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126 二体の精霊についての謝罪


 

 二人の受け入れが終わるとホットに「あとで会議があるから、休憩してこい」と暇をだされた。

 すぐにしなければならないと思っていたことを実行にかかる。


 師匠に精霊のことについて謝ることだ。

 朝思い立ってかなり時間が経過したが、これだけはしっかりやらねばならない。

 師匠の部屋の扉をノックする。


「いいぞ。入って」


 そう返事が来たので部屋に入る。

 師匠は暇そうにベッドに寝転がって、天井を眺めていた。


「何か用があるのかい?」


 目はそのまま天井に固定したままこちらに言葉を投げかけてくる。


「あの少し謝ることがありまして……」

「風の精霊と火の精霊のことか」


 こちらが枕を言ってから言葉を続けようとすると、師匠がその言葉の続きを引き継いだ。

 知っていたのか……。


「あの子たちのことは気に病むことはないし、襲い掛かられて抵抗するなというのも無理なことだ」


 こちらが少し驚いていると、師匠はそのことについては謝罪する必要性のないことを指摘してきた。

 確かにそういう師匠の理屈は通っていた。

 だが俺はその指摘で謝罪の必要性がなくなるとは思えなかった。

 理屈で許せると言っても、感情までも許せると言えるかどうかは別の話だ。

 俺はいきなり大切なものを奪われてそれが理屈が通ることだろうと平気ではいられない。

 相手側にどんな理由があっても、納得できないだろう。

 やはり謝るべきだ。

 それで悲しみや喪失感といった感情が完全に霧散することはないだろうが、ある程度は緩和されるはずなのだから。


「いえ、俺は謝るべきだと思うので謝らせてもらいたいです」

「リード。あの子たちとは一か月前には本人たちの申し出で契約を解除した。つながっていない今失ったところでそれほどの喪失感はない……」


 俺の言葉を聞くと、師匠はベッドから体を起こして、諭すようにこちらに言葉を投げかける。

 その言葉が嘘だということはこちらの正面に向けられた顔で分かった。

 瞼が赤くなっており、目じりも腫れている。

 よほどの喪失感に襲われなければその顔にはならない。


「……それでも俺が謝りたいから謝らせてもらいます」


 師匠は俺の様子に諦めたように再びベッドに倒れ、天井を仰いだ。


「好きにすればいい。だけどわたしには必要がないとだけは言っておくよ」


 師匠は覇気のないどこか疲れたような声でこちらにそういった。


「すいませんでした」


 そういうと師匠はこちらから身をよじり、窓の方に顔を背けると


「言うことは言っただろう。君も疲れた体を休めろ」


 そういった。

 その言葉通りに黙って部屋から出っていく。


 やることはやった。だが後味の悪さはぬぐえなかった。

 おそらくエスカ帝国に侵入する際にもこういうことが起きるだろう。

 先ず間違いなく、シェーン取り交わした大切な約束は壊すし、エスカ帝国とひと悶着を起こすならショットの大切なものを壊すこともある得る。


 後味の悪さはぬぐえないが、おれの求めるものがそこにあるかもしれない以上それを避けることはできない。


 その時のことを侵入を開始する前に覚悟しなければならない。





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