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決闘だってさ!

「よーう、雑魚、探したぜ!」

「おや?どなたかと思ったら頭がおかしいことで有名なハゲさんではありませんか!どうやら私を探していただいたようですがデートのお誘いなら結構ですよ?あなたと違って私にそっちの気はありませんから」

「この野郎ぉ!ふざけたことぬかしやがって、テメェのせいで俺様は試験を失格にされたんだぞ、いくら出したと思ってんだ、コラッ!?」


アホだろ、コイツ!?

こんなところで金の話なんかするか?

……まあそれだけ俺のことが憎いんだろうな。


なら……


「そうですか、いくら出したんですか?」

「それはなぁお前!っ、……と、とにかくテメェのせいで俺は大損してしまったんだ!どう落とし前つけてくれるんだ、あん!?」


どこのヤクザだお前は!?


「はっ、どうもしませんよ。自分の非を認められず他人のせいにしかできない能無しに私がしてあげられることと言ったら腕のいい医者を紹介する位しか……ああ、それじゃあ医者の方を困らせてしまいますか、こんなどうしようもない屑送り込まれても迷惑するだけですからね。すいません、あなたにしてあげられることは何もありませんでした」

「……ぐぬぬぅ、おい、テメェ決闘だ!嫌とは言わせねぇぞ!?」


これで「嫌だ!」って言ったら面白そうだな!

……でもあれだよね、この雰囲気で言ったら怒られるよね!?

それとも「やめろよ、押すなよ、絶対押すなよ!?」みたいな感じなのかな!?


うーん……今回は見送るか。

違うぞ、ビビったんじゃないからな!

俺だっておいしいことは好きなんだからな!


「決闘、ですか。まぁいいですよ。それで、何を賭けますけ?」

「……へっ、バカな奴め、乗ってきやがったぜ、グへへ……もちろん全財産だ!」

「全財産ですか。構いませんがそこまで規模が大きくなるとあなたが負けた場合言い訳して約束を守らないかもしれないじゃないですか。大丈夫なんですか?」

「はん、俺様が負けるなんて万に一つもないから安心しな!なんなら約束してやってもいいぜ、俺様が負けたらお前の好きなようにしてもいい!ま、そんなことはありえないがな!」


はい「好きなようにしていい」いただきました!ありがとうございます!!


俺はモルさんの方をチラッと見る。

モルさんは俺を見てしっかりと頷く。


「そうですか。それは安心しました。……自分の言葉には責任持てよ?」

「ハッ、俺様が負けたらちゃーんと守ってやるよ!」


決闘することが決まったのを見計らい、モルさんが進言する。


「……ではその決闘はギルド職員である私が立会人となろう」

「よろしくお願いします」

「ちっ、テメェが立会人かよ、……まあいいさ、俺様の勝ちに揺らぎはないんだからな!」

「ではギルドの訓練場を決闘の場所とする。30分後に決闘を行うものとする。両者、遅れないように」



その言葉と共に解散した。



時間よりも少し早めに決闘の場所に着く。

もう既にハゲはそこにいた。

ギャラリーもそこそこいる。


以前よりもモンスターの数が増えている。


見たことが無いモンスターがいる。

鑑定してみる。


……どうやらあれは「ミノタウロス」らしい。

3体いる。オークよりも大きい体でそれぞれ手には斧を持っている。

鼻息がすごい。蒸気機関車みたいになってる。


あとはオークが3体、そしてラミアが3体。

戦闘の場となる石畳からは降りているがエルフ達もいる。

……6人いるな。

このハゲ、面食いなだけでなくエルフ好きか。



……それにしても多いな。

全部で9体か。

魔物使いでこれほど使役するってのは何かよっぽど強引な手法を使ったんだろう。


ハゲが俺を見つけ、声を発する。


「よく怖気づかずに来たな、雑魚のくせにその度胸だけは認めてやるよ」


本当に自信家だな。

よくその腹と頭と顔でそんな自信つくね!

俺がそれならもう自殺考えるレベルだわ!


「……うれしくないお褒めの言葉ありがとうございます。……始める前にルールを確認してもいいですか?」


俺はモルさんに尋ねる。


「ルールは1対1の試合で、1本勝負。時間は無制限、殺す以外で相手を無力化するか負けを認めさせる、若しくは石畳から落としたらその時点で終了となります」

「手段は?」

「問いません」

「……わかりました」



俺は石畳の上に上がる。

ギャラリーからの声援は無い。

ひそひそと俺への同情・憐みの声が聞こえてくる。


……まあそうだろうな。

レートは圧倒的にハゲ優位だろう。


……でもこういうのいいよな。

ジャイアントキリングっていうの?

日本人はドラマ性を望むからな。

弱い者が強い者を倒すっていうのは面白い。

俺も好きだ。


ただ目立つのはあんまりよろしくない。

……ふむ、負けられないけど勝っちゃうと目立っちゃう。

ジレンマだな。


……よし、勝っても目立たない方法を考えよう!





……ルールからしたらあれが一番楽だし俺が『強い』ってことにはならないだろうから必要以上に目立ちはしないだろう。

ただハゲはこれだと怒るだろうなぁ……

まっ、ルールに則ってるし、ちゃんと言質も取ってるしいっか!

そうだよ、このルールも俺にあのハゲを倒せっていうお告げかなんかだよね!?

もういいや、どうせ何やってもあいつキレるだろうし。



モルさんが俺達を見やり、準備ができていることを確認する。

そして、


「……では、始め!!」


「やっちまえ、お前ら!」


言葉を合図にミノタウロスとオークが一斉に俺に襲い掛かってくる。

ラミアも何か詠唱を始めた。



でも残念だったな。

だって、


「ぶふぇ」


ハゲが吹っ飛んだ。

そのまま石畳から落ちる。


「そこまで!勝者、カイト!!」


あっ気な!


皆呆然としてる。

何が起こったかわかってないようだ。



そりゃそうだ、だってただ無詠唱の風魔法、「ウィンドバースト」でハゲを吹っ飛ばしただけだもん。

皆襲われる俺に注視しすぎて誰もハゲを見てなかったんじゃないか?

ま、見てたところでハゲが一人で何かに吹っ飛ばされた位しかわからんだろう。



別にいいよね!?ルール破ってないし!

ちゃんと石畳から相手落としただけだし!

「無詠唱無し」って言わなかったし!


……モルさん以外皆固まってる。

どうしよう、何か反応が欲しい。



俺が内心狼狽していると、やっと観衆が事態を理解しだした。


「な、なんだ!?何が起こったんだ!?」

「何かハゲがぶっ飛んだように見えたぞ!?」

「えっ、あいつが何かしたのか!?」

「でもあいつ、最初の位置から一歩も動いてないぞ!?」

「ヤベーよあいつ、何しやがったんだ!?」

「でもすげーぜ!決闘において無敗を誇るあのハゲに勝っちまいやがった!!」


称賛の声が上がる。フフフ、思った通りだ。誰も何をやったかまではわかってない。


「それにしてもあのハゲなんだよ!何もできずにただ吹っ飛びやがっただけじゃねぇか!!」

「あの勢いで残りの髪も吹っ飛んじまったんじゃないのか!?」

「しっ、止めてやれよ!あれでも必死に気づいてないフリしてるんだから!」

「えっ、そうなのか!?あんなんバレバレじゃないか!……自分の心に嘘をついてまであいつにも守りたいものがあったんだな」

「……ああ、だからハゲについては俺達も温かい目で見守ってやろうぜ」

「……そうだな、ハゲ、頑張れよ……」



そうだったのか!?あれで気づいてないフリしてたんだ。

何かあからさまに「ハゲ」という単語は無視されるから気にしてないものかと思ってた。

……それにしてもお前等なぁ、そう言っといて「ハゲハゲ」言い過ぎだろう。

まぁどうでもいいが。


「う、うぅ」


あっ、ハゲが起きてきた。


「やぁ、ハゲさん。私の勝ちです。では、あなたの全財産をいただきますね!」


俺はそう言ってエルフ達の方に歩み寄る。

だが、


「ふ、ふざけるな!何が勝っただ!な、何かズルをしたに違いない!そうだ、ズルだ!」


……ああ、やっぱりこうなったか。

頭悪すぎだろ、手段を問わない戦いにおいてどんなズルがあんだよ!?

最早髪の毛の数と脳味噌の量が比例関係にあんじゃねぇの?


「そうですか、なら今すぐそのズルとやらを証明してください」

「な、何で俺がそんなことをしなけりゃなんねえんだよ!お、お前がズルをしたんだ!それ以外に証明もくそもいらねえ!」


……はぁ、バカと話してると頭が痛くなってくる。

俺はモルさんを見て、尋ねてみる。


「……らしいのですが、どうしましょう?」

「……私も今目の前で起こっていることが信じられません。まさか敗者がこのように無様に言い訳をするなんて」

「……さっき本人も言っていた通り私が好きにしてもいいんですよね?」

「はい、もちろんです。殺してしまっても全く問題ありません」


結構過激なことをおっしゃる。

まぁお許しもいただいたし、それじゃぁ……


俺はハゲに近づく。


「く、来るんじゃねえ、卑怯者が!ズルだ、こいつはズルしやがったんだ!」


ハゲは周りのギャラリーに訴えかける。

だが、


「うるせぇ!決闘に負けたくせに言い訳すんじゃねぇ!」

「そうだ!潔く負けを認めろ!」

「引っ込め!」

「ハゲ!」

「失せろ!」

「消えろ!」



おい、途中悪口あったぞ!?

いや別にいいんだが……


「ちっ、くそっ、おい、エルフ共、コイツを殺せ、『命令』だ!」


俺が近くにいるからだろう、モンスターではなくエルフ達におれを殺すよう命令する。

だがエルフ達には何も起こらない。


俺も一瞬身構えたがエルフ達の様子が変わらないのを見てどういうことかと首を傾げる。


「当たり前です。あなたは負けたんですから。奴隷契約の際の魔法にはこういう時の財産移転もできるようになっているんですよ。もうその子達はあなたの奴隷ではありません」


モルさんが説明してくれる。

そうなんだ。ならこの子達はもう安全か。


じゃあ残るはモンスター達か。


同じようにモンスター達に命令が下る前に俺はハゲに近づき雷魔法を使って気絶してもらう。

あくまでわからないようスタンガンの要領で首元に電流を流す。


「が、ががぁ!」


ハゲは倒れる。

土魔法で手枷を造って動けないよう拘束しておく。


『モンスター言語(会話)』をonにして話しかける。


「お前たちの主人は決闘に負け、その全財産が俺の物となった。つまりお前たちの今の主は俺だ。俺はお前たちを虐げたり力で抑圧したりするつもりはない。だから大人しくしてくれるか?」


俺の言葉を聴いて、モンスター達は少し戸惑っている。


「人に危害を加えないと約束してくれるなら解放を望むものは解放してやってもいい。だから今だけは大人しく俺の指示に従ってくれ」


それを聴いてオークとミノタウロスは歓喜する。

この2種はどうやら解放してほしいらしい。


こっちもハゲ野郎の手垢のついたオスモンスターってのは扱いづらいからそれはありがたい。


だが一方でラミアの様子が優れない。


「どうした、何か問題でもあるのか?」


俺が試験の時にもいた美しい容姿をしたラミアに話しかける。

すると、そのラミアが代表して俺に話し出した。


『……実は我々にはまだこの男に捕まっている同族がいるのです。そのもの達が助からないことには……』


なるほど、人質ならぬラミア質がいると。


「捕まっている場所は分かるか?」

『はい、我等は同じところに繋がれていまして必要に応じて出されたり入れられたりしておりましたゆえ』


ふむ、場所が分かっているなら何とかなるか。

俺はモルさんを信用し、このことを話す。


「すいません、まだ他にもこのハゲに捕まっているラミアがいるようなんですがこれはどうにかなりませんか?」

「どうしてそんなことを……いえ、今はそれはいいでしょう。そのことについては心配いりません。その捕まっているラミアについてもカイトさんの財産という事になりますから私が申請して直ぐに強制執行の形で保護して連れてきましょう」

「はい、お願いします。場所は……」



その後、ギルド職員を複数連れてモルさんは俺がラミアから聴いた場所に向かっていった。



それから3時間程して、モルさんは4体のラミアと共に戻ってきた。


ラミア達はお互いの無事を喜び合っている。


感動のご対面がひとしきり済んだところで俺は声をかける。


「お前たちもあいつ等と一緒で解放がいいのか?」

『……我等は皆あなた様に助けていただいたご恩を返したいという思いで一致しております。どうかお傍に置いてはいただけませぬか!?』

「そんな大したことはしてないぞ?それに俺だってあのハゲと同じ人族だぞ、それでもいいのか?」

『あなた様は先日の森でも我等のことを案じてハイゴブリンのことを教えに来てくださいました。あなた様はあのハゲとは根本的に違います。我等はあなた様にお仕えしたいのです』

「……そこまで言ってくれるなら頼みたいことがある。俺のパーティーに魔族で召喚を扱う奴がいるんだ。前にも見たがラミア達は回復魔法が使えるだろう?そいつにもアイテム以外の回復手段を持たせてやりたいんだ。だからそいつと契約してくれないか?俺のことをそいつと一緒に支えてくれたら嬉しい」


以前エフィーに聴いておいたがラミアは闇属性だ。契約相手も魔族のカノンなら大丈夫なんじゃないか?


それに俺は回復魔法を使える。

パーティーに回復魔法を使える奴は固まっているより分散している方がいいだろう。

回復魔法だけじゃなく、ラミアによって違う属性の魔法を使えるようだし、カノンのモンスター軍団の後衛の強化もできる。


できるならカノンと契約して欲しい。


ラミア達はそれを聴き、輪になって会議しだす。

だが直ぐに結論は出たらしい。


『分かりました。あなた様のお力になれるのでしたらその方と契約いたします』

「そうか、それは助かる。俺はカイト。これからよろしく。……後でそいつと会わせるから今は待機しといてくれ」

『かしこまりました。カイト様』



ふぅ、ラミアの問題は解決できた。

後は……



「エルフの皆さん、今は私があなた達の主人という事になりますが今までのこともありますし男は信用できないでしょう。そこでクラン『イフリートの炎爪』に保護をお願いしてあります。そこは女性だけしかいませんから私の下にいるよりは安心できると思います」



俺が話しかけるもエルフ達の反応はほとんどない。

皆一様に目が虚ろだ。


やっぱりハゲから解放されても心の傷が深いんだろう。

それも俺なんかでは想像もできないくらいに。



こんな時、ライルさんがいたら……



いや、そんなことを言っても何も始まらん。

俺は俺のできることをやるだけだ。


なら……


「……決闘で勝利し、立会人からもお墨付きをいただいているので私にはあのハゲを好きなようにする権利があります。それこそ今まで散々な目に会ってきたあなた達にあれを殺すのを許可することさえも」


その言葉を聞くと彼女達は明らかにさっきとは違った反応を示す。

やっぱりこれには食いつくか……


「憎いでしょう!殺してやりたいでしょう!今まで自分たちの人生を弄んだあの男を!」


俺の煽りに呼応するようにエルフ達の顔が見る見るハゲのことを憎悪する顔へと変わっていく。


「そして私はあなた達のその希望を叶えて差し上げることができる!あのハゲを殺してもいいという免罪符を差し上げることができる!」


エルフ達は今にもハゲに飛び掛かりそうだ。

俺の「許可する」の一言だけで彼女たちは憐れな被害者から狂気の復讐者へと変貌するだろう。


だからこそ……





「エルフの皆さんに『命令』します。ハゲを絶対に殺してはいけません」



俺の言葉を聴き、エルフ達の顔色は絶望に変わる。

それを見ると、自分の胃がキリッと痛むが俺は我慢する。


エルフのシーナが泣きながら大声で喚いてくる。


「どうして!どうしていけないの!?私達に復讐させてよ!」

「それはできません」

「どうして!?ねぇ、どうしてよ!」

「あなた達にちゃんと立ち直って欲しいからです!」


他のエルフにも聞こえるよう俺は声を張り上げる。

シーナは間近にいたため俺の声にひるむ。


「……私が許可してあなた達がハゲを殺せば復讐できるでしょう。それでその場での達成感は得られるでしょう。ですが復讐相手を失ったあなた達は自分の心を保つ方法を失い、遠くない未来、廃人となります。そうなって欲しくないから私はハゲを殺すことを許可しません」


「「「…………」」」


「……私はあなた達が辛い過去と向き合って立ち直れると信じているからあなた達にはその手をこんな下種を殺すことなんかで汚してほしくないのです。あなた達のようなエルフの美しい方々にそんな汚れたことは似合いませんよ。立ち直ろうとするあなた達に汚れた手は不要です。そういう汚れ仕事は私に任せなさい。なんなら憎む相手を私に変えても構いません。少しずつでもいい、ゆっくりでもいい。時には立ち止まって休憩しても誰も責めません。ですからとにかく生きて、立ち直って下さい。私が望むのはただそれだけです」



俺の言葉を聴き、エルフ達は抱き合い、号泣しだした。

それまでも泣いている者はいたが今のはそれの非じゃない。



……よかった。思いっきり泣けるんだからまだ彼女達の心は死んでない。

目や顔も泣き顔でぐちゃぐちゃになっているけれどもさっきの顔よりとても人間らしい。

今直ぐとはいかないだろうけど彼女たちは立ち直ってくれる、俺は今そう確信した。





その後、泣き止んで疲れた顔をしている彼女達をエンリさん達のもとへと送り届けた後俺は再び戻ってきた。





俺はハゲに水魔法をかけて目を覚ましてやる。


「ごほっ、ごほっ」

「おはようございます。お目覚めですか?」

「こ、こんなことして、ただで済むと思ってんのか!?」


俺はハゲの腹を蹴り飛ばす。


「立場わかってます?モンスター達も私が懐柔しました。あなたの味方はもうだれ一人いませんよ?私の機嫌一つであなたなんか直ぐに殺せるんです」


俺は剣を抜いて奴の右足に突き刺す。


「ぐあぁー!」


醜い悲鳴が上がる。

酷く耳障りだ。


「どうします?次はどこがいいですか?腕ですか?顔ですか?それとも……」


俺はハゲの心臓辺りを剣の先端でたたく。

ハゲはそれを見て想像してしまったんだろう、失禁しやがった。


ハゲは恐怖で痛みどころではないらしい。

脂汗をかきながらも必死に俺に媚びてきた。


「お、俺が、俺が悪かった、た、助けてくれ!な、何でもするから!」

「何故私があなたの頼みを聞かなければならないんです?あなただって奴隷やモンスター達に同じことをしてきたでしょう。『因果応報』って言葉知ってますか?」

「ち、違うんだ、あ、あれは仕方なく、そ、そう仕方なくやったんだ!」

「ほう、仕方なく、ですか。なら私がこうしてあなたを殺すことも仕方なくとして許してもらえるのでしょうね」


今度は左足に剣を突き刺す。

直ぐには抜かず、傷口を抉るように剣を動かす。


「ガ、ガァー!」

「さて、そろそろお別れと行きましょうか」

「い、嫌だ、し、死にたくない、助けてくれ!」

「……お前は嫌がるエルフやモンスター達の気持ちを一切聞かず自分の欲望のまま行動したんだ。その結果死ぬことになったって文句を言える立場じゃないんだよ」

「や、止めろ、だ、誰か、助けて……」

「死ね」






「オーク、ミノタウロス、死体は少ないだろうが巣に帰るまでの餌の足しにでもしてくれ。後の足りない分はこいつから得た金で買うからそれで我慢してくれるか?」


オークもミノタウロスもうなずいてくれる。


「……悪かったな。お前たちにとっても仇だったろうに、俺が殺してしまった。俺を恨んでくれてもいいんだぞ?」


「……そうか、スマンな。その代わりと言っちゃなんだがちゃんと約束は守るし餌のことも心配すんな」


「……ああ。じゃあそれまで大人しくしといてくれ。また来る」



一時的にギルドで預かってくれるらしいので今はラミアにも待っていてもらい、俺はギルドの訓練場を後にする。



そして、宿へと戻っていった。

主人公にハゲを殺してもらいました。

もしかしたら今までの鬱憤を晴らせないという方もいらっしゃるかもしれません。

私自身は主人公に殺してもらうことに意味があると思っていますが、私の独断と偏見ですので気に入らないかもしれません。

  

この件について皆さんがどういったことをお思いになるのかとても気になるのでご意見ご感想をいただければありがたいです。

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