二人目の仲間か、どうしようか。 3
訂正があります。
いままでのステータス表記でのDFEを→DEFに、LUXを→LUKに訂正します。
また、「~。」の「。」は不要だ、「~・・・」は「~……」とすべきとのご意見を少なくない方からいただきましたので、これらの点を今後より改めさせていただきます。
今後もミスすることは多々あると思います。その際は揮ってご意見ご指摘していただきたく思います。
パヴロ曰くスキルとジョブには以下の関係があるという。
スキルはそのジョブについている間に得たものしか普通使用することはできない。
つまり、戦士の間に取得した『剣術』を魔法使いに転職後使用することはできない。
戦士で得たスキルは戦士のジョブについている時にしか使えないということだ。
ただ上級のジョブ、つまり剣豪を例にすると、剣豪のジョブについていると、
剣豪の下級にあたる剣士や戦士のスキルは使える。
話には出てこないが、この話を聴いて推測するに、
恐らくそのジョブ特有のスキルなんかが職業間での転用は無理になってくるんだろう。
だからポイントとか関係なくその人の努力や修行によって得たスキルや、ポイントでとっても『鑑定』みたいな中性的性質といえば良いのか、他のジョブとはあまり関連しいようなスキルは他の職業間でも転用可能となる。『剣術』もポイントで取ったら転用は無理、鍛練等の成果での取得なら転用は可能、
というのが今のところの俺の推測だ。
8人目の子を例にすると、魔法は魔法使いに密接に関連するものだから魔法使いのジョブにつかないと魔法に関連するスキルは使えない。
そして彼女はハーフエルフで、ハーフエルフはギルドで転職することはできない。
つまり、彼女は魔法が使えない、ということになる。
ここからはまた聴いた話になるが、
そのように職業間でのスキルの転用ができないために転職はリスクとなり得る。
そこで利用されるのが『ダブルジョブ』らしい。
複数のジョブのスキルが使いたい人はまずは『ダブルジョブ』の取得を目指すとか。
『ダブルジョブ』は取り方がある程度は確立していて、ギルド長や王国の騎士団長等一定の地位につけば自動で取得できるらしい。
大抵厳しいはずだがその中でも比較的なるのが容易なギルド長は今人気なんだと。
スキルとジョブにそんな関係があったなんて……。
今まで全く気付かなかったのは偏に『トリプルジョブ』があったからだな。
そうすると俺の『トリプルジョブ』はものすごい価値のあるスキルってことになるな。
それに『パーティ恩恵(リーダー)』もかなりのレアスキルだ。
だって、俺がそのジョブについていなくても他の人のジョブのスキルを使えるってことになる。
つまりはこのスキルとジョブとの関係の抜け道だ。
そう思うとこれ取っていてよかったってことだな。
「なるほど、私の知らないことばかりで目から鱗が落ちる思いです。
ありがとうございます」
「いえいえ、それで、どうしましょう。やはりハーフエルフですしあまりお勧めはできません。こちらの奴隷でしたら魔法を使えますし即戦力としても使えると思います」
うーん、どうしようか。
今のところハーフエルフだという点は俺にとってはマイナス評価とはなっていない。
だが魔法が使えないというのはどうだろう。
確かにパヴロの説明通りなら彼女が魔法を使うことは絶望的だ。
だが何事にも俺の持つスキルのように抜け道というものはある。
だからということではないが、魔法を今使える可能性が無いからと言って、
彼女をあきらめる理由にはならない。
……こんな思考をしている以上何かしら彼女に興味があるのは事実だ。
だがまだ決めてが無い。どうするか。
そうして悩んでいる俺にシアが話しかけてくる。
「ご主人様、彼女達と少し話されてはいかがでしょう?」
「話か?うーん、そうだな、そうしてみるか」
何か妙案があるわけでもないのでシアの助言に従ってみることにする。
俺はパヴロに向き直る。
「すいません、彼女達と個別的に話させていただくことはできますか?」
「ええ、可能です。では他の奴隷は戻しておいても構いませんか?」
「はい、お願いします」
俺たちは元の場所に戻って、今は9番目の娘と向かい合っている。
推している娘を先に面接させその場で決めさせようというパヴロの魂胆か。
「わざわざ申し訳ありません。私はカイトと申します。冒険者をしています」
「私はシーナと言います。エルフで魔法使いです」
「私は今あなたと彼女のどちらを買うか迷っています。ですから幾つか質問させていただいて、その解答を参考に判断したいと思います。よろしいですか?」
「はい」
はきはきとした印象を受ける。
「では、まず私は冒険者です。
ですから私の奴隷になったら戦闘に参加していただくことになります。
それでも大丈夫ですか?」
「その、私、あんまり争い事は好きじゃなくて、
ですからあんまり力になれるかどうか分かりません。それでもよろしければ」
「わかりました。では次に、こちらは私の奴隷のシアです。
私と仲良くなる必要はありませんが彼女とはできれば仲良くしてほしい。
できそうですか?思ったことを言っていただいて大丈夫ですよ?」
「そうですね、特に問題ないかと」
「わかりました。では最後に、これは答えたくなければ答えなくて結構です。
あなたが奴隷になった経緯を教えていただけますか?」
「……すいません、お話し、できません」
「いえ、大丈夫です。私こそ辛いことを思い出させてしまったようです。
申し訳ありません。あなたから何か質問はありますか?」
「……いえ、特にないです」
「わかりました。以上です」
経緯を聴いたのが辛かったのか、さっきまでのはきはきとした印象は消えている。
彼女が出ていくのと入れ替えに8番目の子が入ってくる。
俺は8番目の子との話に移る。
「私はカイトと申します。冒険者をしています」
「……エフィー、です」
「幾つか質問させていただきます。その解答を参考にさせていただいて決めたいと思っています。よろしいですか?」
「……はい」
寡黙な子なのかな。
「ではまず、私は冒険者ですから私の奴隷になったら戦闘に参加していただくことになります。それでもよろしいですか?」
「……はい」
「では次に、こちらにいるのは私の奴隷のシアです。私と仲良くなる必要はありませんが
彼女とはできれば仲良くやってほしい。できますか?
思ったことを言って下されば結構ですよ」
「……大丈夫、です」
「それでは最後に、これは答えたくなければ答えなくても構いません。
あなたが奴隷になった経緯を教えていただけますか?」
「…………」
沈黙、か。答えたくないのか。
締めくくるかどうか考えていると突然ノックの音がし、パヴロが部屋に入ってきて俺達を呼ぶ。
どうしたのだろう。
俺達は彼に従い、部屋を出る。
廊下に出ると、パヴロは彼女の過去について語りだした。
なんであんたが、って思ったがとりあえず聴くことに集中する。
「あの子はですね、自分から奴隷になったんです」
自分から?どういうことだ?
家が貧しかったから、とか?
「詳しく教えていただけますか?」
「……ご存じの通り、あの子はハーフエルフです。
エルフと人族の婚姻はそれほど少ないというものではありません。
ですがこの国では、ハーフエルフは好まれていません。
そして法律上、ハーフエルフが生まれたら国に届け出なければなりません。
あの子の両親はそれを怠りました。あの子が10歳の時、そのことが役人に知られて、
10年間もの間黙っていたということで多大な罰金を科せられました。
経済的に困窮していたというわけではありませんでしたが、
罰金は10年の隠匿分ですから払えるような額ではなく、
このままでは両親共に極刑を免れなかった。
そこであの子は自分で両親との縁を切ったのです。
そして自分はもともと国が管理していた奴隷であると偽ったのです。
10歳でそれをやったのですからとても賢い子ではあるのです……。
国はそれを見逃そうとしませんでしたが、
あの子の両親の同族の者たちがそれぞれを匿い、あの子の主張を援護したのです。
役人も罰金自体が欲しかったわけではなくただハーフエルフを管理したいという法律本来の趣旨から、あの子を連れて行くということだけでことを収めました。戻ってあの子が正式に登録されている奴隷ではないとわかった役人は改めてあの子を奴隷としたのです」
そんなことが……。
奴隷になる子ってシアもそうだけどなんか壮絶な過去を持ってる人が多いよな。
まぁ嬉々として奴隷になるって人がいたらそれはそれである方面からは需要があるかもしれんが。
それにしてもなんでパヴロはこんなこと知ってんだ?
「すいません、おかしなことを聴くようですが、どうしてパヴロさんがそのことを?」
俺が尋ねるとパヴロはああ、と言って説明し始める。
「すいません、おかしなことですよね、説明しますと、私がその役人からあの子を受け取ったのです。
その時にあの子の経緯について説明を受けました。役人も事情は察していてあえてあの子の主張を容れたような感じでした。あの子と話すのでしたら最初にこのことをお話しておくべきでしたな。失礼しました」
「なるほど、わかりました。もう一度だけあの子と話させていただいても良いですか?
内心ほぼ彼女で決まりなんですが」
「それは構いませんが、よろしいのですか、あの子はハーフエルフですよ?」
「私自身そのことはあまり問題としていません。まぁどうなるかは彼女次第ですが」
「・・・・わかりました。では私は外でお待ちしています。
終わりましたら呼んでいただければ」
「わかりました」
そう言ってパヴロは去っていく。
「ご主人様、あの子に決められたのですか?」
「ほぼね、まあ彼女次第だけどね。シアは大丈夫そう?」
「はい、あの子とでしたらうまくやっていけると思います。
あの子をお選びになる決めてをお聴きしてもよろしいですか?」
うーん、別に同情したということではないんだけど決め手となると
説明が難しい。
まず9番目の娘戦闘に向いていないという自己申告があった。
次に奴隷となった過去を知れたかどうか。
これはただその過去を知って同情したとかじゃなくて、その人の背景を知り、安心できるかどうかだ。
前に考えたことがあったが、人は知らないことに恐怖を抱く傾向がある。
逆にどういうものか知っていれば怖くない。
今回のことでも同じようなことが言える。
どういう経緯でそうなったかが分かっていれば色んなことに準備ができる。
逆に背景が分からなければ何に対処すればいいかわからない。
この点において8番目の子の方に優位性がある。
最後は直感かな。魔法についても何とかなるんじゃないかという根拠のない自信が何となくある。
だから後は彼女次第ということになるんだけど。
「決め手はあの子の過去を聴いたことかな。申し訳ないけどその話を聴いて賢そうだと思ったから。
知識のある人はパーティーに一人は欲しいからね」
「なるほど、確かに私も話を聴いたときそのような感想を持ちました。
でも聡明であるといったらご主人様もそうですよね」
「うーん、そう言ってもらえるのはうれしいが、俺は自分が賢いと思ったことはないしな。
それにこの世界の常識ごとには疎い。だから博識な人を仲間に入れたいというのは変わらんかな」
「そうですね、賢い人は多い方がいいと思います。私も賛成です」
「ありがとう。よし、じゃあ彼女と話すとするか」
「はい」
俺たちは再び部屋に戻っていった。
何か、ヒロインが増えるたびに設定が増えているように感じます。
この設定が色々と矛盾を生み出していないかとても不安です。
何か発見された場合は是非ご指摘していただければ幸いです。




