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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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87話 王都到着ですが何か?

 朝になると、スーゴとリーン、御者に領兵二人は憤っていた。


 それは、リューが部屋から追い出され、空き部屋に移動させられた事についてだった。


「リュー、どういう事よ!朝起こしに部屋に行ったら、あの感じ悪い子になってるじゃない!」


「そうですぜ、坊ちゃん!何で昨日の時点で声をかけてくれなかったんですか!」


 いや、スーゴ、…君、寝てて起きなかったよね?


 リューは白い目でスーゴを見た。


「なんですか坊ちゃん、視線が冷たいですが?」


 スーゴもそれは感じたらしい。


「昨日遅くにあっちがここの村に到着して宿屋の主人が部屋を空けないとまずい状況だったから僕が譲ったんだよ」


 リューは少し端折ってオブラートに説明した。


「譲ったって、それ、追い出されたんでしょ?」


 リーンが核心を突いてきた。


「あちらは伯爵、狭い村ではこういう事はあるよ。それに宿屋の主人の事を考えると可哀想でしょ?だからこれ以上は言っちゃ駄目だよ」


 リューが全員に念を押した。


「……わかりました。坊ちゃん、道中、今後も被りそうなので食事が終わったら、とっとと出発して距離を広げましょう」


 スーゴが、提案してきた。


 その提案、採用!


 リューもこの街道上を進んでいたら、きっとまた同じ事が起きると思っていたので勘のいいスーゴの提案は賛成だった。


 御者や、領兵もその案に頷くと急いで食堂に向かう。

 早く食べしまおうという事だった。


 そういう感じで、妙な事で一致団結する一行であった。



 元々、馬車にはリューとリーンだけで荷物は全てリューのマジック収納に入ってる為、軽くて済んでいる。

 スーゴと領兵も騎馬で進んでいるので問題ない。

 それからは王都までの二週間近くは、何かに追われる様に食事と睡眠、休憩は取りつつも、早く進み続けた。



 そんなこんなで、王都には予定より三日早く到着する事になった。


 王立学園の受験日が到着予定日の三日後だから、合計一週間近く余裕が出来た事になる。


「スゴエラ侯爵の領都も凄いと思ってたけど、王都は聞きしに勝る大きさだね!」


 リューが感心して王都の城門を馬車から身を乗り出し下から眺めた。


 リーンも同じ様にして眺めると、


「大きさでは負けるけど、ランドマーク領都の城門も十分立派よ」


 と、負けん気を見せた。


「いや、そこは勝負挑まなくていいから……!」


 リューは苦笑いしながらツッコんだ。


 リーンとしては、リューと自分で作った経緯がある為、思い入れも大きいのだ。

 それはそれで嬉しい事だった。


 王都内はやはり規模が違った。

 何より人が多い。

 ランドマーク領の豊穣祭と比べてもこちらの方が祭りでもしてるのかと言うくらい人がごった返している。

 そして、人種のるつぼだ。

 ランドマーク領では見かけない人種も沢山いる。

 エルフは珍しい人種だと思ってたが、王都ではそこら中に普通に歩いている。


 リーンが目立つという事はなさそうだ。


「獣人族にも沢山人種がいるのね」


 リーンが馬車の窓越しに外を眺めながら言った。


「そうだね。こっちではリーンでも目立たないね」


 リューが笑いながら答えた。


 ランドマーク領ではエルフはリーン一人だったので目立っていたからだ。

 それに美少女とあっては、人気は絶大だったが、本人の性格上、その辺りはさほど気にはなっていなかった。

 領主の三男であるリューといつもいるので注目されるのは当たり前と思っていた様だ。


「そうね。それはどうでもいいのだけど、これからどうするの?」


 リーンは、やはりそんな事には興味はなかった。


「ドライだね。ははは。取り敢えず、お父さんが以前泊まったらしい宿屋に部屋を取ろうか」


 父ファーザが以前泊まったところは、昇爵の話を断る為に王都まで来た際、手配した宿屋なので比較的に質素だった。

 もちろん、貴族としてという意味で、普通に良い宿屋だ。

 ランドマークの名を名乗ると、宿屋の女将は父ファーザと同行したスーゴを覚えていてすぐ、大歓迎ムードになった。


「女将、ランドマーク男爵の三男のリュー坊ちゃんだ。今回は王立学園の受験で来たから、その間よろしく頼むよ」


 スーゴが言うと、


「あらあら、そうなのかい!?それは凄いじゃない!受験の間、うちでしっかり準備して合格して下さいな!」


 女将はそう答えると、従業員に一番いい部屋を案内させるのだった。


 一番良い部屋と言う言葉に、拒絶感が出てしまうリューだったが、何とか好意に甘えるのだった。

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