構成員時代、ボスの護衛役として派遣され、帝都の『金色夜叉』本部に出入りした事があるらしい。


 その時に幹部から、対立している組織名を、教えられたのだとか。


「組織名に色が入るのは、こっちの国の決まりなの?」


 リューは組織名に色が入っている事に、気づいた。


「帝国で金色、黒色、銀色などは、上位を示す色として尊重されています。なので組織名に色を入れられるのは、大規模な組織に許された特権になっていますね。傘下組織は、親組織の色を、自分の組織名に入れる事で、他組織を牽制する働きがあります」


「なるほどねぇ……。ちなみに、赤はあるの?」


「赤はないですね。緋色ならあった気が……。どうしてですか?」


「いや、『竜狼一家』も色を入れようかと思ってね?」


 リューが興味本位で提案する。


「いいわね。ミナトミュラー家は、青が基本色だけど、『竜狼一家』は『竜星組』の傘下だし、リューの赤髪に合わせていいんじゃない?」

 ※横浜が青色をイメージ色としているので。


 リーンもノリノリで賛成した。


「『赤髪竜狼一家』……ですか? ──おいら、気に入りましたよ! これからは、『赤髪竜狼一家』を名乗って、他の組織の傘下に入らない事を表明します!」


 ウルガも気に入ったようだ。


 後ろに控えていた幹部達も、色を持つ事に賛成なようで、嬉しそうだった。


「それじゃあ、今後もウルガを中心に邁進してね?」


 リューがウルガ以下、幹部達に声をかける。


「「「がう!」」」


 幹部達は、ボスウルガの親分であるリューに、声をかけられて気合いが入った。


「いい返事! あとはうちの部下達と協力して、情報収集も怠らないようにしてくれればいいから。よろしくね」


「わかりました!」


 ウルガは、リュー相手に直立した。


 幹部達は、畏怖するウルガがリューに対して畏敬の念を示す姿に、自分達も粗相がないよう礼儀正しく振る舞うのだった。



「次は、うちの部下達からの報告を聞きたいところだけど」


 リューは『赤髪竜狼一家』本部事務所をあとにすると、街の郊外に出る。


 すると、それを待っていたとばかりに、一台の馬車が近づいてきた。


 ランドマーク製の馬車だ。


「若、待っていました」


 馬車の扉が開き、そこから帝国に潜入し、情報収集を行っている部下の一人が現れた。


「ご苦労様。近くで話そうか」


 リューは馬車の扉の小窓から応じると、御者に命じて、見晴らしの良い丘に向かわせた。


「それで、そちらはどうだい?」


 リューはウルガの時と同様、ざっくりと聞く。


「はい、かなり帝国内部の情報も集まってきました。内通者も増えてきたので、ドワーフ達の偽造身分証製作が追い付かず大変ですが……」


 部下は苦笑した。


 帝国の身分証は、国内にいるドワーフの職人にお願いして、精巧な作りの偽造身分証を用意してもらっている。


「資金繰りが大変だったら、言ってね?」


「それは、ウルガの方に用意させるので、問題ありません。どちらかというと、資金よりは、お酒を用意してもらえませんか? 密輸ではマイスタ産のニホン酒が中々届かないもので……」


「ニホン酒? そのくらいは全然いいけど、みんなで飲むの?」


 リューは希望のニホン酒を、マジック収納から取り出して渡す。


「おお、助かります! 以前、ドワーフ達に差し入れしたら、定期的にニホン酒を持ってくるなら、お代はいらないと言うものでして」


「はははっ! さすが、酒好きで有名なドワーフ族だね!」


 リューは笑うと、マジック収納から、オリジナルニホン酒とニホン酒ノーエの二種類を、十本ずつ追加で渡す。


 部下は喜んで受け取ると、馬車内部に運び込んだ。


「あ、それと、帝国新領地の内乱における情報と、若が求めていた情報を、入手しました」


 部下は真面目な表情で、手には資料が握られている。


「本当に!? 早かったね。ご苦労様!」


 リューは喜ぶと資料を受け取り、すぐに目を通すのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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それでは引き続き、各作品をよろしくお願いします。

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