地震
「あーあ、退屈!」
「駿、ゲームでもしようか」
「いいよ、でもぼく強いよ」
「そうなの・・?!」
『グラグラグラ~』
「わっ、また地震だよ。最近多いな地震」
「翔太、地震怖いの?」
「いや、怖くはないけどさ・・」
最近よく地震が起きる。そんなに大きな揺れではないけど、回数が半端じゃない!
いつか、大きな地震が起こらないといいけど。
サターンをやっつけて、地球に戻り早一年。僕は15才。駿は6才。のほほーんと暮らしていた。
アオ達とも連絡はとっていない。まあ、もう超能力者じゃないから、テレパシーも使えないんだけど・・。
そんな時だ、ある訪問者が突然現れた。
『よっ!翔太、駿・・』
「ん?・・あっ!ブルー」
「アオ、よく来たなあ!」
『ああ、ご無沙汰。約一年ぶりだな』
「会いたかったよ、ブルー」
『ボクもだ駿』
「で、どうしたんだ?いきなりやって来て。アカが病気とか・・」
『違うよ。月ではみんな元気さ』
「じゃあ?」
『最近地球では、地震が多いだろう』
「うん、そうなんだよ。さっきもあったばかりさ」
『実は、嫌な噂を耳にしてさ』
「嫌な噂?」
『あのサターンが復活したらしいんだ!』
「なんだって!!」
「まだあいつ生きてたの?ぼくがやっつけたのに」
『うん・・あれ?駿、今自分のことぼくって?』
「そうだよ」
『駿は自分のことを駿くんって言ってなかったっけ』
「もうそれは卒業したの!もう6才だもん」
『へえー』
「アオ、それでサターンは今どこにいるんだ?」
『・・』アオは黙って床を指差した。
「なにー!僕の家」
『違うよ、この地球のどこかってこと』
「なんだよ、おどかして・・なにー!地球だって」
「ブルー、それ本当?」
『間違いない。地球にいる』
「地球のどこに・・?」
『おそらく海だ』
「去年は宇宙で、今年は海。忙しいやつだな」
『翔太、冗談を言ってる場合じゃない』
「そうだな」
『最近地震が多いのも、どうやらサターンの仕業らしいんだ』
「そうだったのか。相変わらずだな」
『また力を貸してくれるか!?パパとママからもヨロシクって言ってる・・』
「ぼくはいいよ!」やすうけあいの駿。
『翔太は・・』
「助けてやりたいのはやまやまなんだけど、高校受験もあるしなあ」
『このままサターンが暴れだしたら、高校受験どころじゃないぞ!』
「確かに。でも超能力も何もないぞ」
『簡単さ。封印を解けばいいんだから。それに雷鳴の剣も復活させる!』
またサターンと闘うことになるのか?!また雷鳴の剣で痛めつけてやるか。久々にアカや女神、ゼウスにも会えるな。ゼウスのやつ少しは腕を上げたのか?
それに駿の放つ雷鳴の剣の一撃!また見られるのか・・なんかワクワクするなあ!
僕たちは桃子ちゃんの家に向かった。
「こんにちは」
「あっ、翔太君、駿くん、いらっしゃい」
「美咲お姉さんも来てるでしょ」
「うん」
「実は今日は、懐かしいやつと一緒なんだ!」
「驚くよ!美咲お姉さんも桃子ちゃんも」
「なに駿くん、驚くって?」
『お邪魔します!』
「あっ!ブルー」
「本当だ!ブルーだ」二人とも大喜び。
「ワンワン・ワンワン・・」ラッキーもしっぽをフリフリ。
僕は早速さっきのアオとの会話を、そのまま二人に伝えた。
「サターンが地球に・・。でもそれが本当だったら高校受験どころじゃないわね!」
「うん、私も卒論なんてやってる場合じゃないわ!」
『サターンをやっつけるの手伝ってくれるかい?』
「もちろんよ」と美咲お姉さん。
「もちろんよ!ブルー」と桃子ちゃん。
『ありがとう、みんな。じゃあまた満月の夜、あの広場で・・』
そう言ってアオはパッと消えた。なんだあいつ、いうことだけ言って帰っちゃったのか!
そして満月の夜。
あの場所にピラミッドがあり、僕達は月からそしてピラミッドからパワーをもらい、再び超能力を得ることに成功した。
「駿・・」
「うん、わかった!」
「何がわかったの駿君?」
駿は桃子ちゃんと美咲お姉さんをじっと見つめた!
「ん?」
「白と黒!」
「・・こらあ!駿」
『駿、透視の能力は相変わらずキレてるな!』
「もう、ふざけないで!」
『よし、みんな、早速月まで瞬間移動だ!』
「おお!」
僕たちは久しぶりに月にやって来た。
『おお、みんな元気だったか』
「うん、レッド久しぶり!」
『駿、大きくなったな』
『みんな、よく来てくれました』美しい女神。
「そう言えば、アオのママの名前聞いてなかった!」
『私の名はセレーネです』
「セレーネ・・素敵な名前だな」
レッドとかブルーとは大違いだ!
『なんか言ったか翔太・・』
「いいえ、なんにも」
心を読むな!
「アカ、アオから話は聞いたけど、サターンがまた現れたって。でもこっちには雷鳴の剣があるんだ!サターンなんて簡単にやっつけられるよ」
「うん、ぼくがまたやっつけてやるさ!」
『・・』
「あれ?どうしたんだアカ」
『それがな・・駿。とりあえず雷鳴の剣で、あそこの岩を砕いてみてくれ』
そう言ってアカは駿に雷鳴の剣を渡した。
「OK、まかせて!」
そして駿は、雷鳴の剣を鋭く振りおろした!
『コツン・・』
「あれ?・・たあー、たあー」
「どうした駿?」
「ダメだ、全然歯がたたないよ」
「何でだ。あんな岩ごときが・・」
『駿に渡そうと思って、雷鳴の剣の封印を解いたんだが、剣の威力がゼロなんだ』
「えー!セレーネ、これはいったい?」
『ワタシにも分からないの。なぜ力を無くしてしまったのか・・』
雷鳴の剣が、その無敵の力を失ってしまった。もしかして、また一からやり直しなのか?リスタートライフを・・。
力を無くしてしまった雷鳴の剣。その原因がわからない限り、もとに戻すのは不可能だ。
「困ったわね。これじゃあサターンなんてとても倒せないわ」
「でもアオ、サターンは駿の一撃で飛び散ったはずなのに、どうやって蘇ったんだ?」
『あれはサターンじゃなかったんだ』
「サターンじゃないって」
『簡単に言うと、サターンのコピーさ!』
「何だって・・」
「じゃあ、今度もまた、サターンのコピーかもしれないってこと?」と美咲お姉さん。
『いや、今度はオリジナルだ』
「なぜそう言い切れる?」
『ゼウスの情報だ』
「ゼウスの・・そう言えばゼウスがいないじゃんか」
『パトロール兼修行に出てる。宇宙のあちらこちらに。そこで得た確かな情報さ』
「信用できるのかなゼウス?あれだけ苦労して復活させたのに、サターンにやられてばっかりだったぞ、この前は・・」
『・・だが今は違う!』
「ん?・・ゼウス!いつからいたんだそんなところに」
『今戻ったところだ』
「だいぶ腕をあげたのか?!」
『この一年間、修行に修行を重ねたからな!』
「すごい自信、よし、一応信じることにするか」
『一応か。まあいい。今回はオリジナルだ、手強いぞ!』
サターンはまだ生きている。あの時そう感じたのは、こういうことだったのか!
『とにかく雷鳴の剣を甦らせることが先決だ!』
『神の言う通り、手掛かりをつかまなくてはいけません』
「セレーネも心当たりはないのか」
『残念だけど・・』
「電池切れかなあ・・?」
「駿、雷鳴の剣はおもちゃじゃないんだからさ」
『そうかもしれないわ!』
「えっ、そうなの?」
『何かの方法で、エネルギーを充填する必要があるのかも。あるいはまだ未完だった・・』
「未完・・」
天空の神ゼウスは、駿とセレーネにガラス玉を授けた。二つのガラス玉は結びつき、雷鳴の剣に姿を変え、超合金クリスタルを打ち砕いた。それでもまだ未完の剣だというのか。だとしたら、第三のガラス玉が存在するってこと?!・・。
「アオはどう思う?第三のガラス玉の存在を?」
『まったくあり得ない話ではないよ』
「天空の神ゼウスは、セレーネにガラス玉を授けるとき、これと同じものを持つ者が自分の後継者だと言った」
『ええ、ゼウスは確かにそう言ったわ』
「そして駿が、同じガラス玉をもってセレーネの前に現れた。もし、第三のガラス玉を持った者がいて、駿より先にセレーネのもとにそのガラス玉を持って現れていたとしたら、その者が後継者になってたのか?」
『そう言うことになるね・・』




