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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第526話 蠢く闇ですが何か?

 リュー達と王女リズの一行は、ランドマーク領で二日の滞在後、ノーエランド王女エマと再会を誓い、一時のお別れの挨拶をしてから王都へと帰還した。


 この二日間で王女リズと王女エマは年齢も近い事からかなり親しくなっていた。


 これにはリューも二人を引き合わせて良かったと思うのであったが、それと同時に、次男ジーロが王女エマとソフィア・レッドレーン男爵令嬢の二人とかなり親しくなっている様子にも期待を寄せた。


 兄タウロは父譲りの良い意味での人たらしだが、次男ジーロは良い意味で女性の扱いが上手いようだ。


 特に、ソフィア嬢とは、よく笑顔を見せて話していたから、これはいい感じかもしれないとリューは密かに期待するところである。


 とはいえ、王女エマ一行はノーエランド王国と連絡を取って迎えが来次第、この国を離れる事になるから、正直、悲恋に終わる可能性もあった。


「僕に出来る事はお兄ちゃん達を応援する事だけかな……」


 リューはせっかくの二人の出会いだが、その後についてはどうしようもできないと、思う。


「それって、ジーロとあの二人の事?」


 リーンが二日ぶりの学校で朝から独り言を漏らすリューに聞く。


「うん、鋭いね。はははっ! さすがにエマ王女殿下相手はないと思うけど、ソフィア嬢とは急接近している気がしたからね。でも、あとどのくらい一緒にいられるかわからないからどうなることやら……」


「本当に二人が運命の相手なら、なるようになるでしょ」


 リーンがリーンらしからぬ台詞を言った。


「え? 運命の相手とかリーンの口から聞くとは思わなかったよ」


 リューはちょっと茶化すように指摘する。


「そう? 私はリューとの出会いも運命だったと思うし、ファーザ君やセシルちゃん、カミーザおじさんとの当時の出会いも運命だったと思ってるわ。あとはジーロがそれをどう感じるかじゃない?」


 リーンは当然とばかりに答えた。


 迷いなく言い切るリーンに、


「おお……! なんかリーンが格好いい……」


 とリューは感心する。


「何言ってるのよ。私は常に格好いいに決まっているじゃない!」


 リーンは褒められてちょっと頬を赤らめるのであったが、自信があるのもいつもの通りだ。


 そこへ、イバルが教室に入ってきた。


「おはよう、リュー、リーン。──うまくいったか?」


 イバルは挨拶すると何がとは言わず、聞く。


「うん。今のところはね。──あ、イバル君に聞いておきたい事があったんだよ」


 リューはイバルの質問にニヤリと笑みを浮かべて応じるのであったが、何かを思い出したように聞き返した。


「なんだ?」


「実は──」


 リューは真面目な表情になると、南部の海賊討伐とそれに関係している可能性があるかもしれないバンスカーなる人物が候補の一人として浮上した事を説明した。


「──そのバンスカーという人物がエラインダー公爵家に仕えていると聞いてね」


「バンスカー? 聞いた覚えがないなぁ……。でも、その特徴の人物は小さい頃、当時の屋敷内で一度だけ見たよ。子供心に凄く怖かった印象があるから、今でも鮮明に覚えているな。あれがそのバンスカーという人物だったのかも……」


「何か他に詳しく覚えている事はない?」


「そうだな……。それ以来、屋敷で見た覚えはないな……。でも、それ以降、定期的に見た事がない商人が出入りしていたよ。慎重で警戒心が強い父……、エラインダー公爵が毎回知らない商人と密会しているのは凄く気になったな。今考えるとあれは誰かからの報告を受けていたのかもしれない……」


 イバルは過去の記憶を思い出し、分析しながら口にした。


「……顔馴染みのない商人との密会か。確かに変な話だね。普通、商人とは顔合わせして、ある程度親しくなって信用出来るか確認してから商売の話になるものだから……。もしかしたら、それがバンスカーとの接点なのかもしれない……。毎回違う商人なのは、接点を最小限にする為だと考えたら納得がいく。どちらにせよ、その人物はかなり、警戒心が強いのがわかるよ。それが雇い主であるエラインダー公爵相手でも」


「あの火傷跡の印象が強くて、顔全体を思い出すには正直昔過ぎて難しいけど、二度目はすぐ気づくと思う。──俺が調べようか?」


 イバルはどうやら、エラインダー公爵の王都以外にある闇の部分の一端をついに見つけたと感じたのかリューに許可をお願いする。


「いや、イバル君にもしもの事があったらマズいし、なによりこの人物、王都に近づく事がない気がする。元々、エラインダー公爵の身辺はこの半年以上、ランスキーに調べさせているけど一度もそういう風貌の人物は浮上していないからね。関係地域でも同じだから、行動範囲は王都以外の地方だと思う」


「そうなるとランスキーさんの部下の専門か……。わかった。もしそれっぽい人物を発見したら俺が顔を確認するよ」


「うん。その時はお願い」


 リューは頷くと考え込む。


 もちろん、今のところ可能性の一つとして、バンスカーという火傷跡の人物が浮上しているだけなのだが、思わぬ王女リズの情報でエラインダー公爵家のまだ見ぬ闇の部分が見えそうになっている気がした。


 その元子供であったイバルさえ知らないエラインダー家の闇、それが王都以外の地方で蠢き、暗躍しているのかもしれないと思うと、今後の方針を少し変えないといけないかもしれないと思うのであった。

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