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ここは人類最前線7 ~魔性争乱~  作者: 小林晴幸
ピクニックに逝こう!
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76.お花まみれの勇者様

年度の切り替え時って、どうして、こう……忙しいんでしょうね?

年度末のアレコレに追われ、小林は絶賛繁忙期の真っ最中。

これで新年度になったらなったで、今度は年度初めの繁忙期に襲われます。

仕事が落ち着くのは……例年に合わせて考えれば、GW頃……でしょうか。

暫く忙しい日が続き、更新が滞ることを危惧しております。



 勇者様の尊い犠牲(笑)のお陰で、薔薇園に来ていた人達は無事に避難撤退を完了させました。

 そう、勇者様の尊い犠牲(笑)のお陰で。


 現在、勇者様は。


 薔薇の遠距離射撃を封じる為、超接近戦を試みた結果。


 見事、両手両足を絡め取られて宙吊りにされています。


 ……うん。あのさ。

 両手両足合わせて四本しか手足がない勇者様。

 対して相手は、無数の蔓を持つ異常植物。

 接近戦するにしたって手数が違いすぎました。文字通りの意味で。

 哀れ、勇者様は相手の猛攻を捌ききれず、あんなことに……!


 真紅の薔薇咲く蔓に全身巻き付かれ、そこだけ見れば、まるで一枚の宗教画にも通じる光景がそこにありました。

 いや宗教画というより、邪教の生贄を描いた絵の方がソレっぽいでしょうか。

 憂いを帯びた虚ろな眼差しの、超絶美青年(ゆうしゃさま)

 両手は頭上で一まとめ。

 握っていた剣も奪われて一時間くらい経ちます。

 あれでも無手で大分頑張った結果ですが。

 手首から二の腕に至るまで、緑の蔓がうねうねと巻き付き、締め上げている様子。

 でも手指が紫色に変色している様子はないので、締め付けがきついといっても血の巡りを阻害する程度じゃなさそうです。

 両足の方は一つに纏められることもなく、それぞれに薔薇の餌食ですね。

 足先から這い上がる様にして、太腿や腰に這い伝う薔薇。

 上着の裾が蔓に押し上げられ、大胆に肌蹴てしまっているので、魅了耐性の低い女性には見せられない光景と化しています。

 ……というかズボンの下にも潜り込んでませんか? 薔薇の蔓。

 素肌に直接トゲトゲされるなんて、ちょっと痛そうです。

 首にも細めの薔薇の蔓が、一巻き。

 まるで首輪か何かのようにも見えるのは、気のせいでしょうか。


 そういえば何だか昔、画伯が描いていた絵にこんな光景があったような気もします。

 まあ画伯の絵で締め上げられているのは、半裸の女性でしたが。

 画伯の絵は、モチーフはともかく芸術性に富んだ素晴らしいモノでした。

 比べて……うん、勇者様、負けてません。負けてませんよ!

 半裸の女性並みに似合うというか、様になっていますね!

 それは恐らく、うっすら薔薇の気遣いが感じられるせいでしょう。


 蜥蜴の鋭い牙でひと思いに噛み殺されない辺り……どうやら勇者様は、あの薔薇に気に入られちゃったようです。

 あの執念を感じさせる巻き付かれ方は、差し詰め懐いて甘えている……というところでしょうか。

 勇者様の魅力はどうやらヒト型種族だけでなく、異常植物にも通じるようです。


 でも考えてみれば、おかしくないですよね?

 勇者様は神々しいまでに過度の加護を重ねがけられ、いっそ光の塊といって良い程度には輝かしい存在です。

 しかもその発する波動の性質は、太陽光。

 お日様に向かっていく性質のある『植物』に懐かれたとしても、何もおかしくありません。

 まさに然り、という奴でしょうか。


 まあ、その懐かれ方がなんかおかしいんですが。


「あばばばばばば……っ」


 勇者様はご自身に懐く薔薇の蔓によって。

 高速往復ビンタを喰らっているところでした。

 勇者様、ファイト!

 

 でも薔薇の棘まみれの蔓でビンタされているのに、勇者様の顔面ったら怪我らしい怪我もしていませんよ?

 流石です、勇者様!

「ちょっそこ、リア……ンカ! 傍観し、て、ない……でっ」

「あ、勇者様―? ご安心下さい、薔薇園に来てた人達の避難は完了しましたよ」

「……は、はやく! それを言えーっ!!」

 勇者様の悲痛な叫びが、見る者も私以外にはいなくなった薔薇園で虚しく響きました。


 その後。

 勇者様は外見からは予想もつかぬ怪力を発揮してくれました。

「くそ……っ」

「うわあ、勇者様凄いですね! 腕力だけであの(・・)薔薇の蔓を引き千切っちゃうなんて」

「良いから、逃げるぞ! こっちはトドメを刺してはいけないなんて、圧倒的に俺達が不利過ぎる……まともに相手は出来ない!」

「別に私は襲われませんけどね?」

「畜生……!」

 勇者様は、この世の理不尽を嘆いておられました。

 それでも足はさかさかと薔薇園の出口を目指し、纏わりついてくる薔薇があれば瞬く間に蹴り倒し、踏み倒して進みます。

 僅かの躊躇もなく、一歩も立ち止まることなく。

 足を止めたその時が最期とばかりの勢いで。


 自分から積極的に害を加えることが出来ない。

 拘束しようにも、相手が巨大すぎて収拾もつかない。

 その状況が酷く堪えたのでしょう。

 さっきも結局、決定打に欠ける攻撃の中で手詰まりに陥り、隙をつかれて拘束された形でしたしね!

「じゃあ、私達も撤退ということで……」

 今後の方針も、決まったことですし。

 私はささっと腰のポーチに手を突っ込みました。

 こんなこともあろうかと、用意していた品があります!

「リアンカ、それは……?」

「ちょっとした誘引剤です」

「は?」

 私はそれを、薔薇から生えた蜥蜴の頭めがけて思いっきり投げました。

 投擲成功!

 蜥蜴の頭に命中した瞬間、私が投げたブツ……硝子瓶が、割れ砕ける。

 そこから一気に漂ってきたのは、何ともフローラルな香り。

「リアンカ、アレはなんだ……?」

「誘引剤です」

「何の!?」

「アレです」

 わざわざ用意しただけあって、威力は抜群☆

 思った以上に効果は強かったようで、早速香りに誘われたのか、わさわさわらわら集まってきたのは……

「なんだあれ気持ち悪っ」

 勇者様が顔を引き攣らせて凝視しているソレ。


 ソレは、お庭の害虫『アブラムシ』でした。

 ただし大きさは人間の赤ちゃんの頭部サイズ。

 

 他にも各種薔薇の天敵として知られる害虫が……

 それら一斉に、わらわらと薔薇に(たか)っていきます。

 わあ、気持ち悪い。

「なんておぞましいモノを召喚するんだ……!」

「でも勇者様、薔薇を相手にはアレが一番効果的ですよ?」

「君、あの薔薇死滅させるなとか言っていなかったか!?」

「言いましたよ?」

「だったら何をあんな畑の害虫勢ぞろいで!?」

 私の行動が不可解だと、大いなる矛盾を感じると勇者様が叫びます。

 まあ、確かにこれで相手が『ただの薔薇』なら、私もこんなことをしたりはしないのですが。

「勇者様……」

 私はそっと、慈母の笑みを意識して勇者様の両肩に手を添えました。

 何もおかしなことはないと、不思議はどこにもないのだと。

 言外に眼差しで伝えながら、私は勇者様に薔薇を良く見る様に促します。

「さあ、よく見て下さい?」

 促した、その先。

 古の魔王により爆誕した薔薇は。

 数多の害虫に埋め尽くされる勢いで密集されながら……

 しかして、決して負けてはいませんでした。

 魔王が作った異常植物の生命力を舐めちゃいけませんよ?

「な、なんだアレ……! 集られる端から、害虫が薔薇に食い潰されていく!?」

「誰にも世話されることなくとも、雨にも風にも吹雪にもめげず負けずに数千年の時を薔薇園で君臨してきた異常植物ですよ? その間、全く害虫が押し寄せてこなかったとでも思いますか?」

 この薔薇園の強靭な薔薇さん達は、自分を食い物にしようとする害虫を逆に食い殺していくことで有名です。

 ちょっとした食虫植物と化しています。

 どんな大きな(いなご)も、蔓に絡め取っては吸収していくという……。

「誰も世話してくれないので、自力で『肥料』の獲得に特化したみたいですよ?」

「本気でおぞましいんだが、この光景! もうあの薔薇、本気で駆除したいんだが……駄目だろうか」

「駄目❤」

 許容量を飽和しそうな勢いで、誘引作用により押し寄せる害虫。

 一般的な薔薇だったら、もう既に根っこも残さず食い尽されていたでしょう。

 だけど襲われているのがこの薔薇園の薔薇となれば……何が襲って来ようと、死滅するとは一向に思えません。

 襲ってきた害虫も、徐々に数を減らしつつありますしね!

 みるみる減っていく、アブラムシや青虫、チュウレンジハバチ。

 だけど数が多すぎるので、今の薔薇は害虫への対応で精いっぱい。

 こっちを構っている余裕のないこの隙に、薔薇園を脱出しますよ!

「なんだか物凄く釈然としないんだけど……!」

「釈然とする必要なんてありませんよ! それより今は走りましょう」

 こうして、私と勇者様は『薔薇のお花見』という遠出の最大目的を達成したのでした。やったぁ☆



 薔薇園を抜け、エーリューズニル地方を脱し。

 全力疾走にへばった勇者様は、深く肩で息を吐いておられました。

 私の方は勇者様に手を引いていただいていたので、とっても楽をさせてもらいましたけど。

 お陰で私の分の過負荷まで背負いこみ、勇者様は疲労困憊。

 徹夜明けに、これはきついとへたり込んでおいでです。

 ようやっと確保された、安全地帯。

 もうここまで来れば大丈夫、薔薇は薔薇園の外まで襲って来ませんし、他の魔物や魔獣もこのあたりには少なかったはずです。


 あたりの丘一面に咲き誇る、芝桜や蒲公英、三色菫、春の花々。

 自然と形成された花畑の中、見晴らしの良い色とりどりの景色。

 疲れ果てた勇者様は花畑の中に膝をつき、ぼんやりと遠くを見ておいでです。

 うん、大分お疲れですね。

「勇者様、少し休みますか? 丸一昼夜は勇者様が薔薇に弄ばれる想定で予定を組んでいたので、まだ時間に余裕はありますけれど」

「なんて嫌な予想を立てるんだ」

「徹夜明けで、私もちょっと眠いです。でも私以上に動き回っていた勇者様だって眠いんじゃないですか?」

「俺は……いや、リアンカが先に仮眠を取ると良い。俺は周囲を見張っているから」

「この花畑に見張りは要らないと思いますけど……まあ、でも念には念を入れたいって気持ちもわかります。だから、勇者様が先に寝たら良いと思います」

「なんでそうなる。俺は体力だけなら随分とあるんだから、気を使わなくって良い。リアンカが寝ている間は何もしないし、寝て良いんだぞ?」

「いえいえ。私はどの道、眠っちゃう前にこの花畑で取れる薬草の採取と下処理をしてからお昼寝する予定なので。時間がかかっちゃいますし、勇者様がお先にどうぞ?」

「だけどそういう訳には……」

「勇者様? ごちゃごちゃ言っていると……副作用の強い眠り薬を強制的に処方しちゃいますよ?」

「よし、俺は一休みするとしよう! 今すぐに何だか眠りたい気分だ。ああ、眠い眠い。だから……やるなよ? 絶対に、その『眠り薬』とやらを使うなよ!?」

「はいはい、おやすみなさい。一名様、夢の世界にご案内」

「……果たして俺は、彼女の前で無防備な寝姿を曝しても良いんだろうか。果てしなく不安だ」

「何をそんな、今更な悩み方してるんですか? 大丈夫、何もしませんから」

「そうか……?」

 急かす私の言葉に従い、勇者様は渋々ながらも花の褥で横になります。

 わあ、絵になる光景。

 勇者様は気を張っていたのか、自分の疲労を隠そうとしていたのか……目に見えていた態度以上に疲れていたのは、確かなようで。

 横たわり、目を瞑るなり三秒でした。

 僅か一分も経たない内に、勇者様の安らかな寝息が聞こえてきます。

 私はそんな勇者様に、そっと白詰草の冠を被せました。

 このくらいは、別に良いですよね? 勇者様!




 ~三十分後~

 

 場の流れでクラリネットを熱演していると、私のお膝の上でもぞりと動き出す気配。

 どうやら勇者様が目を覚ましつつあるようです。

 寝心地が悪そうなので膝枕を提供していた、私。

 お陰で勇者様が動くとすぐにわかります。

「う、ぅん……ねむ…………って、わぁぁああああああああっ!?」

 目をぱっちり覚まして、おはよう勇者様!

 だけど私が挨拶をするよりも、早く。

 花畑いっぱいに、勇者様の混乱に満ちた雄叫びが響き渡りました。

「ぎぎゃっ」

「ぎぃぎゅっ!?」

 勇者様の叫びを間近でぶつけられて、驚き騒ぐ七人の邪小人さん達。

 よほど驚いたのか、七人そろって勇者様の周りをぐるぐる駆け回っています。

 勇者様のお目覚めを今か今かと待っておられただけに、突然の叫びに目を白黒させておいでです。

 彼らは美しいものが大好きなので、勇者様のお顔もお気に召したのでしょう。

 飽きることなく、ずっと覗き込んでいましたね。至近距離で。

 ええ、七人そろいもそろって、至近距離で。その距離感なんと約十三から二十㎝。

 わざわざ勇者様のお顔を覗きこんでいたせいか、勇者様の叫びは邪小人さん達に直撃でした。

「なん、なん、な……っ」

「勇者様? どうしたんですか、落ち着い……」

「なんだこの状況!!」

 勇者様がガバッと身を起こすと、彼の周囲を彩っていた生花の束がわさっと地に落ちました。

 音と感触でそれに気付き、ご自身の身体を見下ろす勇者様。

 頭には白詰草の花冠。

 胸の上には白い花で編まれた大きなリース。

 そして勇者様の身体を囲うように、捧げられた白百合の花。

「…………なんだこの状況。俺の葬式か!?」

「わあ、勇者様ってばとっても自虐的ですよ」

「葬式か生贄にしか見えないんだが、この状況。俺の周囲を花まみれにする意味は一体!?」

 勇者様が寝ていたのは、握り拳よりも大きな石を積み上げて用意された寝台の上。

 石の上では寝にくかろうと、藁を敷いた上で赤い毛氈が敷かれています。

 そうやって整えられた寝台は、邪小人さんの完全なる好意によるもの。

 この辺は邪小人さんの縄張りで、外敵のいない花畑は彼らにとって重要なイベントごとの時に会場として使用されています。

 今回もイベントと重なって、邪小人さん達と遭遇しました。

 そうしたら地べたに直接寝ている勇者様を見て、わざわざ用意してくれたんですよ。

 でも枕を用意し忘れたので、私が膝を提供していた次第。

 そういった主旨のことを説明したら、勇者様は何故か深く頭を抱え込んでしまわれました。

「リアンカ、君は…………こんなところで、寝るんじゃなかった!」

「え、何かご不満でも?」

「何から言っていいのかわからない! この複雑な心境を察されたくない!」

 勇者様の吐いた溜息は、とてもとても重そうでした。


 

 この日、丁度行き合った花畑にて。

 邪小人ジェネラルの妹さんの結婚式が開かれました。

 どうやら普段森に籠りがちの彼らが花畑に出てきたのは、結婚式の為だった模様。

 大勢のディフェンス勢を前に、花嫁が投げたのは赤いスイートピーをメインに作られたウエディングブーケ。

 過酷なジンクスを秘めた、曰くつきのブーケです。

 投げ放たれた花束(ソレ)に、誰もがトスの体勢で腰を落として待ち構えます。

 余裕の顔をした既婚者達が、一歩引いて見守る中。

 居合わせた未婚者は参加を強制されるブーケトス。むしろレシーブ。

 そんな中で、うっかり花束をキャッチしてしまったのは……


 お約束の如く、勇者様で。


 青褪めた顔で距離を取る邪小人さん達。

 きょとんとした顔で、事態を把握できずに首を傾げる勇者様。

 私は腹が捩れそうな程に爆笑しながら……親切心から説明して差し上げました。

「ゆ、勇者様……っ受け取っちゃったんですか。受け止めちゃったんですね!」

「り、リアンカっ! 何故、皆は急に距離を……? このブーケ、何かあるのか!?」

「勇者様、よく聞いて下さい? 邪小人さん達の結婚風習で投げられるブーケには、一つのジンクスがあってですね?」

 古文書に、曰く。

 ブーケを得し未婚者は、三か月以内に挙式をあげねばならないとか。

 あ、勿論結婚式ですよ? お葬式じゃありませんよ?

 そして、三か月以内に成婚が叶わない時は……

「達成できなかったら、なんだか物凄くとんでもねぇ災難がその人物に襲いかかるとか。でもこれは……勇者様にとっては、今更ですよねぇ」

「待て、色々と言いたいことはあるが……これ、呪いのブーケか!! あと今更ってなんだ、今更って!」

「詳しく解説されたいんですか……?」

「………………」

「ちなみに襲いかかる困難を振り払い、試練として乗り越えることが適えば……その時は、神々の祝福する運命的な御縁に恵まれるそうですよ?」

「どっちにしろ結婚話か!!」

 勇者様の特質的に……三ヶ月でこの勇者様が、誰かと結婚とか…………ええ、無理そうですね。

 というか不可能以外の何物でもない気がします。

 勇者様のお顔と性格と才覚と身分を以てすれば、条件的には容易いでしょう。

 ええ、相手さえ選ばなければ、連日連夜結婚式を開催できそうな気がします。

 でも、勇者様の性格と良識と気質を思えば……ねえ? 

 絶対に達成できないだろうなぁと、確信をもって断言出来ますとも。

 ……と、なると。

 ジンクス通りなら、三か月後に勇者様を凄まじい困難が襲うということになるのですけれど。

 

 果たして、ジンクス通りの災難は降りかかるのでしょうか?

 年がら年中不憫な目に遭遇している勇者様には、今更過ぎて。

 例え災難に遭ったとしても、いつものことで済ませてしまいそうな気がするんですけれど……。

 さあ、三か月後。

 勇者様に何が起こるのでしょうか。


 

 勇者様の胸に、不安と釈然としない思いと、複雑な気持ちを上乗せして。

 何事もなく、日をまたぎ。

 私達は無事にピクニックを終えました。

 遠出ついでにお土産も沢山で、私はほくほくとした気持ちです。

 一方、勇者様は何だか頭を抱えていましたけれど。

 それでも、楽しかった。

 ええ、概ね楽しいお出かけだったと思います!

 また数日を置いたら、武闘大会の本選が始まりますが……

 暇があったら、また期を見てどこかにお出かけしたいですね!

 今度は勇者様と二人だけじゃなく、他の皆ともお出かけするのも良いかもしれません。

 

 そんな、少し先のことを考えて。

 私は楽しい気持ちでいっぱいなまま、家に帰り付いたのでした。


「………………三か月」

 勇者様はやっぱり頭を抱えていましたけどね!!






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