127 不吉な予言
少し休憩すると階下からホットが
「作戦会議を始めるから集まれ」
という声が聞えたので食堂に向かう。
俺よりも先に来てるやつもいたが、まだ集まっていない奴らも多々いる。
全員集まるまで席に座って待つことにする。
ここに集まる面子を意識すると、魔王たちの群れを越えるには人員が少ないことを意識せざるを得ない。
おそらく優に50は越えている魔王の群れにおれたちはその五分の一ほどの人員で挑まなければならない。
そのことについて懸念しているとホットが口を開いた。
「お前ら、やっと集合か。もっと早く集まれんのか……」
奴の言葉を聞くと、狭い食堂の中に面子が全員集まったことに気づく。
一度人数の不安については頭の外にやり、ホットの言葉に耳を傾ける。
「じゃあ、作戦会議を始めるか。まあ作戦会議つっても正面以外の手が封じられてるから作戦も何もあったもんじゃないけどな」
そうあけすけに言って、ホットはうなじに手を回すと言葉を続ける。
「俺、リード、シェイムが魔王を殲滅しつつエスカ帝国に進行して、ドムズたち餓鬼族、新入り二人、プラムがそこらへんにある深淵を破壊するていう至極シンプルな作戦だ。お前ら、これ以外に何か作戦は在るか?」
作戦の内容を告げると、ホットは座っている一堂に向けてそう投げかけてきた。
おそらくホットの案で不安はないらしく、みな代替案や指摘は入れない。
「じゃあ、これで決定だな。進行する連中ではリードが魔法で範囲殲滅を行って、俺とシェイムで取りこぼしを殲滅するのが基本。深淵では餓鬼族は二手に分かれて行動して、新入り二人はプラムと行動してくれ。深淵で負傷したときはプラムと合流するように。各々の位置の把握には気を使いながら攻略するのをお前らは基本にしてくれ」
ホットは進行する俺たちにざっくばらんな指示を出し、深淵に行く奴らには割と丁寧に指示を出した。
俺たちの方だけ雑すぎだろ思ったが、魔王相手に指示通りことが進むこと自体少ないだろうことに思い至り、納得した。
細かく指示を出さないじゃなくて、出せないのだ。
出してそれを守ったところで通用しないことの方が多いのだから。
「これで作戦会議終了だ。作戦決行は明日だ。各々準備を整えてくれ」
奴がそういうと、作戦会議はお開きになった。
―|―|―
進行……。
シェーンと戦うことは避けられない。どうすればいいのか?
まんじりともせず仕方なく椅子に座っていると、そのことばかり頭をよぎった。
『どうするもこうするも。避けられないのなら、それを受け入れるしかないでしょう』
すると何かに耐えかねたように、スリートがらしくない言葉を吐いた。
いつもは諦めるなとか、おまえならできるというが、このことについては諦めろと言ってくる。
えらくうしろ向きだ。
『あの子はあなたに、殲滅されるのが幸せな気がしますからね』
スリートの言葉にイラつく。
殲滅されるのが幸せなどということがあるわけないというのにどうしてそんな言葉を吐くのか。
『わたしも殲滅など本当はされて欲しくはないです。でもそうしないとあの子がそれよりも残酷な仕打ちを受けますからね』
どういうことだ?
『……』
そう聞いても、スリートは何も返事をしない。
奴は精霊がいつも残す不吉な予言だけを残して、それ以上何を言っても返事を返さなかった。




