さて、依頼でもこなしていきますか。
シア復活です。
ヒロイン目当ての方はお待たせしました。
俺たちはとりあえずDランクの依頼を受けていくことにした。
どっちにしても俺のランクがDランクな以上それ以上のランクの依頼は受けれない。
なら実力的に相応なランクとは、といったらDランクだっただけだ。
別にすぐにCランクに上がる必要があるわけでもないからゆっくりやってけばいいだろう。
とりあえず手ごろな依頼が無いか掲示板を見ていく。
「シア、何か良さそうな依頼があったら言ってくれ。」
「はい、どのような依頼になさいますか?」
「ふむ、まぁ討伐系がいいんじゃないか?俺とシアなら大抵の
モンスターには後れを取ることはないし。」
「そうですね、わかりました。私も探してみます。」
そうして2人して依頼を探すこと約5分、
俺は簡単そうな討伐系の依頼を2つ見つけてはがし、シアの下に向かう。
シアも1つ見つけたようでそれを取って俺のところに駆けてくる。
そんな仕草をみるとなんだか犬っぽいな、とも思わないでもないが
シアは一応狼人なんだよなぁ。
「ご主人様、1つ見つかりました!」
「そうか、俺も手ごろな感じのを2つ取ってきた。
とりあえず見てみようか。」
「はい。」
俺たちはとってきた依頼書を見てみることにする。
『トルポス討伐:トルポスの甲羅×7』
『ゴブリン討伐:ゴブリンを討伐したと証明できる部位×10』
『グレスボア討伐:グレスボアの牙×10』
というものだった。
トルポスは亀が巨大化して甲羅が岩のようになっているものだと俺は認識している。
比較的穏やかな性格で森近辺に生息している。
グレスボアはイノシシのモンスター版。
一匹につき2本牙が取れるから5体倒せということになる。
ふむ、どれも大丈夫そうだな。
シアの持ってきたものも別に問題は無さそうだし。
「どうだ、シア。俺は大丈夫だと思うが
何か意見があったら聞かせてくれ。
遠慮しなくていいぞ。」
「はい、私も大丈夫だと思います。
これくらいでしたら早ければ昼までにでも終わるかと。」
強気な発言だな、シアにも自信がついてきたということか。
いい傾向だ。
「わかった。じゃあこの3つを受けてみようか。」
「はい。」
俺は受付に依頼書を持っていく。
この町のギルドは初めての利用だったので少し手続きが必要だったが、
依頼書については滞りなく受理された。
「じゃあ行こうか。」
「はい。」
討伐対象のモンスター等がいる森に着いたのは町を出て30分程歩いてからだった。
ここはリンカの町付近にあった森とは違って、モンスターが多く生息している。
そのため、すぐに戦闘に入っても良いように準備をしてから森に足を踏み入れた。
森に入って5分ほどするとトルポス2匹とグレスボア1匹と遭遇した。
これいつもゲームやってたら思うんだけどさ、
別のモンスターと一緒に出てきてケンカとかしないのかね?
今目の前にいるコイツ等もただ俺達だけを標的にしている。
俺達と遭遇するまでに争っていたという形跡も見られない。
ほんと何なんだろうね?
「シア、いつも通りいくぞ!」
「はい、ご主人様!」
基本俺達より多い数と相対したらシアが1匹受け持って、
俺が他を抑えている間に倒していくという方針を取っている。
というのも魔法が使える俺の方が複数相手でも立ち回れるし、
シアは1対1だと無類の強さを誇るからだ。
つまりは俺がシアのために場を整えてやれば勝手に1匹ずつ確実に始末してくれるのだ。
後は数が同じになったら1匹ずつ受け持つ。
相手が1匹になったら相手の特徴に応じて俺が近接戦闘に参加したり
下がって魔法を使ったりする。
今回は相手の方が数で上回ってるので俺がトルポス2匹を抑えとくことになる。
俺は剣を抜きシアとトルポスとの間に入り通せん坊する形で構える。
トルポス2匹は俺を見て突進してくる。
1匹の目前に俺は土の壁を作って妨害しもう1匹を剣で受け止める。
ぐぅ、結構重い。
手がしびれそうになる。
俺は力を籠めて押し返す。
ドーンッ
今の間に、土の壁が破壊されたようだ。
次はどうするか。
そうだ、今日覚えたての魔法を実験してみるか。
実戦ではまだ使えないかもと思っていたが今どれくらいのレベルの魔法なのかを
確かめるのは必要なことだ。
俺は土の壁を崩し終えたトルポスに氷魔法を展開する。
「くらえっ、アイスショット!」
俺の手からボールサイズの氷の弾丸が発射される。
「ギャゥ」
氷の弾丸はトルポスの顔面に命中した。
あんまり効いてるのかわからんな。
でも一応のけ反ってはいる。
威力についてはまだまだ精進あるのみってとこか。
それが分かっただけでも収穫だな。
とりあえず今は戦闘に集中するか。
俺はもう1匹に向き直り、もう一度突進してきたところを剣で受け止める。
がっ、くそっ、重い。
俺もそこそこ体重はあんのにコイツに押されそうになる。
やっぱ重い奴が突っ込んでくると威力がすごいな。
俺は足に力を入れて踏ん張る。
押し返そうとすると奴も一回目で学んだのか返されないように足でグイグイ押し込んでくる。
くそっ、力押しか!
もう1匹も魔法の直撃から立ち直って突進しようとしてくる。
そこへ、横からシアが大きな一撃を入れた。
ふぅ、どうやらグレスボアを倒したようだ。
「シア、そっちの奴は任せた!」
「はい、かしこまりました!」
俺は剣に力を入れたまま、風魔法を発動する。
「ウィンドバースト!」
圧縮した空気の塊をトルポスにかましてやる。
魔法を真正面から受け、トルポスは後ろにのけ反る。
俺はすかさず奴目がけて走り込み、足に剣を突き刺す。
「グギャー」
俺はその傷口から炎を直接やつの体内に流し込んでやった。
「ブギャー」
トルポスは奇声をあげ、その場に倒れた。
シアの方を見るとシアもどうやらちょうど倒したらしい。
こっちに駆けてくる。
「お疲れ、シア。助かったよ。」
「いえ、ご主人様のお役に立てて何よりです。」
「そうか、ありがとな。剥ぎ取りしてくるから少し休んでてくれ。」
「いえ、お手伝いします。」
「まぁそう言うな。休むのも重要だぞ。
この後も戦闘するんだしな。その時に頑張ってくれればいいから。」
「・・・・はい、わかりました。
戦闘の際はお任せください!」
「おう。頼りにしてるぞ!」
そう言ってやるとシアはうれしそうにニコニコする。
シアは頼りにされるのがうれしいらしい。
俺は剥ぎ取りを終え、シアと状態を確認する。
「シア、体調は大丈夫か?何かおかしなところがあったら言えよ?」
「はい、今のところは大丈夫です。ダメージも受けませんでしたし。」
おおぅ、すごいな!
俺は鍔迫り合いみたいになって若干削られたが、
シアはダメージすらないと。
ほんとに頼りになるな。
「よし、じゃあ討伐を続けるぞ。」
「はい。」
そうして、約1時間後にはグレスボアを8体、
トルポスを10体倒した。
1時間でこの数はすごいのだろうか?
よくわからんが休憩なく戦っていたようには感じたなぁ。
まぁシアは全然疲れた様子はないが。
俺はレベルが1上がったのでHPとINTに振っておく。
シアも経験値解放を使うと1上がった。
シアは方針通りに上げておいた。
だがゴブリンとまだ遭遇できていない。
その後20分程捜索してようやく見つけたと思うと、
ゴブリンがかなりの数で行動していた。
30匹くらいだろうか。
「ご主人様、どうしましょう?」
「できれば狩りたいところではある。
でもあんまし無茶すんのも気が引ける。
魔法で奇襲でもかけるか?」
「そうですね。ご主人様の魔法でしたら気づかれることも
少ないですし。あの数でしたら行けると思います。」
やっぱり強気だな。
よし、ならやってみるか。
「良し分かった。じゃあ行くぞ、準備はいいか?」
「はい、いつでも。」
俺はシアの意思を確認してからゴブリン達目がけて水の槍を8本放出する(今の作成限界)。
アクアランス!!
水の槍は勢いよく飛び出し、ゴブリン達を襲う。
何も警戒していないゴブリン達に突如として襲い掛かった槍は全てゴブリン達の体を穿ち、
くらったものは苦しむ間もなく絶命する。
ゴブリン達は何が起こったか理解できないまま慌てふためく。
俺たちはそこへ強襲し、次々と切りかかっていく。
今回は数が数だから戦術はとりあえず切って切って切りまくる。
ようやくゴブリン達も敵襲にあったことを理解し、態勢を立て直す。
何匹かのゴブリンが一斉に襲い掛かってくる。
俺はそれを火の壁で防ぐ。
ゴブリン達はもろに火の壁に突っ込んで火傷を負う。
俺はその隙にバッサバッサと切っていく。
すると、奥の方で何やら魔法陣が輝いているのが見えた。
方向的にシアを狙っている。
しまった、魔法を使えるやつがいたのか!
4匹くらいだろうか。
俺が今から倒しに行っても間に合う距離ではなかった。
くそっ。
「シア、気をつけろ、魔法が来るぞ!」
「はい、わかりました!」
シアも俺の声で気づいたようで魔法に備えて構える。
1発目が放たれた。
俺のよりかは小規模だが恐らくファイアボールだ。
シアは自分の剣から吸収してある魔法を解放し、
他のゴブリンに放つ。
その空になった剣でその魔法を吸収する。
うまいな!
シアは次々と魔法を吸収しては他のゴブリンに放つ、を繰り返していく。
俺はその間にどんどん数を減らし、
4発目が放ち終わったところに切りかかる。
「どぅおりゃ!」
「ビギャー」
次!
「うるぁ!」
「グショワ」
おらおら!
「ふんっ!」
「プワッ」
最後!
「てりゃぁー!」
「ブワッ」
よし、魔法を使えるやつは片づけた。
後は数える位しか残ってない。
残りをシアと片づけていく。
「はぁっ!」
シアの一撃で最後の1匹を倒し終えた。
「ふぅ、大丈夫か、シア?」
「はい、なんとか。」
「それにしてもすごかったぞ、シアはやっぱり頼りになるなぁ。」
「そ、そんなことありません。ご主人様がいらっしゃるから頑張れるんです。」
と顔を赤らめ若干モジモジしながらそんなことを言われる。
返答に困るな。
「そ、そうか。まぁとりあえずお疲れ様。シア。」
「はい。ご主人様もお疲れ様です。」
とお互いに労いあう。
その後、剥ぎ取っていくと、どうやら数は43匹だったようだ。
結構な数だったんだな。
またレベルも1ずつ上がった。
この数で1か。
まぁそれだけ俺達が強くなったんだろう。
能力値はこうなった。
名前:カイト・タニモト
種族:人族
身分:冒険者 所有者(奴隷:シア)
性別:男
職業:1.剣士 2.魔導師 3.治癒術師
年齢:16歳
Lv.23
HP:67/81(+21)
MP:36/83(+18)
STR(筋力):44(+19)
DEF(防御力):34(+17)
INT(賢さ):43(+18)
AGI(素早さ):36(+17)
LUK(運):1(+5)
名前:シア
人種:獣人族(狼)
身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト
職業:戦士
性別:女
年齢:15歳
Lv20
HP:68/82(+18)
MP:22/37(+15)
STR(筋力):61(+22)
DEF(防御力):37(+16)
INT(賢さ):20(+15)
AGI(素早さ):58(+20)
LUK(運):21(+5)
「それにしても、相手が魔法を使ったときは焦ったな。」
「はい、ですがこの剣のおかげで対処できました。」
「そうだな、でも今後シア一人に魔法を処理させるわけにもいかんしなぁ。
優秀な後衛がいたら戦闘中魔法を気にせず攻めれるんだが。」
「そうですね、次に仲間を増やすとしたら後衛を補充されるのですね。」
「まぁそうなるな。この世界で後衛と言ったらどういうタイプがいるんだ?」
「えーっと、まず弓使いですかね。それから魔法使いですね。
魔法使いは攻撃魔法を使う者と回復魔法を使う者に分かれます。
その点で言うと両方を扱えるご主人様はとてもすごいです!」
「そ、そうか、ありがとう。でもやっぱり珍しいのか?」
「はい、魔法を使える者ですらかなり限られていますから。
基本的に魔法は魔族とエルフ以外は素養がないので使えません。
人族で魔法を使えるというのはですからそれほど多くはないのです。
その中でも回復魔法と攻撃魔法を使える者と言ったら滅多にいないでしょう。」
「なるほどな。まぁとりあえずは魔法が使える方が俺としてはありがたいかな。
魔法の方が応用が利くしな。」
「そうですね。では今度の仲間は魔法を使える者ということになりますね。」
「まぁ決定ではないけどな。魔法使いであればだれでもいいってわけじゃないからな。」
「私はご主人様がお選びになった人でしたらどんな人でもかまいません。」
「わかった、まぁお金が貯まってからの話だけどな。」
「はい。」
俺たちはギルドに戻って依頼の完了報告をして討伐部位を渡し、
報酬を受け取った。
今の手持ちは今回の報酬7200ピンスを合わせ、
8万5837ピンスとなった。




