なんか変な感じだな……
やはりこういったことは読むのは好きですが書くのは苦手です。
その日3人はお茶をしたり買い物をしたりで楽しんだらしい。
やっぱり女の子はそういうことして楽しむんだな。
休みにしてやって正解だな。
よかったよかった。
若干カノンがそわそわしていたのも楽しい一日を送れたからまだ興奮が冷めていない状態なんだろう。
俺は晩飯を食べた後、今日の訓練の疲れからか、直ぐにベッドの中に入った。
ベッドに入るとすぐに眠気が襲ってきた。
ねむ……おやす……み。
俺の意識はそこで途切れた。
……ん?……なん……だろ。
なんか、やけに……あそこが……スースーして……気持ちいい、ような。
確か、ちゃんと、服着て寝たよな、俺?
俺はまだ覚醒していない頭に鞭打ち、体の違和感を確かめるべく目を覚ます。
「……うっ、はぁ、はぁ、マス、ター……」
カノ、ン?
「はぁ、はぁ、マ、スター、気持ち、よく、なってくれてる、かな?……」
どういう、ことだ?
カノンが、俺の上に乗っかって、上下に動いている、ような……
………………………………えっ!?
「はぁ、はぁ、マス、ター……」
「ど、どういう、ことだ!?おい、カノン!」
「マス、ター!?どう、して!?」
「どうしてもこうしても、あるか、そりゃ、起きるわ!何、してんだ!?」
「何っ、て、か、勘違い、しない、っでよね、はぁ、マスターを気持ちよく、する、のは、はぁ、奴隷の、役目、なん、だから」
だからって普通マスターに夜這いかけるか!?
ヤバい!起きていきなりってこともあるが、気持ち良過ぎてもう何が何だか!
「カノン、とりあえず、止めろ!」
「どう、して!?マスター、気持ちよく、ないの?」
「いや、そういうこと、じゃなくて、だな……」
おかしい、何か頭が少しトロンと……
ハッ、さては!
「カノン!俺に使っている、スキルを解け!」
「!?……い、や」
「くっ、これ以上、やるなら、『命令』することに、なるぞ!?」
「い、っや、はぁ、マスター、を、はぁ、いっぱい、気持ちよく、してあげるん、だもん!」
な!?
くそっ、ここでそんな可愛いこと言うな!!
ヤバい、意志が揺らぎかけた。
「カノン、『命令』だ、スキルを解いて、俺から離れろ!」
「うっ!?」
俺が命令すると、カノンはようやく俺から離れ、霞がかっていた俺の頭の中もスッキリした。
ふぅ、どうやって入ったかは知らんが、元の世界なら住居侵入罪じゃないのか!?詳しくは知らんが。
カノンの方を見るとまだ少し息を荒げているが、それよりもまず最初に気になることがあった。
状況が状況で部屋も暗いし全く気づく暇がなかったがズボンを上げ、冷静になって気づいてみるとこれはこれでかなりマズイ!
「……カノン、色々聴きたいことは山ほどあるがまずその服装はなんだ!?」
「……こ、これは、今日、買った服よ。サキュバスの正装に近いのを、見つけて買ったの。この格好の方が『魅了』の効果が上がる、から」
それサキュバスの服装なのか!?ほぼ全裸じゃねえか!!
そう、カノンはかなり肌を露出した格好をしているのだ。
下着に近いパンツに、肩から先とヘソを大胆に出している胸元を強調した、服と呼べるか怪しい物を着ている。
後、着けている物と言ったらロングな手袋と太ももまでぴっちりと伸びたソックス位だ。
全体的に黒をイメージしているらしい。
サキュバスであるカノンの服装としてはおかしくない。
むしろ似合いすぎていて怖い。
14歳でここまで色気が出るものなのか!?
……それにしてもやっぱりスキルを使ってたのか。
でも昨日見たときのものよりかは恐らく効果が薄い。
服装を正装にして効果を上げてもまだ自我を保てるくらいだったんだから主人に対しての効果というのはただ単に感度を上げたりする位しか効かないんだろう。
……それはともかくまずはどういうことか確認しないとな。
「……カノン、どうしてこんなことしたか、話してくれないか?」
「……マスターを、気持ちよくさせるのは、奴隷の役目、だし」
「……うーん、それは俺が起きてる時じゃダメだったのか?」
「シアとエフィーに相談したら、私はサキュバスだし、マスターが寝ている時の方が私の特徴を生かせてより気持ちよくなってもらえるって」
またあの二人の暴走か!!
確かにサキュバスならその方がいいのかもしれんがもっとうまくやらないと。
俺起きちゃってるしね!
「……あのな、カノン。そうやって俺を気遣ってくれるのはうれしいがこういうことをいきなりされても困る。お前だって昨日今日会った俺とこんなことすんのも不本意だろう?」
俺の言葉を聴いてカノンの目から涙がジワッと滲み出る。
「……やっぱりマスターは嫌なんだ!私が、魔族だから?それともシアやエフィーみたいに、綺麗で可愛くないから?」
カノンは自分で言った言葉でさらに涙を流す。
はぁー、カノン、自分に自信なさ過ぎだろ。
って言ってもそれは俺のせいか。
「あのなぁ、そんなこと言ってたら世の中の女全員敵に回すぞ?お前が可愛くて綺麗じゃないならこの先俺は一生綺麗で可愛い人とは出会えないことになる。それに俺は魔族だろうが奴隷だろうがんなもん気にしない。目の前にいるカノンが大事なんだ!」
「っ!?、じゃあ、どうして……」
「……カノン、じゃあ俺がカノンの寝ている間に同じことしててもいいのか?まだ会ったばっかの俺だぞ?」
「いっ、いいわ!むしろ望むところよ!!」
「そうだよな、嫌だよ……ええっ!?嘘っ!?」
想定外!!どうしよ、ここで「うっ、それは……」みたいな流れに持っていくつもりだったのに!!
俺が元の世界で同じこと言おうものなら即刻通報沙汰になるようなことだぞ!?
くそっ、攻める方向性を替えるか。
「じゃ、じゃあカノン、俺に気持ち良くなって欲しくてこんなことしたんだよな?」
「……ええ」
「今回俺が起きたから気づけたものの、もし起きなかったら何も気づかずただ、ああ、何か知らんが気持ち良かったなぁ、だけで終わってしまうんだぞ?俺は嫌だなぁ。折角ならカノンが俺のためにやってくれてるって知った上での方が俺もカノンもお互いが良いと思える」
「…………」
「だからな、カノン。今後はこういうことは恥ずかしいかもしれんが俺の知らないところでするのは勘弁してくれるか?したくなったら俺からもちゃんとカノンに言うから」
「……わかった。ごめんなさい、マスター。勝手なことして」
「いや、わかってくれればいいんだ」
ふう、これで一件落着、かな?
「……マスター」
「ん?なんだ?」
「じゃあ、今からはいいん、だよね?」
「……えっ!?」
「か、勘違いしないでよね、ちゅ、中途半端に終わったからマスターが辛いだろうから言ってあげてるだけなんだから!べ、別に私がマスターと、つ、続きをし、し、したいからとかじゃないんだからね!」
部屋は暗いが顔を逸らしているカノンの顔が赤くなっているのがはっきりと見て取れた。
そんなカノンを見ていると、何だか愛おしく思える。
こんな綺麗でかわいい子が俺のために色々してくれようとしてるんだ。
ここで逃げ出すのは流石に俺自身でも引くわ。
今は頭もちゃんと回るし、理性が飛ぶこともないだろう。
……何よりカノンのためにもしてあげたい。
「……じゃあカノン、頼めるか?」
「……うん、マスター」
その後、俺はカノンと共に甘美な一夜を過ごした。
翌日、宿の女将さんに「昨晩はお楽しみでしたね」と言われた時は顔から火が出るほど恥ずかしかった。まさか自分が言われることになるとは!だが後悔はない。ツンツンしながらもどこか嬉しげな表情を浮かべるカノンを見ると、やってよかったと思う。
カノンは初めてとは思えないほどうまかった。どこがどうとは言えない。そういうことに関する知識も豊富だった。まぁそこは流石サキュバスと言ったところか。
朝の訓練を終え、その後朝食を食べる際、シアとエフィーには「あれは今後やめてくれ」と言っておいた。
納得してはくれたが他にも俺が考えないような色んな暴走に奔りそうで怖い。
俺のためにしてくれるのは滅茶苦茶うれしいんだが如何せん何が起こるかわからんから恐ろしい。
今後も二人には注意が必要だな。
その後、今日の活動をどうするかを話し合ったが、カノンのレベルアップ兼配下を増やすということで、モンスター討伐の依頼を行うことにした。
カノンが召喚できるモンスターも戦いに参加すれば強くできるらしいが今はカノンのレベルを上げた方が効率がいいということで召喚はベルだけに限定することにした。
午前はカノンの体調も考え、宿でゆっくりし、午後から依頼を受けに行った。
外に出る際、カノンがサキュバスの正装のまま出ようとしたので俺は引き留めた。
「カノン、流石にその服装で外に出るのは俺にも他の男にも刺激が強すぎる。せめてその上からローブを着てくれないか?」
「えっ、やっぱり似合ってなかった!?この服……」
「そうなんですか!?私達はカノンにピッタリと思ったのですが……」
「そうですね、ですが女性と男性の感性は違っていますからね。ご主人様がご納得できないということも……」
「そうなんだ……、マスターに変な格好見せちゃったんだ、私……」
「そうじゃない、そういうことじゃないんだ。ただな……」
「ごめん、マスター。私のせいでマスターに恥かかせるところだったんだね。それなのに私……」
何なんだ、コントか!ワザとなのか!?俺に何を言わせたいんだ!
……はぁ、しゃあない、こんなん俺みたいなやつが言ってもキモいだけだが言わないと納得しなさそうだし。
「ああー、もう、そうじゃない!自覚ないだろうけどな、無茶苦茶似合ってんだよ、可愛いし何ならかなりエロい!でもそんなカノンを他の下賤な男共にエロい目で見られたくないんだ!可愛かったりエロい恰好すんのは俺の前だけにしろ!」
……はぁ、独占欲の塊みたいな発言だな。
イケメンが言ったらキュンと来るんだろうけどボッチで顔もイマイチな俺が言ってもただキモい主人の発言にしかとられないかもな。
まあこう言えばカノンが自分のことを卑下することもないし俺がキモがられるだけで済む。
俺は慣れてるからいいけどカノンにはもっと自分に自信を持たせてやらんと。
シアやエフィーも今ではしっかり自分に自信を持てるようになってる。
カノンにもそうなって欲しい。
そうすればいつか俺が死んでしまっても……
カノンは顔を真っ赤にし横に向けている。
「ししし、仕方ないわね、マスターがそ、そこまで言うんだったらそうするわ!……わ、私だってマスター以外の男にいやらしい目で見られるの嫌だもん……」
「ん?最後の方何だって?良く聞こえなかったんだが」
「ききき、聞こえなくていいの!ふん!」
ありゃ、また横むいてしまった。
まぁ納得してくれたようだしいっか。
ちなみにカノンの頭の角は魔力を使えば隠せるらしい。
だからローブと言ってもフードを被る必要は無い。
とするとカノンの顔は露出することになる。
顔だけでもカノンは美人で可愛いんだから見られるんだろうなぁ。
俺だけ釣り合ってないよね。皆美人で可愛いのに主人がこれじゃあね!
……はぁ、「何でお前なんだよ!」っていう視線を感じながら過ごすの面倒なんだよなぁ。
その後、手頃な依頼をいくつか受け、モンスター狩りへと向かった。
もちろん野郎共の醜い嫉妬の視線がズサズサと突き刺さってきたが頑張って耐えた。
伊達にこっちは長い間ボッチやってねぇんだよ!
森に着いてから方針を確認したが、カノンが契約できそうなモンスター以外は基本討伐。レベルの上がり具合を見てカノンを戦闘に参加させるか、召喚するかどうかを判断する、というもので意見は一致した。
と言ってもここら辺で闇属性って言ったらスケルトンかトランバットしかいないから主にレベル上げをすることになるだろう。
捜索を開始して約2時間後、依頼されているモンスターの討伐が終わり、カノンのレベルは8まで上がった。その間にスケルトン2体と遭遇し、契約を済ませた。契約内容は前のスケルトンと変わらないらしい。
カノンは魔法を使えるが全体的にバランスがいいのでステータスはMP以外はできるだけ均等に上げた。
ちなみにカノンは魔法以外の接近戦では短刀を使うらしい。だから一応第2ジョブは戦士にしておいた。
魔法使いと言う手もあったが、本人が影が使えない際の接近戦にも対応できるようにしたいと言っていたのでこちらにした。
名前:カノン・ファーミュラス
人種:魔族(サキュバス)
身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト
職業:1.影使い 2.戦士
性別:女
年齢:14歳
Lv.8
HP:73/56(+17)
MP:88/71(+17)
STR(筋力):34(+16)
DEF(防御力):32(+16)
INT(賢さ):36(+16)
AGI(素早さ):33(+16)
LUK(運):21(+5)
カノンのステータスもそこそこ強化されたし、カノンを戦闘に参加させることにした。
基本カノンにはベルを召喚してからは影の技で援護してもらうことにする。
ベルにはカノンの護衛を務めてもらうことにした。
それからまた捜索し始めると、ゴブリン30匹程とグレスボア15頭程が小競り合いをしているところに出くわした。
出来れば不意を突きたかったのだがグレスボアの1頭に感づかれてしまったため即時の対応を余儀なくされた。
ここで何故かゴブリンとグレスボアは結託し、俺達を襲ってくる。
どうしてだ!?今まで争ってたじゃねぇかお前ら!
俺は即席の作戦を伝える。
「シア、今回は数が多い!二人の護衛に回れ!エフィー、魔法を使えるゴブリンを最優先で狙え!カノン、影でできるだけ多くを足止めしてくれ!」
「かしこまりました!」
「はい、わかりました!」
「了解、マスター!」
「よし、行くぞ!!」
俺はグレスボアの周りに高さ2メートルの氷の壁を造りだし、奴等を取り囲む。
「アイスウォール!」
土の壁よりも耐久度は低いがその分消費MPが低い。
取り囲むとなると結構な消費量となるが、今はとりあえず倒すことに割いた方がいい。
だから土よりは氷の方がいいはず。
時間を稼ぐのは少しで構わないしな。
今のうちにゴブリン達を始末する!
俺はゴブリンが集まっている方へ駆けていく。
近くにいるゴブリンを剣で切っていく。
「うらぁ!」
「ゴグ」
「はあ!」
「ガギ」
俺が抑えきれないゴブリン達が後衛の方に接近していく。
シアがエフィーとカノンを守るように二人の前に立ち、ベルはその後ろに控えている。
「やぁ!」
「ゴワ」
「はっ!」
「グギ」
俺はカノンが影で縛り付けてくれているゴブリン達を切っていく。
今の限界は一度に5体らしい。
「……風の刃よ、敵を切り裂け、スラストウィンド!」
その横をエフィーの魔法が通り過ぎて行った。
打ち出された風の刃は後方にいて詠唱していたゴブリン2体を真っ二つにする。
まだ後1体残っているが俺が魔法を放ち、それを阻止する。
「食らいやがれ、ファイアボール!」
倒すには至らないまでも詠唱を妨害することはできたらしい。
火の玉を受けたゴブリンは詠唱の中断を余儀なくされ、熱さでのたうち回っている。
ゴブリンはこいつを含めて後12体。
行けるか?
すると、魔法を使った隙をついてゴブリンが3匹俺を襲ってきた。
同時にグレスボアの壁も打ち破られたようだ。
俺が剣を構えて防御しようとしたが攻撃が俺に届くことは無かった。
「やぁ、りゃあ!」
「はぁ!」
シアの2本の剣とカノンの針状の影がゴブリンを次々と捉え、倒していった。
「ナイス判断だ、シア、カノン!後のゴブリンは任せた!俺はグレスボアに回る!」
「はい!」
俺は突進しようと構えているボア共に覚えたての魔法をくれてやった。
「行くぜ、ダークミスト!!」
黒い霧がボアの周りに出現する。
護衛依頼の後、俺が眠ってる時に経験した精神汚染をイメージして作り上げた霧がボアたちを包む。
ボアたちは霧に飲まれ、次々と闇に蝕まれていく。
発動して10秒程すると、ボアたちの行動が突然乱れだした。
味方同士攻撃しあったり、中には痙攣しながらそのままパタリと倒れてしまうものもいた。
俺はその隙を突き、まだ動けるボアを優先的に切っていく。
3体ほど切ったところであっちの片がついたのだろう、シアがこっちに走ってきてボアを倒すのを手伝ってくれた。
結果的に4体ほどが何もできず精神が壊れ、他のボアは混乱して味方同士で攻撃しあっていた。
メッチャすごいじゃん、これ!
最初から使えばよかった。
どうやらボアのように知能はあっても単純な行動しかできないような奴にはかなり有効らしい。
グレスボアを掃除し終わると、3人とベルが俺の下に駆けてきた。
「ご主人様、すごいです!あれもご主人様の魔法ですよね!?」
「ああ、俺もまさかあそこまで効くとは思ってなかった。やっぱり闇魔法はすごいな」
「あれは闇魔法全体がすごいのではなくてご主人様の闇魔法がすごいのです!カノンさんの闇魔法でもあそこまでの威力は出ません」
「その通りよ、流石マスター!」
『カイト殿は中々できる男なのだな!』
興奮してるのは分かるが、皆近い近い!
「あ、ああ。ありがとう」
その後、売却できる部位の剥ぎ取りを済ませ、少し休憩を挟んでまた狩りを再開した。
その日はカノンのレベルは12まで上がった。俺とシアは1ずつ、エフィーは2上がった。
ベルもレベルが上がったようで、6だったのが9まで上がった。
そしてカノンはさらにスケルトン1体とトランバット1匹との契約に成功した。
トランバットについては定期的に食糧を提供することが契約内容となっていた。
住む場所は異空間でも大丈夫だし、食糧はモンスターの肉でもいいらしいので狩りをしている俺達としてはずいぶん安上がりで済んだ。
全員のステータスが上がっていることを確認してから、その日の狩りを終え、俺達は街へと戻っていった。




