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……どなたですか?

まさか前話であそこまでアイリさんが叩かれるとは思っていませんでした。

フォローになっていたかどうかは分かりませんがアイリさんを弁護するのに必死で今クタクタです。


次の日、俺達は前日の報酬を受け取った後はゆっくりすることにした。

シア達も昨日は頑張ってくれたし休ませてやりたい。

それにあんまり動いてまたアイリさん達に出くわすのも面倒だ。


とりあえず単独行動は避けるようにだけ3人に注意し、俺は宿でくつろぐことにする。



色々な思考を巡らせたり、ベルと会話をしたりして時間をつぶした。


昨日の戦闘でみんなレベルが上がっていた。

俺とシアは2ずつ、エフィーは3、カノンは4上がっていた。

ベルに関しては18にまで、スケルトンは16~17、トランバットは15、ラミアは17~18にまで成長した。


それはいいがベルは何だか具合が悪そうだった。

話している時も『体の調子が優れん』とばかり言っていた。

何か原因があるのではと思って詳しく事情を聴きとっていたがさっぱり原因が分からなかった。

とりあえずしばらくは無茶するなとだけは伝えたが心配だな。


能力値を上げた後、取得できるスキル欄を見ていたら、エフィーの欄に、『MPチャージ』というスキルが25ポイントで取得可能となっていた。


鑑定してみると、


MPチャージ:消費するMPを通常の2倍まで任意に操作することが出来るようになる。

消費するMPが多い程効果・威力が増す。


と出た。


中々面白そうなスキルだった。

『操作』と言う文言から推測するに、取得条件に『魔力操作』と何か関係があったのかもしれない。

一定以上の熟練度とか。

どうするかエフィーと相談したところ、取得することになった。


『パーティ恩恵(リーダー)』を試してみたところ、問題なく俺も使えたので、今後の戦術の幅が広がりそうだ。

今後エフィーもMPをどんどん消費するだろうからエフィーにも『MP中上昇』を取っておいた。



名前:カイト・タニモト

種族:人族

身分:冒険者 所有者(奴隷:シア エフィー カノン・ファーミュラス)

性別:男

職業:1.剣士 2.魔導師 3.クレリック

年齢:16歳


Lv.33

HP:125/104(+21)

MP:139/118(+21)

STR(筋力):56(+19)

DEF(防御力):46(+17)

INT(賢さ):54(+19)

AGI(素早さ):48(+17)

LUK(運):1(+5)


『能力値中上昇』、『異世界言語(会話)』、『異世界言語(筆記)』、

『生活魔法』、『剣術』、『ステータス操作』、『全魔法素質解放』、

『無詠唱』、『鑑定』、『偽装』、『レベルアップ時ボーナス』、

『パーティ恩恵(リーダー)』、『パーティ恩恵(メンバー)』、

『火魔法』、『水魔法』、『土魔法』、『風魔法』、『治癒魔法』、

『職業操作』、『隠密』、『経験値解放』、『氷魔法』、『雷魔法』、

『????』、『????』、『闇魔法』、『索敵』


スキルポイント:37



名前:シア

人種:獣人族(狼)

身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト

職業:1.剣士 2.獣狂戦士

性別:女

年齢:15歳


Lv30

HP:120/101(+19)

MP:61/46(+15)

STR(筋力):74(+22)

DEF(防御力):48(+17)

INT(賢さ):23(+15)

AGI(素早さ):67(+20)

LUK(運):21(+5)


『経験値蓄積』、『ステータス鑑定(自己)』、『剣術』、『身体能力小上昇』、『二刀流』


スキルポイント:36



名前:エフィー

種族:ハーフエルフ族

身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト

性別:女

職業:1.魔導師 2.プリースト

年齢:13歳


Lv.26

HP:63/48(+15)

MP:159/122(+37)

STR(筋力):34(+16)

DEF(防御力):30(+15)

INT(賢さ):73(+19)

AGI(素早さ):26(+15)

LUK(運):21(+5)


『火魔法』、『風魔法』、『水魔法』、『治癒魔法』、『弓術』、『魔力操作』、

『支援魔法』、『MPチャージ』、『MP中上昇』


スキルポイント:5ポイント



名前:カノン・ファーミュラス

人種:魔族(サキュバス)

身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト

職業:1.影使い 2.戦士

性別:女

年齢:14歳



Lv.21

HP:91/74(+17)

MP:154/119(+35)

STR(筋力):42(+17)

DEF(防御力):39(+17)

INT(賢さ):43(+17)

AGI(素早さ):40(+17)

LUK(運):21(+5)

 

『闇魔法』、『魅了チャーム』、『モンスター言語(会話)』、『MP中上昇』


スキルポイント:40



ふむ、皆順調に強くなってるな。

俺もうかうかしてられん。

頑張って強くならんとな。


ステータスを見て思ったがエルフ達は俺の身分の欄の表示に出したり出さなかったりできるようだ。

まあ必要なときがあれば出せばいいか、今はパーティーだけの方が見やすいし。



トントン



ん?何だろ?

ノックの音が聞こえた。

思考から現実に呼び戻される。


シア達の内の誰かか?


「はい?」

「ああ、風来坊君、いる?俺俺、俺だけど」


むむ、新手のオレオレ詐欺か!?

電話越しでなく扉越しに使ってくるとは!

この世界に電話が存在しない以上これがスタンダードなのか!?

くっ、そんな手に引っかかってたまるか!


そっちがその気なら俺だって……


「ああ、母さん。うん、いるよ。何?またこんなところまで押し掛けたりして」

「えっ、俺君のお母さんなの!?君のお母さん自分のこと『俺』っていうの!?しかも君のことを『風来坊君』って呼ぶんだ!何それ、斬新な家族だね!?」

「……母さん、いつもいつもわざわざ俺の生活してるところまで来なくても生活費はちゃんと送るから心配しないでよ!友達にいつも『やーいやーい、お前の母ちゃんニ、ー、ト!』って言われんの恥ずかしいんだからもう帰ってくれ!」

「俺っていつも生活費たかりに息子の生活しているところに押しかけたりしてるの!?それを友達に冷やかされまでしてるんだ!?」

「わかった、わかったから!新しい義父とうさんのことは父さんには黙っとくからもう帰ってくれよ!!」

「嘘っ!?しかもそれが新しいお義父とうさんに貢ぐためのものなの!?それを息子にたかりに来る俺って滅茶苦茶ゲスじゃねえか!!」

「もう、これ以上は止めた方がいいんじゃない?そろそろ父さんにも……痛い!痛いよ、ごめん、母さん、ごめんよ!生意気なこと言ってごめん。俺が悪かった、謝るから、謝るからもう俺のすね毛を一本一本抜くのは止めて!!」

「地味だよ!!俺息子を虐待するのにそんな地味な手法取ってるの!?全く虐待し切れてないよ、それ!!……流石にそろそろきつい、俺だってば、昨日一緒に戦ったヴィオランだよ!」

「えっ!?」


俺は慌てたふりをして扉を開ける。


「あっ、本当だ、なぁんだ、そうならそうと早く言って下さいよ。何か怪しい組織が俺をカモにしようとしてるんじゃないかと疑ってしまったじゃないですか」

「疑った上であの対応はどうなのさ!?こっちこそ君が家族ぐるみで何か怪しい宗教にでも入ってるんじゃないかと心配したよ!」

「ははは、そんなことあるわけないじゃないですか!……それで、私に何か御用でも?」

「ああ、ちょっと君に付き合って欲しい……」

「ごめんなさい!」

「えっ、断るの早っ!!まだ全部言い切ってないよ!?」

「すいません、私にそっちの気はないんで。ちゃんと女性のことが好きなんでそう言ったお話は遠慮させていただきます」

「勘違いだ!俺だって女にしか興味ないよ!!」

「えっ、頭の中は常に女性のことで一杯!?……チャラいですね」

「そう言う意味じゃねえよ!!後、チャラいって言うな、地味に傷つく!!」

「分かりました、分かりましたから。そんなに必死になると、逆に疑われますよ?」

「誰のせいだ!!……ったく、君といると退屈しないけど疲れるね」

「ありがとうございます。褒め言葉として受け取っておきます。それで、本日のご用向きは?」

「やっとか、かなり遠回りさせられた気分だ。……それで今日来たのは君についてきて欲しいところがあるんだ。だから色々聴きまわってここに来たんだよ」

「それはどこなんです?」

「今は言えないけどこれだけは断言する。悪いところじゃない!俺にとっても君にとっても、ね」

「……それは行かなきゃダメなんでしょうか?正直面倒くさいんですが」

「まぁいいじゃん、今日暇でしょう?」

「今あなたからの誘いを断るのに忙しいんですが……」

「実質暇じゃんか!そこまで嫌なの!?」

「うーん、本当に俺に損は無いんですよね?」

「ああ、金が必要なことは全部俺が出す。昨日の報酬俺ももらえるの君も知ってるだろう?それに今日は厄介なアイリやグレイスの旦那もいない。腹を割って話せるいい機会なんじゃないかなとも思うんだよ、俺は」


なるほど。やっぱり他のクランの団長が近くにいたらできない話もあるだろう。

相手はあのチャラ男だ。

ついていったら色々と何か話を聴けるかもしれん。

金についてもチャラ男が出すって言ってんだし、どこかに行くって言っても食事かどこかで食べながら色々と話でもしたいんだろう。


……逆にあまり信用できない要素としてはコイツがチャラ男だってことだ。

嘘をつくことも十分有り得る。

それとコイツがクランの団長ってことも警戒すべき要素だな。

団長ってことはそれなりの権力を持ってやがる。


ふむ、どうしようか……


「信用してくれとは言わないけどついてきてもらったら絶対に満足してもらえる自信はあるよ」


うーん、ここまで言ってるんだし、ついて行くだけついて行って怪しそうだったら速攻逃げるでいいか。


とりあえず3人には心配させないよう出ることだけ伝えておけばもしも異変があったら気づいてくれるだろう。


よし。


「……わかりました。ついていきましょう。ですが何かおかしいと感じたら速攻で帰らせていただきますよ?」

「ああ、それで構わないよ。じゃあ行こうか」

「あ、ちょっとだけ待っててください」


俺は3人にチャラ男と出かけること、もし俺が帰ってこない等異変が起きたら各自で判断して行動してほしい旨伝えてチャラ男と共に出かけた。





チャラ男が歩く後ろを俺はついて歩く。

何か人通りが少ないところに来てないか?

やっぱり何かの罠なのか!?


ちっ、コイツも俺を殺そうと……


「風来坊君、そろそろ着くよ」


チャラ男が振り返り俺にそう告げる。

くそっ、そろそろ俺の人生の終着点に着くってか!?

もう一回死ぬにしても無抵抗でなんか死んでやるか!


どうする、どうやって……



俺が思考していると、狭かった路地の通りを抜け、広い空間に出る。

そこで目にしたものはかなり装飾が派手な外観で大きさも7階建て位ある大きな建物だった。



……どうしてこんな建物がこの街に、というよりこんな大きな建物があるなんて今まで知らなかった。

どうやらチャラ男は俺を殺そうとしていたわけではなくここに連れてきたかったようだ。



「着いたよ!ここが、今日君についてきて欲しかったところさ」

「……見た目は、スナック、ですか?」

「うん、まあ大体はそうだね、最初は君と色々食事しながら話したい。それからはまぁ……後で分かるよ」

「少し安心しました。そういう事ならおっしゃって下さっても良かったと思いますが」

「サプライズって重要だよ?女も男もそれは変わらない。こういうのはされただけでもインパクトがあって喜ばれるからね」


ボッチの俺には必要ない知識だ。

俺は基本サプライズをあげる側じゃなくてサプライズをもらう側だ。


クラスの奴の誕生日のサプライズパーティーもその誕生日の奴と俺だけが知らされなくて、もちろん後で誕生日の奴は皆に祝ってもらったけど俺だけそれに参加していなかったことをその1か月後知るっていうサプライズを貰うような人間なのだ。


俺自身の誕生日なんて、親は基本帰りが遅いから俺一人で寂しく過ごすことになる。家のチャイムが鳴って、もしかしたらと淡い期待を持って出てみたら新聞の勧誘だったというように誕生日なのに何のサプライズもないというサプライズを貰えるのだ。


えっ?幼馴染は祝ってくれないのかって?

……それはほら、あれだ……あっ、チャラ男が待ってる!

待たせたら悪いし行かなきゃな!



「いらっしゃいませ~!あっ、ヴィオラン様じゃありませんか!お久しぶりです、やっとまた来てくださった!」

「悪い悪い、ここ最近忙しくてね、今日は連れも一緒だし金も沢山ある。だから最高のサービスで頼むよ?」


チャラ男が綺麗なお姉さんにウィンクする。

……確かにカッコいいが腹立つな。


「かしこまりました!……みんなぁー、ヴィオラン様がいらっしゃってくれたわよ~!」

「「「キャー!」」」


店の女の子達の黄色い声が飛ぶ。

……すごい人気だな、流石チャラ男。




店の奥に通され、俺とチャラ男の横に人族と獣人族(犬)の可愛い女の子が一人ずつ座る。

うわ、テレビとかで良く見るのと同じだ!

俺達のグラスに飲み物を注いでくれる。


「どうも~、シュリでーす!」

「どうも、セナです、よろしくね、お兄さん」

「ど、どうも、よろしく」

「キャハ、お兄さんこういうところ初めて?照れてるの、可愛いー!」


悪かったな!こんなん経験したことねえよ!!

俺にそんなん期待すんじゃねえ!




その後簡単な食事を持ってきてもらい、それをつまみながら時間を消費する。

俺みたいな口下手でも会話が成立している点からもこの女の子たちがプロだということが分かる。

……初対面の女の子とこんなに話せたのはいつ振りだろう……いやこの言い方だと過去にそんな経験があったように思われるな。

うん、無いよ!俺にそんな甘酸っぱい青春があるわけないじゃん!



……それはそうと少し思うのだが、この店外観の大きさの割には中が小さくないか?

今俺達がいる部屋も決して小さいとは言えないが、それでも店と併せても1階部分くらいにしかならない。


うーむ、なら2階以上には何があるんだ?




しばらく歓談した後、チャラ男が「これからちょっと二人っきりで話したいから席を外してくれるかい?」と女の子たちに言うと、全く機嫌を損ねる様子もなく、その通りに退席してくれた。


よくあるんだろうか、こういうこと。

彼女達もさも当然のように出て行ったし。

まあ秘密の話なんだからそう言う風に動いてくれるのはありがたい。


「さて……」


チャラ男が話を切り出す。


「どうだい、ここはいいところだろう?」

「まぁ、そうですね。おっしゃっていた通り、悪いところではないです」

「そうだろう、そうだろう。こういうところは気楽に過ごせていい。クランの団長なんてやってると、気の休まるところがほとんどないからね。今回のも本当は面倒極まりなかったんだけどクランのためだと仕方ないんだよ」

「……まぁ愚痴を溢したい気持ちは分からなくはありませんが今日はそれを言うためだけに連れてきたわけではないでしょう?」

「ああ。……率直に言おう。風来坊君、うちのクラン『シルフの風羽』に来ないかい?」

「……お断りします」

「断るの早いなー!……理由を聴いても?」

「まず私は一つのところ、殊組織に留まることを特に嫌います。ですからよっぽどのことでもない限りクランに加入することは無いでしょう」

「……なるほど、他には?」

「私の能力は企業秘密なものが多数あります。ですから多くの人に能力を知られる可能性のある団体行動も基本好みません。……概ねの理由はこんなものですかね」

「……分かった。じゃあこれはどうだい?……今度の大掛かりな作戦についての参加は?」

「……それも首を縦に振ることは難しいかと。まず情報が少なすぎます。そんな何をするか分からないことに協力することはできません」

「そりゃその通りだ。色々知り合いにも同じように声はかけてるんだけど同様の返事をされるよ」

「本当に何も言えないんですか?」

「……うーん、言っていい範囲と言ったらダメな範囲の選別が難しいんだよね」

「はぁ」

「ま、普通に考えたら怪しいよね。……でもね、少なくとも俺達はこれからやる計画が悪いことだとは思ってない。むしろ悪いことなんだったら七大クランのうち4つも動こうとしないよ」

「えっ、4つ、ですか?ということは……」

「ああ、『ノームの土髭』も参加するんだとさ。この計画中だけは代理を立てることで合意したらしい。そんな急ごしらえで何とかなんのかって思うだろうがあそこは層が厚いことで有名だ。失踪した団長もかなり強かったが一枚岩じゃないことは知ってるからまあ何とかすんだろう。流石に秘密を漏らすようなバカもいないとは思うが……」

「……ふむ、まぁそこは『ノームの土髭』に限る話じゃありませんしね」

「ああ。……どうだい、これを聴いても意見は変わらないかい?」

「はい」


まぁこれだけじゃ変わらんだろう。悪いことしてる奴等に限って自覚が無いってことも十分有り得るし。

流石にこれだけじゃ、な。


「……仕方ない、最終手段を使うか」


な!?最終手段、だと!?


力ずくで俺を仲間に引き入れようと!

くそっ、油断した!!


今すぐここから……


「ああ、ごめんごめん、今のは言葉の綾だよ、警戒しないで!別に脅したりなんかしないから」

「?、じゃあいったい……」

「まぁついてくれば分かるよ」


そう言って個室から出ていくチャラ男。

うーん、若干怪しくはあるが一応ついて行ってはみるか。



ついて行くと、階段に差し掛かる。

チャラ男は階段の手前で店の女性と何か話している。

ここでさっき疑問に思った2階より上が何かが分かるのか。



階段を上りきる。

そこにあったのは……



「……風来坊君、ようこそ大人の世界へ」

「ようこそ『娼館 虹』へ」

「……ここは人族から亜人、果てはスライムなんかのモンスターまでをもそろえた最高級の店でね、一見さんお断りで俺の紹介がないと君は利用できないんだから感謝してくれよ?ああ、もちろん金は俺が出すから安心して気持ち良くなってくれればいい」





ぐはっ!

そういう事か!

なるほど、ようやく今までのチャラ男の言動に合点がいった。


~今は言えないけどこれだけは断言する。悪いところじゃない!俺にとっても君にとっても、ね~

とか、

~信用してくれとは言わないけどついてきてもらったら絶対に満足してもらえる自信はあるよ~

とかは娼館これのことか!!



亜人はまだわからんでもないがモンスターを扱ってるのか!?

プレイ中襲ってこないのかな?

どうやって言う事聞かせてんのか非常に気になる!

それとも言う事を聞かないこと前提で襲われることもプレイのうちなのか!?

いくらアブノーマルな趣味を持つ人でもそれ死ぬよね!?

……えっ、まさかそれをもプレイの一つとして考慮しているの!?

……うーむ、異世界恐るべし!!



……って、そうじゃない!

ヤバい、どうする!?

想定外だ!!


くそっ、試してみたい!!

折角異世界に来たんだし元の世界じゃあできないことってのはやっぱり経験したい!

体験してみたい!

でも……

ただ今回のはシア達にしてもらったりしてあげたりするのとはわけが違う。

今回のこれはもしかしたら裏に何かチャラ男の陰謀が隠れているかもしれない。

それなのにただ快楽に身を委ねてしまうというのは俺の信条にも反する。

シア達が準備万端でいるのに逃げ出すのならただのチキンだが、これは乗ってしまうと完全にチャラ男の思うつぼだ。


仮に裏がないとしてもここでコイツに弱みや貸しを作るのは後々になって俺の足枷になってくるかもしれん。


ここは……


「……申し訳ありません、ヴィオランさん。私はこの接待を受けることはできません」

「えっ!?これは本当にそういうことは抜きで考えてくれていいんだよ?ただ君に楽しんでもらおうと……」

「仮にそうだとしてもこういった状況で申し出を受けてしまうこと自体に問題があるのです。ですから今回はご遠慮させていただきます」

「風来坊君……」

「では申し訳ありませんが、本日はこれで失礼します。今日はありがとうございました」

「あっ、ちょっと待ってくれ!」

「ん?、まだ何か?」

「えーっと、こうして、ああして……」


チャラ男は自分の懐に入っていた紙を2枚と何か書くものを取り出して書き出した。



「……ホイっと、よし、できた!はい、これ」

「何ですか?これ」

「一枚は気が変わった時に俺達の誰かに連絡取る方法。俺とグレイスの旦那はもう明日にはここを発つから」

「もう一枚の……この意味不明なのは?」

「それ意味不明、だよね!?意味不明だから渡しても問題ない、でしょ?」

「それは……そうですが」

「まぁ暇ならそれと睨めっこでもしてくれ」

「はぁ……、わかりました。いただいておきます」

「うん。……じゃあ今日は悪かったね、無理やり連れだして」

「いえ、最終的について行くと決めたのは私ですから。お気になさらず。……では」

「ああ、またね」



俺はそう言って引き返し、帰路に着いた。





「……あーあ、振られちゃったなあ。ここなら行けると思ったのに、ガードが堅いなぁー。……でもますます彼じゃないと、ってなるよね!……」





宿に戻る頃にはもう遅い時間になっていた。

今日はゆっくりするつもりだったが全くそんなことはできなかったな。

……まあ悪くはなかったが。


宿の階段を上ると、俺の部屋の前に3人が座り込んで待っていた。


「3人とも、ど、どうしたんだ!?」

「……あっ、ご主人様!」

「おかえりなさいませ!」

「マスター!今までどこ行ってたのよ!?」

「えっ、ヴィオランさんと出かけるって言わなかったっけ?」

「それは聴いていましたが、夜になってもお帰りにならないので何かあったのかと……」


シアが顔を伏せる。

あれ?確かに俺が帰らなかったら云々って話はしたが1日空ける位なら別に普通じゃないの!?


「シアさんとカノンさんがこれはご主人様に何かあったんじゃないかとおっしゃったので私も朝まで待って帰って来られなければ、と言いますと、じゃあ朝までお部屋の前で待とう、とお二人がおっしゃったので」

「いやいや、でもな、普通1日や2日位なら空けてもおかしくないんじゃないか?」

「そうですが、でも、ご主人様がいらっしゃらないのがとても不安で……」

「シア……」

「そうだよ!マスターがいないと!私、もう、どうしたらいいか……」

「カノン……」


二人とも肩が震えている。

エフィーも抑えているんだろうが、目に涙が溜まっているのが窺える。


たった半日いないだけでこんなに不安にさせてしまったのか……


俺は両手を目いっぱい広げて3人を抱きしめる。


「……悪かった。また3人を不安にさせてしまったな」

「ご主人様……」

「マスター……」

「ご主人、様……」


3人とも俺の胸に顔を押し付けてくる。

……そうか、そんなに俺が恋しかったか。


「……ご主人様、他の女性の匂いがします」

「……マスター、これ、どういうこと?」

「……ご主人様、詳しい説明を要求します」


えっ、ちょっと待って!?

3人とも目が怖い!


「あー、いや、ヴィオランさんに連れて行ってもらったところがちょっとそう言うところで、でも、何もなかったんだぞ、これは誓って本当だ!」

「ご主人様……おっしゃって下さればいつでも準備は出来ていますのに……」

「いや、エフィー、別にそういう事じゃなくてだな!」

「マスターのエッチ、不潔、変態!」

「いや、だから何もやましいことはなかったんだって!何かあったんだったら帰ってくんの普通朝方だろう!?」

「ご主人様……やっぱり私では興奮していただけないのでしょうか?」

「シア、だから、別にやましいことをしに行ったわけじゃなくて話を聴くために利用したところがたまたまそういうところだっただけなんだって!」


くそっ、何故だ!?

俺は最後心を聖人にしてまで断って帰ってきたって言うのに3人とも全く聴いてくれない!

俺はこのまま冤罪で有罪判決を受けるのか!?


「……ご主人様、何もやましいことが無かったとおっしゃるのなら、私達を抱いてください!」

「えっ、シア、どうしたんだ、いきなり!?」

「そうだよ、マスター、性欲が有り余ってるのなら私達奴隷に吐き出せばいいんだよ!」

「おい、カノン、変に煽るな!」

「……いえ、ご主人様、これは中々理に適った提案だと思います。ご主人様はそう言うところに行きはしたものの何もなかったとおっしゃる。であればご主人様は消化不良のままご帰宅されたのですよね?それをそのまま放っておくとご主人様がお辛いでしょう。ですからその溜まったものを私達に吐き出すお手伝いを、ということはおかしくは無いと思います」


この野郎ぉー!

またシアとエフィーの暴走コンビか!!

シアが突飛な提案をしてエフィーが色々理屈をこねてそれに肉付けしていく。

なんて面倒な二人だ!

カノンははやし役か!

「そうだそうだー!」とかうるせえんだよ!

他の寝ているお客さんに迷惑だ!


……はぁ。まぁ実際エフィーの言う通り消化不良ではあるんだし、3人を安心させる意味でもやった方がいいんだろうなぁ。


……ただ3人を同時になんてやったことないから持つかどうか分からん。

これ回復魔法効くのかな!?


「……わかった、じゃあ3人とも、頼むな?」

「はい!!」


シアはとても嬉しそうだ。

尻尾をすごい勢いでぱたぱたと振っている。


「やった!!あっ!……う、うん、しょ、しょうがないわね、マスターが辛いだろうから仕方なく、うん、仕方なく、だからね!?」


カノンは顔を赤らめながらもチラチラとこっちを見てくる。

……顔がにやけてるぞ。



「……ご主人様、優しくお願いします、ね?」


エフィーは少しモジモジしながらも上目使いでそう言ってくる。

さっきの勢いはどうした!?




その後、俺達は3人の部屋に向かい、次の日の朝まで眠れない時間を過ごすのだった。



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