カノンをどうにかしてやらないと……。
「……エフィー、シア。あの爺さん覚えてるか?以前の護衛依頼の時の」
「はい。召喚士、でしたよね?」
「私もそう記憶してます」
「そうだ。あの爺さんをヒントに俺は一つの仮説を立てた。話してみるから何か穴が無いか、検証してみてくれないか?」
「それは構いませんが、それがどうカノンとつながるのでしょう?」
「……これが正しければカノンはもしかしたらモンスターと話せるようになるかもしれんし、一定のモンスターなら契約できるようになるかもしれん」
「えっ、本当ですか!?」
「それはすごい、流石ご主人様です!!」
エフィーとシアがそれぞれ驚いたり喜んだりしている。
カノンは俺の言葉を聴いてポカンとしている。
そして口を開く。
「……本当、に?本当に、話せるようになるの?」
「まだ仮説段階でしかない。だから今から二人に話を聴いてもらって検証してもらってからでないと何とも言えん。」
「…………」
「……カノン、ご主人様はいつも困っている私達を助けて下さいました。今回もご主人様でしたら絶対大丈夫です!私が保証します」
「シア……」
おい、シア、ハードル上げんじゃねぇよ!
まだ仮説段階なのに……。
そこまで信用してくれるのはうれしいが人任せはどうかと思うぞ、シア。
「カノンさん、もしご主人様の仮説が間違っていてもまだ考え始めたばかりです。4人もいるのですから他にも考えは浮かんできますよ。だからそんなに心配なさらずにまずはご主人様の仮説を検証しましょう」
「エフィー……」
エフィーはシアと真逆で一見俺の説を信用していないようにも思えるが、エフィーなりに俺にも気を使ってくれたのだろう。
皆が皆俺の説を過信してしまっては検証するのに穿った見方しかできなくなる。
エフィーはそこまで考えてそのようなことを言ってくれたんだろう……多分。
「では、今から俺の考えた仮説を話す。……まず爺さんは元々はモンスターとのコミュニケーションを取れたんだ。だがそれがいきなりできなくなった。……これは恐らく爺さんが盗賊のジョブについていたことと何か関係すると思う」
「盗賊、ですか?」
シアが尋ねてくる。
「ああ、俺の仮説ではその話せるようになったというのは恐らくスキルか何かだと思う。数か月修行していたらいつの間にか話せるように、ってのも数か月間の間にレベルが上がってポイントが貯まって取得したと考えればいつの間にかってのも筋が通る。最初からってのはそれまでに必要なポイントが貯まっていて召喚士になってすぐに消費されたって考えるべきだな」
「なるほど、私たちはご主人様の『ステータス操作』でスキルを選択していましたからそこは盲点でしたね」
エフィーが理解を示してくれる。
「それでスキルでモンスターとコミュニケーションを取れるのはいいが、爺さんは何らかの必要から盗賊行為に奔ってしまって、盗賊のジョブについてしまったペナルティーとしてスキルが幾つか消えてしまった。その消えた中にモンスターと話せるスキルが入っていた」
「……筋は通っていますね」
「ああ。で、本来ならレベルを上げてポイントを貯めればまた取り直せるのだが爺さんはスキルポイント制について理解していなかった。だから新しくモンスターをそろえるのも『買う』という方法しかなく、そもそも盗賊行為に奔る位なんだから金に余裕があるはずもない。だからモンスターを買うための資金もまた新たな盗賊行為によって稼ぐしかなく、どんどんと嵌ってしまった」
「「「…………」」」
まだその場にいなかったカノンも聴き入っている。
「まぁ後半は爺さんの事件の沿革を説明したみたいになったが1つ目の結論、まずモンスターと話すことはスキルを取得すれば可能だ」
カノンがなんとも言い難い顔をしている。
もしかしたらモンスターと話せるかもしれないがそれがスキルを取得するという方法だったためにどう反応すればいいか困ってる、といったところか。
「……今のところ私から見たらご主人様の仮説に穴は見当たりません」
「私も、です。流石ご主人様です」
二人が意見を言ってくれる。
まあシアのは何かただ俺をヨイショしてるだけみたいにとれなくもないが。
「……じゃあ続けるぞ。2つ目、これはカノンが契約できるモンスターの限界についての仮説だ」
「限界、ですか。契約するのに何か他に条件でも?」
エフィーが純粋に疑問を入れてくる。
「ああ。この仮説が正しければカノンが契約できるモンスターはグッと減ってしまうだろう」
「…………」
カノンは黙って俯いている。
「……恐らく魔族と召喚士の契約の違いは契約できるモンスターの『属性』だ」
「……ハッ!?『属性』、そうか、なるほど!」
俺の言葉でエフィーはわかったようだ。
元々賢い子だから些細なことからだけでも一人で結論に辿り着いた。
流石だな。
「エフィーはわかったようだな」
「はい。でも流石です、ご主人様は!取り上げられる共通項が少ない中そこに気づかれるなんて」
「どういうことなんです?」
エフィーは答えに辿り着いて少し興奮している。
シアはまだのようだ。
まあ無理はない。
シアも頭が悪いわけではないがこういうことは魔法を使っている俺達の方が答えに至りやすい。
「エフィー、シアに説明してみてくれるか?」
「はい。……シアさん。護衛依頼の際、色んなモンスターを倒しましたよね?どんなモンスターがいましたか?」
「ええっと、ゾンビに、ウルフに、グラスビーに……」
「もしそれらのモンスターに属性を振るとしたら?」
「属性、ですか?……ゾンビは先ほどのご主人様がおっしゃっていたように『闇』、ウルフは大地を駆けていますし『土』、グラスビーは羽があって飛んでるから『風』、と言ったところですか?」
「はい、その通りです。どうですか、見事にバラバラですよね?」
「そう言えばそうですね……」
「そこでご主人様がカノンさんにされていた先ほどのご質問を思い出してください」
「と言いますと?」
「ベルは元々モンスターでは何の種類にあたるか、やカノンさんが契約しようとした他のモンスターの中にゾンビとかベルみたいな闇を連想できるモンスターはいたか、とかです」
「ああ、はい、ちゃんと覚えています」
「どうですか?何かこれらのヒントからわかりませんか?」
「うーん、……あっ!!」
「わかりましたか?」
「はい!そういうことですか」
「シア、答えを言ってみてくれ」
「はい。……恐らくカノンが契約できるのは属性が闇、もしくはそれに近いモンスター、あるいは属性の無いモンスター、ですね?」
「その心は?」
「カノンは契約を行うのに『闇魔法』を使っていて、ベルは『ケルベロス』の下位種、つまり闇属性と親和的だから、です」
「ああ、俺達の考えた結論もそうだ。ちなみに召喚士は属性に関係なくモンスターと契約できる。使っているスキルが属性魔法じゃないからな。……どうだ、カノン。」
「……それを聴いてどうしろっていうの?」
「お前がどうしたいかを聴きたいんだ」
カノンは間髪入れず答えた。
「私は話せるようになりたい!ずっと、ずっと思ってた!私も他の魔族と同じようにモンスターとおしゃべりしたいしそれから契約だってしたい!ベルと契約できてからはもっとそうしたかった!でも初めて契約ができたと思っても一切話せない!……もう、辛い思いは……いやなの」
カノンは最後まで話してから盛大に泣き出した。
それまでのどこか妖艶で少し大人びた雰囲気は無く、泣く姿は寂しさに耐えられずに泣き出す子供のようだった。
「……そっか。じゃあ俺達が協力してやる。お前がベルと話せるようになって、そしてモンスターと契約できるように」
俺はそう言ってカノンの頭に手を置き撫でてやった。
その後、カノンが泣き止むまで待った。
俺達はカノンがモンスターと話せるようになることを優先することにする。
というよりそうしないと契約できないだろう。
俺達はカノンをパーティーに加え、モンスターを倒しに出かけた。
そこそこもう遅い時間になっていたから準備は手短に済ませる。
カノンはレベル1なので後ろに待機させて俺達3人だけでの狩りとなる。
20匹ほどゴブリンが一気に出てきたので倒すと、カノンのレベルが3まで上がったようだ。
それを見て、俺は直ぐに『ステータス操作』でカノンの取得できるスキル欄を確認する。
共通しているスキルも多々あるが、俺達人間とはまた違った様々なスキルがあった。
その中でも下の方にある『言語』という項目を見つける。
見てみるが、俺が持っている『異世界言語』のスキルは無い。
まあ特典だしな。
お目当ての物があるかどうか……
『モンスター言語(会話)』
あった、これか!!
選択してみる。
ふむ、必要なポイントは5ポイントか。
今カノンのスキルポイントは6。
カノンはレベルが低いから5ポイント稼ぐのはそこまで難しいことじゃないが上級ジョブの召喚士にとってレベル3つ上げるのはそこまで簡単じゃないはず。数か月と言う期間もこれと整合的だと思う。
念のため俺の取得できるスキル欄を確認してみた。
同じように下の方に『モンスター言語(会話)』が存在した。
同じくポイントは5ポイント必要。
ふう。俺はカノンのポイントを消費して、『モンスター言語(会話)』のスキルを取得する。
ステータスを確認する。
名前:カノン・ファーミュラス
人種:魔族(サキュバス)
身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト
職業:影使い
性別:女
年齢:14歳
Lv.3
HP:55/38(+17)
MP:58/41(+17)
STR(筋力):26(+16)
DEF(防御力):24(+16)
INT(賢さ):28(+16)
AGI(素早さ):25(+16)
LUK(運):21(+5)
能力値ポイント:8
『闇魔法』、『魅了』、『モンスター言語(会話)』
スキルポイント:1
よし、出来てる!
俺の説が正しかったんだな。
これでモンスターと会話できるはず。
「カノン、ベルを召喚してみな」
「えっ、……わかったわ」
カノンは俺の顔を見て納得し、詠唱に入る。
「……契約者の名において命ずる。出でよ、『ベル』!」
カノンの言葉と共に今日2度目になる召喚が行われた。
「カノン、話してみな」
「……うん」
カノンは召喚されたベルと話しかけるためにかがむ。
「……ベル、私の言葉が分かる?」
「……ガウッ」
「えっ、ベル!?」
「ガウッ、ガウッ」
「分かるの、分かるのね!?」
「ガウッ、ウー、ガウー」
「ベルー!!」
カノンは感極まってベルを抱き寄せる。
……良かったな、カノン。
どうやらちゃんと話せたようだ。
だがほどほどにしといてやれよ。……ベルがその豊満な2つの物によって窒息死しそうになってるぞ。
カノンの話すことは俺達にも理解できるということはどうやらカノンの話す語が何か俺達の知らない言語に変換されると言うわけではなく、モンスターの話す言葉が理解でき、自分の話す語が勝手にモンスターが理解できるものになっているということらしい。
……水を差すわけではないが言葉が分からない俺達はただ何か感動的なものだなー、位しか分からない。
これを状況を知らない奴が見たら一人でモンスターに話しかけてる痛いやつに見えるのではないだろうか?ベルはガウガウ吠えてるようにしか見えんしな。
やっぱり俺も『モンスター言語(会話)』取った方がいいかな?
その後ベルを抱いて泣き続けるカノンを見守りながら俺が考えいろいろ試していると思わぬ収穫があった。
『パーティ恩恵(リーダー)』を使ってみたら意外や意外、『モンスター言語(会話)』を使用することができたのだ。
『異世界言語』が常に発動しているパッシブスキルだからこれは無理かな、と思っていたがなんと『モンスター言語(会話)』は意図してon/offを切り替えできるものだったのだ。
つまり発動させるかどうかがスキルの所有者の意思に委ねられるスキルだったので『パーティ恩恵(リーダー)』の条件に合致したのだ。
これは結構スゴイことなのだ。
まずカノンがいれば俺がポイントを消費することなく俺もモンスターと会話できる。
次に俺はこれが最も大きいと思うのだが、自分の必要な時だけ使える。
これは逆に言えば普段使っていないときはモンスターの会話の内容を知らなくてもいいということだ。
これで会話の内容を期せずして知ってしまい、下手に同情してしまうということもなくなる。
カノンは魔族がそうだったからか、常にonにしているようだが。
今俺はonの状態にしているからベルが何を言っているかも分かる。
カノンとベルは会話に夢中で俺達が聴いていることに気づいていない。
カノンの言葉は理解できるから、ベルの言葉をシアとエフィーに翻訳してやる。
『……ところでカノン様、あの男は?』
「え?……ああ。……あの方はね、私達が話せるようにして下さった、私の初めてのご主人様、つまりはマスターよ。……とっても大切な人。ベルからしたら私にあたるような関係の人ね、だから失礼なことしちゃだめよ?」
『何ですと!?俺からしたカノン様ですか!?俺はカノン様のために全てを捧げると誓った身、つまりカノン様はあの人間の男に全てを捧げられたのですね!?』
「えっ、なっ、ち、ちが、違うわよ、ま、ま、まだそうじゃなくてね……」
『うん?ああ、まだ、ということはこれからなのですね?カノン様、俺も陰ながら応援させていただきます』
「だ、だから、ち、違うの!そ、そうじゃなくて……」
『?、カノン様?』
「そ、そ、そりゃマスターはカッ、カッコいいし、私みたいな友達のいない魔族でも優しくしてくれたと、とても素敵な方、だけど……」
『……何がいけないんです?カノン様はあの男と交わりたくないのですか?』
「な、な、な、ま、まじ、まじ、交わる、なんて!」
『……どうなのです?』
「……私、奴隷、だし、それに魔族、だし。マスターは人族だから私なんかとは……、それに私最初からマスターにきつく当たっちゃったし、シアやエフィーみたいに可愛くないし……」
『そんな!サキュバスでもあられるカノン様のようなお美しい方に欲情せぬ男などいませんよ!同性である俺でもついくらくら来てしまうほどです!』
「おい、コラ、ちょっと待て!」
俺は堪らず飛び出した。
それまでにもおかしな会話はあったと思うが「あれ?これスキルバグってんじゃね?」と言う風に流していた。
しかし今のは見逃せん、いや聞き逃せん!
『な、何だ、男!何か用か!?』
「お前オスじゃねえのかよ!?」
『えっ、いつ俺がオスだと!?』
「それだそれ、その『俺』っていうの!」
『ああ、これか。特に深い意味は無い。カッコ良さそうだったから使っている』
「何だそりゃ!……ったく紛らわしい。こっちは完全にオスだと思ってたんだぞ!?」
『それはすまなかったが今更変えられん。……ところで貴殿はカノン様のマスターだそうだな。詰まる所俺の大切な方のその又大切な方にあたるのだろう?どう呼べばいい?』
「……別に変に畏まる必要はないよ。お前の主はカノンなんだろ?気軽に呼んでくれればいい。……俺はカイトだ」
『……ふむ、ではカイト殿と呼ばせてもらおう。俺はベル。カノン様にいただいた名だ。よろしく頼む』
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
『……ところでなぜ俺達は会話が成立しているんだ?』
「遅すぎだろ、気づくの!?……そりゃ俺がモンスター語を理解できてるからだろ」
俺の言葉を聞いてカノンが驚く。
「えっ、じゃ、じゃあ、もしかして、今までの話……」
「ああ。しっかり聴こえてたぞ。なんなら再現してやってもいいが……」
「バ、バ、バカ、マスターのバカ!あ、あ、あれは、ほ、本心じゃないし、ただ冗談で言ってただけだし!あ、あんまり調子乗らないでよね!」
顔を真っ赤にしながらまくし立てるカノン。
「……そうか。それは悪かった。」
素直に謝罪する俺。
それを見て困惑するカノン。
「えっ?あ、あの、ち、ちが……」
「まぁ何だ。俺が勝手に聴いてたのが悪かったんだ。カノンは気にするな」
「ち、ち、違うの、そ、そうじゃなくて……」
「とりあえずは第一段階成功だ。後は契約だな。ここら辺で闇属性のモンスターは……エフィー、ここらへんのモンスターについて教えてくれるか?」
「はい、かしこまりました」
俺はエフィーに相談を持ちかけるためにその場を少し離れた。
「あっ……。」
「カノン、どうしたんですか?」
「あ、シア……」
「……ご主人様はとてもお優しい方でしょう?」
「……うん。でもまたマスターにきつく当たっちゃった。私……」
「ご主人様はそれ位でカノンのことを嫌いになったりしませんよ。……とてもお優しい方ですから」
「そう、かな?」
「はい、もちろんです。ですからそんなお優しいご主人様に報いさせていただくためにも私達が協力して頑張らねばなりません。これからもカノンの力を貸してくれますか?」
「……うん。ありがとう、シア」
「いえ」
「……よし、じゃあ最初はスケルトンでも狙ってみるか」
「そうですね。ベル以外では最初の契約になりますがここらへんのモンスターの中じゃ弱すぎるということも無いでしょう」
「うん。じゃあそれで行こう。……おーい、シア、カノン、ベル!」
俺が呼ぶと二人と1匹はぱたぱたと駆けてきた。
「何でしょう、ご主人様?」
「マスター、何?」
『どうしたのだカイト殿?』
全員俺に注目している。
「これからカノンが契約できるか試してみる。標的はスケルトン。『闇』属性だ。契約できるだけの条件はそろっている。後はカノン次第だ」
俺の言葉を聴いてカノンは頷く。
おお、大丈夫そうか。
てっきりもう少し緊張していると思ったが……。
シアが優しい顔をしてカノンを見ている。
……どうやらシアが何か頑張ってくれたらしい。
本当にシアは頼りになるなぁ。
後で誉めてやるか。
「……マスター、私やってみる」
「ああ。カノンならきっと大丈夫だ。……もし成功したら頭撫でながら褒めてやるから。頑張れよ」
「な、そ、そ、そんなの要らないわよ、ふん!」
顔を赤めてぷいっと横を向いてしまう。
「悪かった悪かった。……じゃあやるか、皆!」
「「はい」」
「ええ」
『ああ!』
その後10分程捜索すると、夜の荒野をゆっくりと歩くスケルトンを1匹発見した。
「カノン、ちゃんと俺達が控えてる。だから安心して契約して来い」
「……うん、マスター、見ててね」
「ああ」
カノンはスケルトンの下に歩いていく。
スケルトンはカノンに気づいて攻撃しようとするがカノンが話しかけるとスケルトンは静止し、カノンの話に耳を傾けている。
……いや、実際にスケルトンに耳があるかは知らんが。
俺も今は『モンスター言語(会話)』をonの状態にしているからスケルトンの話すことは分かるが、何かほとんど単語しか口にしていない。
よく巨人なんかがそんな話し方するけど。
『魔力、大事』
こんなもんだ。
何だよそれ!?
こんな奴に知恵なんかあんのか!?
契約が成功した暁には絶対「魔法の入門書:スケルトンでもわかる最強の書」を理解できるか試してやる!
理解できなかったら著者訴えるぞ!?
数分後、特に揉めることもなく話は進んで行って契約内容が定まったらしい。
カノンの魔力、ここではMPが対価なんだと。何でもスケルトンは食事や居住することを必要としておらず、カノンが召喚するまでは異空間にいることも可能だとか。
また、1度やられても契約していれば一定時間空けなければいけないが、再度MPで蘇生させ呼び出すことも可能らしい。
それならかなり便利だよなぁ。
食事代もかからないし対価が呼び出すときのMPだけなんて。
いっぱい契約したら不死の軍団とかできんじゃねえの?
やべぇ、中二病精神が騒いでくるぜ!
……て言っても、スケルトンの数がここだけじゃあ多くはいないだろうから本当に作ろうと思ったら色んな所に行ってスケルトンと契約しまくらないといけない。
それに全部のスケルトンが同じような契約内容で契約してくれるとも限らん。
そう思うと現実的な話、少数精鋭が理想かな。
まあできるんなら不死軍団作ってみたいけどね!
そんな思考に夢中になってる間に契約が成立しそうだ。
カノンが闇魔法を発動する。
カノンを中心に魔法陣が展開され、スケルトンの足元にも魔法陣が出現する。
瞬間、カノンとスケルトンの胸辺りに黒い魔力が入っていった。
黒い光が収束する。
おおー、これが契約か!
中々カッコいいな!
何とかして使えるようにならないかな……
「マスター!やったよ、私!」
カノンが走って俺に抱き着いてきた。
俺はカノンを抱き留め、頭を撫でてやる。
「流石カノンだ、よくやったな!」
「ちょ、ちょっと、やめてよ、子供扱いしないで!」
カノンは頬を膨らませて俺に抗議する。
可愛いな。
「約束だろう、嫌だったか?」
「べ、別にい、嫌じゃ……」
「これをして欲しいから俺に抱き着いてきたのかと……」
「へ?……あっ、こ、これはち、違うの!」
と言って現状を認識したカノンはバッと俺から離れる。
また横を向いてしまった。
「か、勘違いしないでよね、私はどっちでもよかったけどマスターがかわいそうだったから約束守ってあげただけなんだからね!」
「そ、そうか。ありがとう」
「ふ、ふん!」
照れてるだけだとは思うんだが確証は無い。
そんなもんちゃんとわかるんならボッチなんかしてねぇよ!
……まっ、いっか。
ちゃんと契約できたんだし。
「おめでとう、カノン」
「おめでとうございます、カノンさん」
『カノン様、おめでとうございます』
シアとエフィーもカノンに賛辞を贈る。
ベルも一応は言っているのだがシアとエフィーからしたら吠えてるようにしか見えんだろう。
「シア、エフィー、ベル……ありがとう」
そう言ったカノンの顔は涙が流れていたが、とても素敵な笑顔だった。
ヒロイン増えるたびに面倒な設定が増えてるように思えてなりません。
また矛盾していないか不安で一杯です。
発見された方は是非ご指摘くださるようよろしくお願いします。




