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エフィーはちゃんと魔法を習得できるだろうか?

次の日からエフィーの魔法の練習を始めた。


だが最初に、俺は自分が魔法を習得する際MPの容量が少なくて苦労したことを思い出す。レベルを上げてからの方がよかったのでは?と思っていたことだ。


エフィー MP:55/38(+17)


レベル1でこのMP量は断然多い方だろうが、魔法の練習をするならやはりMPは多い方が効率がいいはず。

今俺たちはパーティーを組んでいるんだからエフィーを戦闘に参加させずにレベルを上げることも可能である。

MPポーションもあるにはあるが下級の物でもタダじゃない。

やはり色々な効率を考えるとMPの総量を何とかした方がよいだろう。


俺たちはまず午前はエフィーのレベルを上げてMPの総量を上げることにした。




約4時間かけて40体を倒し、エフィーのレベルは7まで上がった。

ステータスについては『ステータス操作』を使うかどうか相談したが、エフィーに「何を上げるかを選択できるということはとても価値あることです。確率に委ねるということは選択できる権利を放棄することになります。ですから、ぜひ私は『ステータス操作』を使っていただきたいです」と言われた。俺の好きなキャラクターも似たようなこと言ってたなぁ。


ポイントはエフィーのMPを上げることにほとんどを費やし、残りをINTを上げるのに使った。



名前:エフィー

種族:ハーフエルフ族

身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト

性別:女

職業:1.魔法使い 2.治癒術師

年齢:13歳



Lv.7

HP:42/27(+15)

MP:115/98(+17)

STR(筋力):19(+15)

DEF(防御力):16(+15)

INT(賢さ):45(+18)

AGI(素早さ):18(+15)

LUK(運):21(+5)



ステータスはこうなった。

最初の倍以上ある。これで魔法の練習も効率よく行えるだろう。



午後からはエフィーは魔法を使えるようになる練習を始めた。

エフィーは魔法について粗方知識を有しており、後はただ練習して魔法を使えるようにするだけの段階に至っていた。俺はエフィーに魔法を扱うためにはイメージすることが最も重要だということだけは教えて後は「行き詰ったら俺に聞け」と言っておいた。


イメージが重要だということは共通しているが、魔法について俺には俺のイメージがあるし、エフィーにはエフィーのイメージがある。それを俺のイメージを押し付けて無理にエフィーの考えを変えてしまうのは逆にイメージが定まらなくなったりするためどんな弊害があるか予測がつかない。


だったら、エフィーのイメージでやらせて壁にぶつかった時にアドバイスとして俺のイメージをちょこっと言ってやるくらいの方がまだリスクが少ないと思う。


まあ俺のイメージって元の世界の科学とかマンガ等から得てる部分が多くを占めている。

だからいくらエフィーでも助言して分かってくれるかは怪しい。

エフィーが自分の力だけでなんとか魔法を操れるようになるってのが一番いいんだがな。



エフィーは今体内に大気のエネルギーを取り込んで魔力に還元する作業を行っている。

この工程は今まで魔法が使えなくても行っていたようなので復習といったところか。

俺も早朝の訓練時にはやるようにしているが、エフィーがこれまでずっと続けていたということが見てわかるほど精練されている。


その間シアには剣で俺に稽古をつけてもらっている。

シアの2つ目の職業は格闘家にしている。格闘家だと若干STRとAGIが上がるようだ。

つまりはシアにピッタリの職業ということだ。


シアの二刀流は縦横無尽にどこからでも襲い掛かってくるし、シア自身のSTRも高い。

これをいなすとなると生半可な技術や能力じゃ不可能と言っていい。

俺も魔法無しでは2分持たせるのがやっとだ。

それでもシアは俺に少し遠慮気味なのだ。

それだけシアは強いということになる。



エフィーを見てみる。

エフィーは既に体内の魔力を放出する工程に入っている。

魔力自体は外界に出ているが、たまに属性を帯びておらず、ただ魔力を放っているだけになっている。

俺はイメージが明確だったし『無詠唱』のスキルもあったから必要なかったが、エフィーは放つ際毎回詠唱を行っている。


エフィーは中級の魔術の詠唱文言は覚えている、と言っていたのでそこに関してのミスは無いはず。

とすると、後はもっとイメージを明確に持って練習あるのみ、と言ったところか。



その後、約2時間ほどして何か掴んだのか、放出する魔力に火属性が帯びることが多くなり、その1時間後位にはエフィーは火魔法を習得することに成功した。


エフィーはとても喜んでいたし、シアも俺も稽古を中断して一緒になって喜んだ。

まさか1日目で1属性使えるようになるなんて。この世界では恐らく異常な上達スピードだろう。

エフィーはもしかしたらすごい才能を持っているのかもしれない。



その日はそれで終了し、次の日に備えることにする。




エフィーはコツをつかんだかのようにどんどん魔法の扱いがうまくなっていった。

俺のアドバイスなど必要とせず、次の日には風魔法と水魔法を習得してしまった。

この分だとすぐにでも戦闘に参加させることができるようになるな。


戦闘となるとエフィーは後衛で魔法を使うことになるが、2つ目の職業はどうしようか。

エフィーには攻撃にだけ集中してもらうなら弓使いをさせたほうがいいだろう。

魔法だけに特化させるなら治癒魔法を覚えさせる必要があるから治癒術師にさせなければならない。


俺の考えではパーティーには回復技を使える人材は2人欲しい。

俺が何か状態異常をくらって魔法を使えない際にもう一人回復技を使えるやつがいればそれだけでかなり楽になる。それに俺一人では回復が追い付かないときにももう一人回復役がいれば助かる。

俺の本心としては治癒術師になって欲しい。だがこればっかりはエフィーの意見も聴いてみないと。


「エフィー、ちょっといいか?」

「はい、なんでしょうか?」

「エフィーは2つ目の職業は何がいい?」

「そうですね、私としましては魔法に特化して後方からお二人をサポートしたいので治癒術師の方がいいかと」

「弓使いはいいのか?折角『弓術』もあるのに」

「確かにそうですが、そもそも『弓術』は治癒術師の際使えないのでしょうか?」

「どういうことだ?」

「私は生まれたときから弓使いでしたが、最初はこのスキルは持っていなかったと思います。ご主人様に買っていただいた際私はレベルが上がっておりませんでしたのでこのスキルはレベルが上がって得たものでもありません。ですからこれは職業間で転用できるのではないでしょうか?」

「なるほど……、それは考えていなかったな。だが使えるとしてもそれだと魔法を使う際杖を持てないぞ?杖が無いと魔法を使うのは厳しいのだろう?」

この世界では単にSTRやINTを上げるためだけではなくイメージの希薄さを補うためにも杖が使われるのだ。

エフィーは杖を使って今まで練習していたので杖なしだとちゃんと魔法を使えるかわからん。


「……そうですね。どうすればいいでしょうか?」

「うーん、とりあえず『弓術』が治癒術師でも使えるのかどうか試してみないとな。話はそれからだ」

「わかりました、ですがどうやって確かめましょうか?」

「弓矢を使って弓使いの職業についているときとついていないときで差を見てみればいい。どちらでも実力が変わらないんなら『弓術』が転用可能ということだし、弓使いの時の方が腕がいいということなら『弓術』は弓使いの時じゃないと使えないスキルと言うことになる」

「なるほど、わかりました。さっそく準備いたします」


その後、ギルドの訓練場を借りて、50メートル程離れたところから的に向けて10本ずつ放ってもらった。

その結果、弓使いを付けている状態で9本命中、付けていない状態で8本命中した。

1本くらいなら誤差だろうと思ったが念のためもう一度同じことをしてもらったが、2回目は両方とも9本ずつ命中した。

これではっきりした。その職業に深く関わっているスキルでもポイントを使わず努力で取得したスキルなら転用は可能だ。

ここでふと思ったがなら別にエフィーは転職せずとも魔法の練習をすれば弓使いのままでも魔法のスキルを転用できたのではないのか。

あ、そうか、そもそも『~解放』系のスキル自体が魔法に関係するスキルだから魔法使いじゃないと練習すらできないのか。


ふぅ、まぁこれでエフィーが『弓術』を治癒術師でも使えることが分かった。

後は杖をどうするかだな。


「エフィー、どうする?杖が無くても魔法が使えるように練習するか?エフィーの魔法習得にかかる時間が思っていた以上にかなり短かったから練習する時間ならまだたっぷりあるぞ?」

「……私は、練習して杖なしでも魔法が使えるようになりたいです!」

「そうか、だったら練習あるのみだな!まぁその前に治癒魔法を覚えてからの方が効率良いんじゃないか?」

「そうですね。では先に治癒魔法を習得いたします。……ご主人様、シアさん、お時間を取らせてしまい申し訳ありません。すぐにできるようになりますのでもうしばらく我慢してお付き合いいただけますか?」

「エフィー、ご主人様に気を使うのはわかりますが、私にまで気を使う必要はないのですよ?私たちは同じご主人様の奴隷です。一緒にご主人様のお役にたつためにも協力し合うのは当然のことです!」

「シアさん……、ありがとうございます!」


シアとエフィーの仲は俺が心配するまでもなく良好と言える。

良かった良かった。


「エフィー、気にする必要はない。下手に焦ると逆に集中できずに失敗が増えてしまうかもしれん。だからエフィーのペースで練習すればいい。時間はあるのだしな。」

「ご主人様……。はい、ありがとうございます、私、頑張ります!」


その後、エフィーは治癒魔法の習得に励んだ。

想像とは異なり、エフィーは治癒魔法の習得にかなりの苦労を強いられた。

途中、行き詰ったエフィーは俺に助言を求めてきた。


俺はまず、エフィーがどういうイメージで治癒魔法を使おうとしているかを聴き、それから俺のイメージと共通する部分のみを抽出し、考えられるエフィーがぶつかっているであろう壁をそれとなく指摘してやった。


エフィーは俺の漠然としたアドバイスから何かつかんだらしくまた練習を始めた。

それから約2時間後、エフィーは治癒魔法をなんとか取得することができたようだ。





エフィーが治癒魔法を習得してから8日後、エフィーは杖なしで魔法を使えるようになった。





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