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救出作戦開始といきますか!

俺はライルさんを呼び、作戦ができたことを伝える。

俺は組み立てた作戦をライルさんに話していく。


「ライルさん、まずはリーダーとメンバーを交代しましょう。

私にパーティー申請をしてください。」

「わかった。」


俺はまずパーティーを解散する。

すぐにライルさんからパーティー申請が来る。

俺は承諾する。


「これでライルさんは『パーティ恩恵(リーダー)』の効果で私のスキル、

主に魔法を使えるようになりました。

ライルさんは捕えられている人達を探して救出してください。

彼女等は牢屋に閉じ込められている可能性があります。

ですから、救出する際に土系統の魔法で鍵を作り出し、開錠して下さい。」

「ちょっと待ってくれ、カイト。魔法を使えるようになるのはわかったが、

鍵なんて精密なものその場でぽんぽん作れないぞ、魔法を使うの初めてなんだから。」

「はい、私も恐らくは無理だと思います。

ライルさんが無理だと判断された場合は牢屋の扉ごと火魔法か風魔法で破壊してください。」

「ん?どういうことだ、破壊するんなら最初から鍵の作成なんて時間の無駄じゃないか?」

「いえ、最初は鍵の作成を考えて下さい。

というのも破壊すると必ずその破壊に伴って音が生じてしまいます。

音が大きければ大きいほど奴等に気づかれる可能性が格段に上がっていきます。

ですから扉の破壊は鍵での救出が不可能、

もしくは時間がかかったり困難な場合の手段としていただきたいのです。」

「なるほどな。つまり、鍵を作り出す困難リスクと扉を破壊する時のリスク

その場で天秤にかけて最善の方を選べってことだな!」

「まさにその通りです、ライルさんのその場での判断力がカギになってきます。」

「俺の役割は理解した。カイトはどうするんだ?」

「私はライルさんが動いている間囮になります。」

「えっ、カイトが囮役をするのか?」

「はい、私が囮役となって奴等をできるだけ引き付けます。

その間にライルさんは救出を行ってください。」

「それなら俺が囮役をした方がいいんじゃないか?

カイトなら俺より魔法を使い慣れてるし鍵を使っての救出が成功しやすくなるんじゃないか?」


ライルさんはかなり鋭いところを指摘してくる。

だが俺は絶対にライルさんに囮役をさせるつもりはない。

なんとしても説得しなければ・・・。


「確かにその点だけで見れば私が救出に回った方が成功する可能性は上がるでしょう。

ですが全体を見てください。囮役というのは一番戦闘を行わなければなりません。

ライルさんの信条からすると全員が助からなければいけません。

であるなら能力値が高く、魔法の使用に慣れている方を囮役にした方が

全員の生存率は上がるはずです。」

「しかし・・・、」

「それにさっきのあいつ等の話からすると、

捕えられている人の多くが盗賊に犯されて絶望しています。

もしかしたらここで死ぬことを望むかもしれません。

そんな時私みたいに理屈をこねて説得するよりも

ライルさんの感情こもった一言の方が心に響くはずです。

ですから、ライルさんには救出に向かっていただいて、

私が囮役の方が最善なんです。」


ライルさんは少し考えて、了承してくれた。

「わかった。但し、絶対死なないでくれよ。

俺はカイトにも生きていて欲しいんだから。」


自分の心配よりも俺の心配を優先してくれる。

それだけで俺には十分頑張れる気がした。


「わかってます、無茶はしません。全員助かる可能性が一番高い作戦なんですから。

へまをしない限りは大丈夫ですよ。」


「わかった、でもカイトはいつ頃脱出するんだ?」

「パーティーを組んでお互いの位置が大体わかりますよね?

ライルさんの位置を感じれなくなるか、それか

これなら逃げ切れるだろうという位距離が離れましたら

撤退します。」


「そうか、ある程度離れたら脱出してくれてもいいんだぞ?」

「それはできません。お忘れですか、ライルさんは守りながら戦うことになるんですよ?

彼女たちの安全が保障されるくらいの距離を開けませんと。」

「そうだったな・・・、」

「私のことを心配していただけるのはとてもうれしいんですが、

私のことも少しは信用してください。

それが親友ってものじゃないんですか?」


これは少々ズルかったかもしれない。

でも納得してもらうためだ、多少は大目に見てほしい。


「わかった。俺もカイトを信用している。だからカイトも俺を信用して安心して任せてくれ!」

「はい、いつでも私はライルさんを信用してますから、

ただライルさんの方がお頭に遭遇する可能性が高いことだけは頭に入れておいてください。」

「ああ、ちゃんと覚えておく。」

ライルさんは力強く頷く。


「では救出作戦を開始します。

私がまずは奴等を引き付けますのでその間に救出に向かってください。」

「了解した、健闘を祈ってるぞ、カイト!」

「はい、ライルさんもご無事で!」


そうして、救出作戦が始まった。



俺は岩から飛び降り、奴らに向かって走り出した。

まだ気づかれていないようだ。


そのまま奴らの方へ走って行ってファイアボールを5発放つ。

爆炎が巻き起こり土煙と化す。


「うわっ、なんだなんだ!?」

「何が起こってるっていうんだ!

誰か知ってるやついないか!?」

「いや、俺は何もしらねぇぞ?」

「今日って確かダントさんの誕生日じゃなかったっけ?」

「なるほど、じゃこれは何かのサプライズか?」

「ちょ、お前らそんなこと企んでたのか!」

「いや、俺たちもよく知らないけど多分知らせすぎたらダントにバレるから

数人で企画したんじゃねぇか?」

「ああ、たぶんそうだろう。あーびっくりした。」

「人騒がせだな、全く。」

「お前ら、ぐすっ、へっ違いねぇや!」

「「「ははははっ。」」」


ほんとにバカだろ、こいつ等。頭の中おめでたすぎるだろ!

誕生日を祝う習慣があるってことにもびっくりだが何よりもコイツ等の残念さにびっくりだ!

マジでお頭抜きじゃ何もできねぇのな。

お頭に同情するわ・・・。


ちなみにダントってのは確かレベル21の奴だったと思う、

うろ覚えだが鑑定したときにいたような気がする。


俺は剣を鞘から抜き、声のする方を頼りに近づいていく。

ゲームやマンガなら頭上に▽マークが表示されるから

この土煙の中でも相手を識別できるんだろうが、

この世界じゃそんなものは出ていない。


だから俺は声のする方に近づいていくことしかできない。

だが、今回に限ってはそれでいい。

相手からはしんにゅうしゃをまだ認識できていない時にこの土煙が起こったんだ。

この中に敵がいるなんてことは予想だにしていないから無防備なところを狙える。

また、俺からしたらこの中にいるのは敵だけだ。

途中ライルさんがこの中を通ればパーティー機能でお互いの位置を認識できる。

だから間違ってライルさんを襲ってしまうこともない。

俺は心置きなく近くにいるやつを切り倒せばいい。


「おい、お前、大丈夫か?くそっ、こう前が見えねぇと誰だかわかんねぇな?」


盗賊の一人が俺に話しかけてきた。

俺からも相手の顔が認識できない以上相手もしんにゅうしゃだとは分かっていないはず。

現にこいつも「誰だかわかんねぇ」って言ってるし。


俺は剣で目の前の奴を切りつける。

人を切った。

だがこの目前の奴が誰だかわからない状況がいい方向に働いているらしい。

切った感触は確かに手に残って嫌な感じだがそれほど嫌悪感はない。

いや、それはそれでどうなんだとも思うが今はこの方がいい。

後悔するのは全部終わってからでいい。


俺は次々と切っていった。

「ぎゃあーー!」

切られた奴の奇声が上がる。


「何だ、どうしたんだ?」

「きっとまた何かの演出だろう?企画した奴がオーバーにやってるんだよ。」

「それにしてはなんか悲鳴が本物っぽかったんだが・・・、」

「それぐらい練習したんだよ、ダントの奴を喜ばせるために。」

「お前ら、そこまでして俺のために・・・。」



コイツ等頭のネジ何本か飛んでんじゃないのか!?

まぁそういう風に思ってくれるのはこっちには好都合だがな。


俺はさらに盗賊を切っていった。

数にして15人程切ったところで土煙が収束していった。

一応鑑定で確認したが死体も生存者も全員盗賊だ。

地面には盗賊の死体が俺の切った数の分だけ横たわっている。


吐き気がした。

これらを自分がやったのだ。

やはりこうなったか。

人を切ると罪悪感やらでこうなることはある程度は予測していた。

だから全員始末しておきたかったんだが・・・。


残ってしまったのは仕方ない。


後5人か?

なんとかなる数字だ。


俺は折れかけている自分を叱咤し、喉まで出かかっていたものを強引に飲み込む。


そこで、ようやく残った盗賊達は目の前の状況を理解し始める。


「これ・・・・、何なんだよ。みんな血出して倒れてるよ・・・。

何だよ、もういいって、起きろよ。十分びっくりしたから。」

「そうだぜ、やりすぎにも程があるぜ、こんなに真に迫った演技されたら

腰が抜けるってもんだ!もういいから起きろよ・・・、なぁ、起きろって!」

「そうですぜぇ、兄貴達起きてくだせぇ。もう十分俺驚きましたから。

ダントさんまで何やってんすか。驚かされる側でしょ。一緒になって死んだふりいてないで

早く起きてくだせぇよ、ねぇ!」


盗賊たちは口々に死体に起きてくれ、と声をかける。

俺は憤りを隠せなかった。


ふざけてんのか?


お前達は今まで何をやってきた?

お前たちに生活を脅かされた人達は辛いながらもその現実を必死に受け止めて今も生きてるんだ。

なのに奪った側のお前等は悲惨な現実を受け止められず悲しんでますってか?


そんな理不尽がまかり通るわけがねぇだろうが!



「安心しろよ、お前等もすぐに同じところに送ってやるから。」

俺は剣を払ってついた血を落とし奴等に近づいていく。

「何なんだよ、お前!誰だよ・・・、そうか、お前か?お前がみんなを!」

「そうだ、俺が殺った。そいつ等は全員もう死体だ。」

「この野郎ぅ、よくも、よくもみんなを!」

「殺してやる、お前なんか殺してやる!」

「ふざけやがって、生きて帰れると思うなよ!」


口々に俺を罵ってくる盗賊達。

滑稽だな。

コイツ等を見ていると急速に頭が冷えてきた。


「ふぅ、私はこんなところであなた達に殺される予定はありません。

ですのであなた方が死んでください。」


俺がそういうと奴等は「うるぁーー」と俺に突っ込んできた。


俺はバックステップを踏み、自分が元いたところに間欠泉を作り出す。

温度自体は水温だから厳密には間欠泉とは言わないのかもしれんが。


奴等はそこにもろに突っ込んで行って空中に吹き上げられる。

まるでクジラの潮吹きにあったようだ。


俺は奴等の落下地点を予測し、そこに土で槍を5本上向きに生成した。

本物ほど尖っているとは言えないが十分殺傷能力は見込める。


奴等はそこに見事に落下していき、槍に串刺しになった。



俺は当初の心配からは予想もできない、

盗賊の子分全員の処理という結果をもたらした。

主人公の人柄が少し出ましたね。

今後も少しずつ主人公のこういった部分を出していきたいと思います。

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