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105 光る箱




 始神の墓には門はないようで、こちらに向けて口を開けているような状態だった。

 あちらはいつでもオープンでこちらを迎える準備は万端だが、こちらの準備は整っていない。

 俺は心の準備。ホットは装備の確認がまだ終わっていなかった。


 ホットが光る箱を確認したところで、それについて気になっていたことを思い出す。


「ホット、前から気になっていたけどそれはなんなんだ?」

「これか? これは俺を不死身にする魔道具だ。まあ今はチャージしてないから後十回だけだけどな」


 ホットは装備を確認しつつ、そう返事した。

 チャージという文言が気になった。


「チャージていうことはどういうことだ?」

「人の魂を補充してないてことだ。死にかけの人間とか、死にたい人間はなかなかいないからな、この世の中。まだ平和てことだろう……」


 その言葉で光る箱がどういうものか理解できた。生きた人間の魂を閉じこめ、自分の命のストックにするものということだろう。


「同意のもとが前提なのか?」

「同意というか。昔、人を化け物に変える魔王が居てな。そいつを討伐した後、化け物に変えられた奴らが姿を消したと思ったら、手紙と一緒にそいつが置いてあった。どちらかというと事後承諾だな。昔組んでた連中が不気味がったから、俺が使わせてもらってる」


 ホットは淡々とそれについて語る。

 聞かなくてもいいことを聞いたようだ。

 これ以上聞いても俺が胸糞悪くなるので聞きたくなかったが尋ねなければならないから尋ねる。


「そいつで死者を復活させてくれるものなのか?」

「無理だな。そいつを見つけた時にバルザックがストックになった連中を復活させようといろいろ試したが、なにも起こらなかった」

「……」


 俺の質問のせいで蘇生薬探求は振り出しに戻った上に、空気が重くなってしまった。

 何だか光る箱とホットを直視できなくなり、始墓の墓の入口に視線を逸らす。

 奴がいわくつきの光る箱を利用しているのは、化け物にされた人々の魂の供養に思ってしまったせいかもしれない。


 陰鬱な考えに沈んでしばらくすると


「装備のつけ忘れはないな。さて中に入ってくか」


 とホットが声をかけてきた。


 その声を聞いて始神の墓に探索するのに集中するために、暗い考えを排除する。

 気持ちを切り替え、気を引き締めて入り口の中に入る。





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