「じゃあシア、始めるぞ!」 「はい、お願いします、ご主人様!」
いろいろごちゃごちゃしてなんかケアレスミスたくさんしてそうで
とても不安です。
俺はシアの悩みを解決するために動き出す。
俺は今25ポイントのスキルポイントがある。
俺は5ポイント消費して『経験値解放』を取得する。
念のため鑑定で自分のスキル欄を確認してみる。
『能力値中上昇』、『異世界言語(会話)』、『異世界言語(筆記)』、
『生活魔法』、『剣術』、『ステータス操作』、『全魔法素質解放』、
『無詠唱』、『鑑定』、『偽装』、『レベルアップ時ボーナス』、
『パーティ恩恵(リーダー)』、『パーティ恩恵(メンバー)』、
『火魔法』、『水魔法』、『土魔法』、『風魔法』、『治癒魔法』、
『職業操作』、『隠密』、『経験値解放』
スキルポイント:20
どうやらちゃんと取得できているようだ。
今はどうでもいいが解毒魔法はやはりスキル欄には無い。
ということは治癒魔法の一種ということだ。
まぁ大体のゲームではそうだし何となく予想はできたが。
とりあえず、『経験値解放』は取得した。
後はそれをシアに使ってやれるかだ。
ここで考察するのを保留にしていた『パーティ恩恵(リーダー)』の解釈が問題になる。
鑑定すると、
パーティ恩恵(リーダー):このスキルの装備者がパーテイーにいる時に
発動する。リーダーはメンバーのスキルを使用することができるようになる。
パーティ恩恵(メンバー)がある場合、自己のスキルのうち、一定のスキルを
メンバーにも使用することができるようになる。
と出る。
『パーティ恩恵(メンバー)』の
パーティ恩恵(メンバー):このスキルの装備者がパーティーにいる時に
発動する。メンバーはリーダーの持つスキルのうち
一定のスキルの効果を享受することができるようになる。
という部分ももしかしたら、と思ったが、これは能力値上昇系統にのみ
適用可能なんだろう。
最初に取る時のポイントからしてこっちにそんな効果があったらあのポイント差、
パーティ恩恵(リーダー):30
パーティ恩恵(メンバー):10
これを説明できん。
やはり問題になるのは『パーティ恩恵(リーダー)』の解釈だろう。
パーティ恩恵(メンバー)がある場合、自己のスキルのうち、一定のスキルを
メンバーにも使用することができるようになる。
これを俺の都合のいいように解釈すれば俺のスキルをメンバーであるシアに
使えるということになる。
『一定の』と『使用することができる』という文言がカギになるな。
まず『一定の』ということはすべてのスキルが対象というわけではないということになる。
『経験値解放』がその対象外だったらここでアウトだ。
この『一定の』にあてはまれば次の『使用することができる』に進むことができる。
『使用することができる』ということは使用できるスキルでなければならない、
ということだ。
つまり、能力値上昇系のようにスキルとして保有していればほっといても効果が出るような
スキルは対象外ということになる。
『経験値解放』は一応使うことを前提としているスキルである以上ここは
恐らくクリアできる。
従って、どうなるかを左右するのは『一定の』にあてはまっているかどうかだ。
こればっかりは後は試してみるしかない。
願わくばシアのためにも当てはまっていてほしいものだ。
俺は経験値解放を念じる。
・・・・何も起こらない。
やっぱり駄目なのか?
いや、まだ始めたばかりだ。
まだ試してないやり方がある。
俺はパーティ恩恵(リーダー)を念じる。
すると、『どちらの効果を使用しますか?』
と出て、その後に『メンバーのスキルを使用するor自己のスキルをメンバーに使用する』
という選択肢が出てきた。
こっちがアタリか!
俺は後者を選択する。
すると、『使用するスキルを選んでください。』
と出てきた。
その後には俺の今持っているスキルすべてが
選択対象として出てきた。
一応他のスキルで実験しとくか。
俺は『ステータス操作』を選択する。
すると、『誰に使用しますか?』
と出て、その後ろに『対象:シア』と出た。
これはパーティーのメンバーがシアしかいないからだろう。
俺はシアを選ぶ。
すると『ステータス操作 をシア さんに使用します。よろしいですか? はい or いいえ』
と出る。
俺ははい、を選ぶ。
すると、『ステータス操作 が発動しました。ですがポイントが0のため効果を発動させること
ができませんでした。』
と出た。
ふむ、ステータス操作はいけるのか。
ふぅ、これで経験値解放に移れるな。
俺は同じように、パーティ恩恵(リーダー)を念じて進めていく。
『経験値解放 をシア さんに使用します。よろしいですか? はい or いいえ』
俺ははい、を選択する。
すると、どれだけの経験値を解放するか、というのが頭の中で問われているのがわかった。
今Maxで18673ポイントの経験値があるとわかった。
これってどれくらいの量なんだろう。
多いのか少ないのかわからんな。
とりあえず端数分、つまり673を解放することにする。
俺は673の経験値の解放を念じる。
すると、シアが「えっ、何ですか、この音は?」
と驚いていきなり立ち上がる。
音が聞こえたということはレベルは無事上がったんだろう。
一応シアのステータスを見てみる。
すると、
名前:シア
人種:獣人族(狼)
身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト
職業:戦士
性別:女
年齢:15歳
Lv.7
HP:73/55(+18)
MP:40/25(+15)
STR(筋力):38(+17)
DEF(防御力):27(+16)
INT(賢さ):17(+15)
AGI(素早さ):32(+17)
LUK(運):21(+5)
能力値ポイント:24
となっている。
ふぅ、どうやらうまくいったみたいだな。
あれ?シアは儀式を受けたはずだからポイントは自動で振られるはず・・・・、
あっ、そっか!
ステータス操作の影響か!
まあ使って上げれるんだから今のところはそれでも大丈夫か。
うん?能力値ポイントが24?レベルが6上がったんだから1上がるごとに4?
あれ、5じゃないのか?
うーん、なんだろ、わからん、後回しだ。
俺は今度はステータス操作を使って今度はシアのスキルを取得することにする。
スキルポイントを見ると12ポイントとなっていた。
あれ、またか。
12ってことは1上がるごとに2ポイント。
俺より1ポイント少ない。
うーん、あっ、『レベルアップ時ボーナス』か!?
というより今俺にはそれしか心当たりがない。
もう今はそういうことにしとけ!
俺はスキルの中から鑑定系を探す。
するとかなり下の方に鑑定系のスキルがあった。
俺も持ってる『鑑定』は35ポイント必要だった。
まあこれも特典で取った時の方が必要なポイントが低い。
他のスキルを見る。
『武器鑑定』とか『アイテム鑑定』とかいろいろある。
興味が無いわけではないが後回しだ。
あっ、あった!
『ステータス鑑定(自己)』。
うん?
『ステータス鑑定』というのもある。
前者が5ポイント。
後者が25ポイント。
俺の鑑定を使ってみると後者のスキルは誰でも使えるというやつらしい。
なるほど、シアには自分のステータスが見えればそれで十分だろう。
まあどっちにしてもレベルを上げてやらん限りポイントが足りないから前者しか無理だが。
俺は『ステータス鑑定(自己)』を取得する。
シアのステータスを確認すると、
名前:シア
人種:獣人族(狼)
身分:奴隷 所有者:カイト・タニモト
職業:戦士
性別:女
年齢:15歳
Lv.7
HP:73/55(+18)
MP:40/25(+15)
STR(筋力):38(+17)
DEF(防御力):27(+16)
INT(賢さ):17(+15)
AGI(素早さ):32(+17)
LUK(運):21(+5)
能力値ポイント:24
『経験値蓄積』、『ステータス鑑定(自己)』
スキルポイント:7
となっていた。
良かったぁー、成功した!
「シア、さっき聞こえた音のことも兼ねて説明したい。
とりあえず、ステータス鑑定、と念じてくれないか?」
「はい?わかりました。」
そう言うと、シアは目を閉じ念じ始めた。
「えっ、えっ、こ、これは?えっ?一体どういう・・・・」
「落ち着け、シア。何が見えた?」
「は、はい。私の、ステータスが、その、見えて、そしたら、
レベルが、その、7まで、上がっていました。」
「そうか、シア、成功したんだ。これでシアも俺にちゃんと異常を報告できるし、
レベルも1のままじゃない。これからはもう誰にもシアを
役立たずなんて言わせないぞ、もちろんシア自身にも、な!」
俺はそう言って、笑みを浮かべ親指をグッと突き上げる。
シアは固まっている。
あれ、どうして?
喜ばないのか?
えっ、なんか違った?
と俺が内心動揺しているとシアの目から突然涙があふれ出した。
シア、今日3回目だよ!?
そしてシアは涙が出ているのを気にも留めず、走って俺に抱き着いてきた。
「お、おぅ、いきなりどうしたシア!?」
俺はなんとかシアを抱き留める。
それにしてもシアいい匂いするなぁ。
女の子ってこんないい匂いするものなの?
しかも体もめっちゃ柔らかいしさわり心地が・・・・、
ハッ、いかんいかん!
邪なことを考えすぎた。
「ごしゅじん、ぐすっ、さま、ありがとう、ぐすっ、ございます。
私、ぐすっ、なんと、ぐすっ、お礼を言えば、ぐすっ、いいのか・・・・。」
あぁ、今度もうれし涙か。
言ってくれるとわかるが、どうもどうして泣いてるかなんとなくでしかわからん。
これがイケメンだったらちゃんと空気読んで優しい言葉なんてかけてあげて
ハンカチとかで涙拭いてあげるんだろうなぁ。
俺にそんなイケメン力はない。
ボッチにそんなもん期待すんな!
「シア・・・・、今はお礼なんていい、泣きたいだけ泣けばいいよ。
うれしい時も悲しい時も我慢するってのは辛いことだからね。」
自分のことは棚に上げてよく言うぜ。
「はい、ありがとう、ぐすっ、ございます。」
今回は泣き止むのに20分位を要した。
その間ずっとシアは俺に抱き着いたままだった。
俺の中のもう一人の俺を押さえつけるのに苦労した。
こんな美人でかわいい娘に抱き着かれてるんだよ!?
もうヤバかったんだからね!?必至だよ、こっちは!
泣き止んでからどういう過程を辿ってシアのレベルを上げ、スキルを取ったかを話した。
シアは最初こそ驚いていいたものの、途中からは相槌を打つごとに感謝の言葉を述べてきた。
また、「このことは約束通り秘密にしてくれ、いいな?」
というと、
「当たり前です、ご主人様の不利になるようなことをするはずがありません。」
と元気に返してくれた。
シアに話している途中で思ったのだが、今後パーティーを増やしていく上では
奴隷の方がいいんじゃないのか?
というのも奴隷なら主人に不利になるようなことはよほどのことが無い限り漏らさないんじゃないか、
使いたくはないが最悪『命令』すれば俺の情報の流出を防げるのでは、と思ったからだ。
この世界でもライルさんのような人は圧倒的少数派である以上そういった信頼できる人よりも
奴隷を探して購入する方が絶対に早くそして楽だ。
うぅむ、だがシアはどう思うだろう。
他の奴隷を買ったら自分が役に立たないから新しい奴隷を買うのでは、と思われるかもしれん。
折角シアのようなかわいい奴隷を得れたのだから今後も仲良くしていきたいしあわよくば・・・・、
いや、いかんいかん!
ちょっと思考がマズい方向に行きがちだ。
とりあえず相談してみるか。
このことをシアに恐る恐る聞いてみると、
「ご主人様の意向に反対があるはずがありません。
それに、ご主人様のお優しさを他の奴隷にも知って欲しいですから!」
と手をグーにしてブンブンと上下に振りながら答えられた。
その仕草はとても可愛らしかった。
そう言ってもらえるのは嬉しいが、今まで自分がやさしいと思ったことはないぞ!?
うぅむ、俺の知らない間に俺の中に眠る紳士力が目覚め始めているのかもしれん。
まぁそれはいいが、一応言質はとった。
今後はパーティーについては奴隷を増やしていく方針で行くか。
そうしてその日シアは憑き物が落ちたかのようにぐっすり眠った。
俺についてはもう一人の俺の暴走を鎮めるために一人眠れない夜を過ごすのだった。




