113 謎のオーラ
深淵の最奥。狭い空間の中。
台座の上に朱色に光る怪しいキューブがあった。いつぞやのダンジョンコアだ。
前こいつを見たときはシェイムの深淵の中だった。
そんなに前ではないはずなのに懐かしく感じる。
「あとはこれを壊せば、依頼完了だな」
だが懐かしいものでもあまりいい記憶もないし、破壊するよう言われているので破壊する。
深淵の攻略で土魔法を使うと, 出てくる槍が土塊から鉄、銅、宝石などに(使うごとに出てくるものは違うが)グレードアップしていた。
ここまでずっと土魔法オンリーだったのでダンジョンコアの破壊まで土魔法で通すことにする。
黒く、光を反射するそれをダンジョンコアに向けて射出する。
ダンジョンコアを破壊して尚止まることなく、槍は深淵の壁を貫いてどこかに飛んで行った。
深淵の肉壁の再生力を上回る突破力があるようだ。
なるほど。土精霊はこんなおぞましいものが使えたのか……。
どうして奴はこれを俺の時に使って来なかったんだ?
『それは土の中にある鉱石を利用して作っているものですから、土のマナを使うだけじゃできません。あの時は空中だから。使わないんじゃなくて使えなかったんですよ、あれは』
空中に打ちあげてくれたホット様様ということか。
そんなふうに前のことを振り返っていると深淵が崩壊し、天井が崩れ始めた。
壊れた天井から深淵の外に出る。
大きなドームがどんどん砕けて瓦礫の山になっていくのが俯瞰できた。
これで依頼達成だ。
ささっと城に戻ろうと思うと、深淵の方から黒と白を混ぜたようなオーラが飛んできた。
完全に油断していたため避けようと思ったが避けれなかった。
しまったと思うとオーラは俺の体の中に入っていた。
するとなぜか謎の力が溢れてきた。
「どういうことだ?」
オーラと力のことを不気味に思い、思わずそうつぶやく。
『それは神聖力です。破壊と創造の……』
スリートが俺の疑問に気落ちしたような声でそう答えた。
なんで神聖力なんかが、深淵を壊したらでてくるんだ?
それに前は破壊したときはオーラなんか飛んでこなかったのになんで今回は飛んできたんだ?
『わかりません』
俺が困惑して問い詰めるとスリートはただそういった。
奴は誤魔化すときは沈黙する。
その声は本当にスリートがこのことについて知らないことを示していた。




