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さて、何をしようか。

第3章始まりです。

この章の中盤辺りからは少しずつ面白い展開になるのではないでしょうか?

……ハードルを上げているわけではありません。

あくまで私個人が読んだら、という視点で申しています。


過度な期待は容易に失望を生みます。


気長に待っていただければと思います。


俺達がナギラの街に滞在し始めて3日が経った。

この3日間は俺の体のこともありゆっくりと過ごすことにした。

事あるごとにシアとエフィーが気遣ってくれたのだが体自体は回復魔法で治癒しているし、悪いと思える点も特になかった。

まぁ二人をこれ以上心配させるのも悪いしとりあえずは体を休めた。


3日目になって俺が活動を再開させようと思ったのはパーティーのステータスを確認して変わったことが有ったからだ。

まずはレベルが上がっていた。

俺とシアは2ずつ上がったが、エフィーは4も上がっていた。


そして次が驚いたのだが、俺達3人ともが中級のジョブに転職可能になっていた。

俺とエフィーは治癒術師からクレリックかプリーストに、さらにエフィーは魔法使いから魔導師に。

シアは戦士から剣士、そして恐らく獣人族特有のジョブであろう獣狂戦士に転職可能になっていた。


エフィーは今回頑張ってくれたからわかるが、俺については少し意外だった。俺自身も起きた後は自分に回復魔法をかけていたとはいえ同時期に転職可能になるなんてなぁ。


エフィーに聴いてみると、クレリックは回復に特化したもので、プリーストは回復魔法のほかに支援魔法を使うジョブなんだとか。


エフィーと相談した結果、俺はクレリックに、エフィーはプリーストに転職することにした。

シアは剣士と獣狂戦士に転職した。


転職して直ぐにその効果が出た。

エフィーの習得できるスキル欄に『支援魔法素質解放』が追加されていた。

『~素質解放』系だけあって必要なスキルポイントは5ポイントで済んだ。

習得した後エフィーは直ぐに支援魔法の習得に向け練習を始め、その日中に『支援魔法』を習得してしまった。



名前:カイト・タニモト

種族:人族

身分:冒険者 所有者(奴隷:シア エフィー)

性別:男

職業:1.剣士 2.魔導師 3.クレリック

年齢:16歳


Lv.29

HP:109/88(+21)

MP:112/93(+19)

STR(筋力):51(+19)

DEF(防御力):40(+17)

INT(賢さ):51(+19)

AGI(素早さ):46(+17)

LUK(運):1(+5)


『能力値中上昇』、『異世界言語(会話)』、『異世界言語(筆記)』、

『生活魔法』、『剣術』、『ステータス操作』、『全魔法素質解放』、

『無詠唱』、『鑑定』、『偽装』、『レベルアップ時ボーナス』、

『パーティ恩恵(リーダー)』、『パーティ恩恵(メンバー)』、

『火魔法』、『水魔法』、『土魔法』、『風魔法』、『治癒魔法』、

『職業操作』、『隠密』、『経験値解放』、『氷魔法』、『雷魔法』、

『????』、『????』


スキルポイント:44





名前:シア

人種:獣人族(狼)

身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト

職業:1.剣士 2.獣狂戦士

性別:女

年齢:15歳


Lv26

HP:116/97(+19)

MP:55/40(+15)

STR(筋力):70(+22)

DEF(防御力):44(+17)

INT(賢さ):22(+15)

AGI(素早さ):64(+20)

LUK(運):21(+5)


『経験値蓄積』、『ステータス鑑定(自己)』、『剣術』、『身体能力小上昇』、『二刀流』


スキルポイント:28





名前:エフィー

種族:ハーフエルフ族

身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト

性別:女

職業:1.魔導師 2.プリースト

年齢:13歳


Lv.19

HP:60/45(+15) 

MP:117/100(+17)

STR(筋力):30(+16)

DEF(防御力):22(+15)

INT(賢さ):70(+19)

AGI(素早さ):22(+15)

LUK(運):21(+5)


『火魔法』、『風魔法』、『水魔法』、『治癒魔法』、『弓術』、『魔力操作』、

『支援魔法』


スキルポイント:31ポイント



こんなふうになった。


そして恐らく神様あいつの言っていたのが『????』、『????』の2つの謎のスキルだろう。

鑑定したが両方とも、



『????』:スキル。ある条件がそろうと使用可能。



としか出なかった。

まぁ言ってた通り今すぐには無理なんだろう。


2つあるってところが気になるところだ。

両者とも別々に独立したスキルなのか、それとも『パーティ恩恵(リーダー)』、『パーティ恩恵(メンバー)』のように2つあると効果を相互に増強し合うような類なのか。


どちらにしろ今直ぐにどうこうできるものじゃないから保留するしかないだろう。



それはそうと俺達パーティーに進展が見られたことや俺の体調も快復したということもあって、そろそろ活動を再開しようということになったのだ。


それに伴い、俺達はどうすべきかを話し合ったところ、前回のようなことがあるとやはりなかなか対応できないだろうことを踏まえ、色々な種類の依頼を経験していくことにした。

ただ、最初は安全マージンを取りたいということもあって1つランクを落として依頼を受けることにした。


幸いと言っていいのか、最近冒険者を襲っていたあの爺さんを倒したことがエンリさん達の証言により証明されたので、報奨金をたんまりといただき、お金には困らなかった。




そうやって、2週間色んな種類の依頼を受けていく内に少しは慣れたことや、その約2週間後にオークションが開かれることもあり、俺達は引き受ける依頼のランクを上げ、お金を貯めることにした。

日数から考えると前回のオークションは俺達がこの街について直ぐにあったかその前にあったのかと思ったが、前回は開催日がいつもより少し早かったらしい。

だから今回のオークションまではいつもよりも少し期間が長いのだとか。


今のところ戦闘に関しては全く問題は無いので新しく誰かを迎え入れる必要は無いのだが、珍しい人材がいれば買ってみるのも悪くないと思い、エフィーにも「お金を貯めておけば選択する余地が生まれます。買う買わないはその時にでも決めれば良いでしょうがお金がなければその選択すらできません」と言われたのでとりあえず俺達の方針はそれで決まった。



ランクを上げてもそこまで苦労することは無く、俺達は依頼を次々とこなしていった。

討伐系の依頼は避けていたということもあってこの4週間を使ってもレベルは上がらなかったが、その分色んな種類の依頼を経験できたし、大抵の種類はこなした。


お金も今までで一番の額になったのではないだろうか。

ランクを上げる前の支出も含めた収入が1日約8000ピンス×14日≒11万2000ピンス。

ランクを上げてからの収入は1日約1万500ピンス×14日≒14万7000ピンス。

爺さん討伐の報奨金と護衛依頼の成功報酬を合わせて約25万ピンス。

元の残りの手持ちが約14万ピンス。


合計して俺の全財産は65万512ピンスとなった。



これだけあればオークションでも足りないということはないんじゃないかな?


そう思ってオークション前日、毎回どれ位の額が動くものなのか、この街での生活が比較的長いエンリさんやゼノさん達に聴いてみることにした。


俺達は活動を再開した日からはあまり長居してお世話になるのも申し訳ないということで宿を取っていたので、『イフリートの炎爪』の支部に顔を見せに行った。


エンリさん達はもちろん歓迎してくれて、エフィーとゼノさんも喜んでいた。

これがあの日以来初めての訪問と言うわけではないのだが、やはり友達や知り合いに会えるというのは嬉しいのだろう。


話は近況報告や世間話等で盛り上がり、話題はオークションへと移る。


「エンリさん、ゼノさん、すいません、わざわざお時間をとらせてしまいまして」

「いいえ、私達もカイトさん達とお話しできるのはとても嬉しいですからいらしていただいてよかったです。……それで、オークションについて、でしたね?」

「はい。お恥ずかしい話、私は世間の流行りごとや常識等には疎いものでして、オークションについてもそういった制度があるということしか知りません。ですから是非明日に備えてお教えいただけたらと思いまして」


元の世界でもオークションは存在した。だが俺が経験したことがあるのはネットを通じてのもののみ。

よく知られている大きな会場で、それぞれ希望者が手を上げて額をコールしていく、なんて本格的なものはマンガやアニメでしか見たことが無いし、もちろん実際に経験したことなどない。


この街でのオークションも恐らくは俺の経験したことのない本格的なものであろう。

流石に当日になってぶっつけ本番というのは厳しい。

やはり前情報を入手して事前に準備をしておくことが肝要となる。


エフィーにも一応聴いてみたが「本で読んで知識としては知っていますが、実際のものとは違っているかもしれません。私の知識だけでは些か不安が残ります。やはり見知っている人の話を聴いた方が確実でしょう」と言われたのでここはエンリさん達にご教授願うことにする。


「わかりました。カイトさんのためですもの。私達で知っていることでしたら何でもお話いたします!

「ええ、私がカイト様にお勧めしたことでもありますから、責任持って答えさせていただきます!」


そこまで頑張ろうとしなくても……。


「はぁ……。よろしくお願いします」

「はい。……ではまずはオークションについてです。この街のオークションは基本何でも取り扱っています。いつも目玉は優秀な戦闘奴隷やモンスターなんかの奴隷や契約できるものですが。……カイトさん達は明日何をご覧になる予定なんですか?」

「うーん、そうですね、今のところは私達も優秀な奴隷がいないか見るつもりです。モンスターに関しては今は必要ないかと」

「わかりました。オークションの形式については基本奴隷でも武器やアイテムでも分野で異なることはないので奴隷のオークションについて詳しく話していきます。よろしいですか?」

「はい、それでお願いします」

「わかりました。……奴隷のオークションは戦闘用奴隷と観賞用奴隷、家庭用奴隷、それに性奴隷にそれぞれ別れて行われます。出品される奴隷は各分野平均毎月10人~20人程でしょうか。数によっては分野を統合して1つの会場で行われることもあります。明日のオークションは数より質と言うことなんでしょうか、全部で38人の奴隷が出品されます。ですから恐らくは1つの会場で行われることになるでしょう」


ふーん、一分野平均9~10人ってとこか。月平均を聞いたら確かに少ない方か。


「主催者側がより高い質の奴隷だと判断した奴隷はより後に回されます。つまり、大体その月の目玉と思われる奴隷は最後の方に登場することになります。とは言っても質を判断したのは主催者側ですから思わぬ掘り出し物が最初の方や半ばに出てくるということは奴隷に限らずよくあります。ですから最初の方だとそう言った奴隷を目当てにオークションに参加される方もいらっしゃいます」


なるほど、じゃあ最初の方だからって油断しない方がいいな。

なんたって俺には『鑑定』があるから、オークションの最中でもステータスが分かるんだから。


そこでゼノさんが説明を引き継いだ。


「奴隷は戦闘用奴隷を除いて概して女性の方が高くなっています。大体観賞用ですと、男性が10万~40万ピンス、女性が20万~60万ピンス。家庭用は男性が5万~20万ピンス、女性は15万ピンス~40万ピンス。

性奴隷ですと男性は30万~60万ピンス、女性は50万~100万ピンス。これらに対して戦闘用奴隷ですと男性が30万~80万、女性が20万~45万ピンス。これが毎月の大体の相場と言ったところです。もちろん中にはもっと高値がついたり全然値が上がらず1万ピンスで売れてしまった奴隷もいます」


へー、これもなかなか参考になるなぁ。

恐らく買うとしたら戦闘用になるだろうからまぁお金は足りそうかな。


そういえば前にシアにも聴いたことが有る「次に仲間にするとしたらどんな奴がいいか?」っていうのをエフィーにも聴いてみたら「私はシアさんの意見に賛成で、女性がいいです。それ以外は基本私には希望はないです。と言うよりハーフエルフである私がいるパーティーでもいいと思ってくれる奴隷を探す方が困難だと思います。ですからどっちかと言うと私の希望を叶えようとするよりもそちらの方が大変だと思いますので気にしないでください」と言われた。


シアの意見に賛成ということはエフィーも男性があまり好きではないのか?


まぁ二人の意見が重なっててくれるなら俺もやりやすい。



だから今回性奴隷に手を出さないならば金は足りるだろうという予測だ。

大丈夫、手は出さん!……多分。


それにそもそも補充する必要は今のところないのだから買うことを前提に考えなくてもいいのだ。

見てから珍しい能力を持っている人材がいれば買えばいいし、いないなら別にそれはそれでいい。


まあ今回はどんなものかを知れればそれでいいんじゃないか?

月一なんだし、次を待てない期間でもない。



「オークションが始まりましたらまず主催者側が提示する最低落札価格が告げられます。買い手である参加者は欲しければその価格に自分の許容範囲額まではどんどん上乗せしていく形になります。基本は1万ピンス毎に吊り上げていきますが、終盤ではほとんどが2人にまで候補者が絞られますので、その際は相手を落とすために桁は関係なく自分の任意の額をコールするのが普通です」

「なるほど、大体はわかりました。落札後はどうなるんですか?」

「落札後は落札価格のお金を支払い奴隷を引き取って、会場にいる奴隷商人と契約の手続きを行い、それで完了となります。……以上でオークションについての説明は大方終わりです。何かご質問はございますか?」

「……いえ、おかげでほとんどはわかりました。ありがとうございます。明日は恥をかかずに済みそうです」

「そうですか、カイトさんのお役に立てて良かったです。今後も何かありましたら是非私を頼って下さい!」

「私もカイト様のためにできることでしたら何でもしたいです!」


似たようなことを前にライルさんにも言われたことが有ったっけ……


「ははは、そう言っていただけるとありがたいです。その際は是非頼らせていただきます」

「「はい!」」


二人とも嬉しそうだ。




それでその日はおひらきとなり、俺達は宿へと戻った。


次の日に備え、俺達は宿に戻ると最低限のことだけ済ませ、早々に眠ることにした。






奴隷をテーマに描くうえで必ず一度は『オークション』を取り扱ってみたいと思っていました!

やっと描けそうでほっとしています。

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