表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/155

99 不穏な土のマナ




 土精霊を撃退したと確認すると体が弛緩した。

 安堵に襲われているのだろう。

 一息つくと、シェーンたちの様子が気になった。

 下を見渡すと英雄が空気を蹴って斬りこみ、シェーンの影に罅を入れていた。


 その様子を見て、ホットが人の領域を超えていると確信した。

 先ほどまで飛べなかったというのにすぐに空気を蹴って飛ぶ方法を学習し、俺が全力の魔法で攻撃してかすり傷も入らなかった影に罅を入れている。

 器用さも攻撃もすべてが規格外だ。


 シェーンは奴と戦って大丈夫なのだろうか……。

 さすがにやばくなれば撤退してくれると思うが。


 少し不安を心によぎらせていると目の前を土のマナが通り過ぎていく。

 その動きはまるで地上を意図して目指しているようで、ひどく不自然だった。

 その土のマナに意識を送り操ろうとするが、操れない。


 そこでそいつが土精霊だと認識した。

 奴はこちらから退いたが、諦めていなかったのだ。

 俺が見ているのに気付いたのか、土のマナは一気に速度を上げて下降していく。


 何をするつもりだ?


『あなたに吹き飛ばされて実体が吹き飛んだから。命を吸い上げている宿主に干渉するつもりでしょう。干渉したところで、宿主はかなり魂が欠けていたので大したことはできないでしょうが』


 スリートがこちらの疑問に律儀に返答すると焦燥に襲われる。

 おそらくバルザックの近くにはまだレッドとドムズたちがいる。

 大したことはできないからといって、それが安全だとは限らない。


 風魔法を推進力にして地上に向けてダイブする。

 奴が行く方向にレッドとドムズもいるはずだ。

 奴より早く地上に到着して、バルザックを抑えなければならない。


 風魔法で速度を上げているが、土精霊は俺よりも早く地上に下っていく。

 地上に近づくごとに鮮明にレッドやドムズたち、バルザックの姿が見えてくる。

 レッドとドムズたちは負傷しており、互いに応急処置をしていた。

 治療を受けたのか、包帯を巻いたバルザックがその近くに突っ伏している。


 レッドとドムズたちは治療に意識をむけて、完全にバルザックから意識をそらしている。

 バルザックから不意打ちを受ける可能性が高い。


「お前ら! バルザックの周りから離れろ!」


 地上に大声を上げて、がなり立てる。

 レッドがこちらに目を向けた。だが、目を向けただけだ。

 動かなった。

 おそらく何かが聞えているが詳細は聞えていない。


「そこから離れろ!」


 やっと聞えたようで、


「ここから離れろ! お前ら!」


 と周りの兵士たちに指示を飛ばした。

 応急処置をしていたものたちが立ち上がる。


 だが遅かった。土精霊がバルザックの元にたどり着いてしまう。

 バルザックは槍を杖のようにして立ち上がると、背を向けて走っていくレッド達に向けて槍を振り上げた。

 土のマナが振りかざした槍の先端に集まり、魔法で強化されているのが見えた。


 間に合わない……。


 直観がそう告げると、投擲するかと思われた槍はバルザックの胸に突き立てられた。


「何をしておる! バルザック! 最後のチャンスをくれてやったというのに!」


 土精霊の声が聞えたと思うと、土のマナがバルザックの体から抜け、奴は乾いた音を立てて地面に倒れた。


 その音で退避していたレッドとドムズたちが振り返った。

 リザードマンらは振り向くと迷うことなく、倒れたバルザックの元に駆け寄っていく。


「馬鹿野郎……!」


 レッドはバルザックの頭を抱き上げると、震え声でそう叫んだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ