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思っていた以上に数が多いな・・・。さて、どうするか。 

見渡してみるとざっと20人位いるんじゃないだろうか?

洞窟に入っていくのを見たときは大体10人位だったから

もともと半分ほどはアジトで待機だったのだろう。


俺は一人一人鑑定していく。


全員を鑑定し終えると大体の奴等の戦力が分かってきた。

レベルは平均して20前後。

レベル15前後の奴が6人。

レベル20前後の奴が7人。

そしてレベル25前後の奴が7人。


最後にお頭と呼ばれている奴は少し高めの32レベル。

だが能力値はそんなに言うほど子分と差があるわけではなかった。



名前:ベート

人種:人族

身分:平民

職業:盗賊

性別:男

年齢:41歳



Lv.32

HP:67/67

MP:38/38

STR(筋力):44

DEF(防御力):35

INT(賢さ):11

AGI(素早さ):58(+6)

LUK(運):13



『素早さ小上昇』、『罠探知』、『逃げ足』




レベルだけで見れば警戒しなければいけないのは間違いなく

お頭であるコイツなんだが、能力値がさほど高いというわけではないし、

すごいスキルがあるかと言ったらそうでもない。


こういうところが犯罪に手を染めた者に特有の職業なんだろう。

こういった職業が強すぎたら犯罪に走ることを助長することにつながる。


犯罪者があまり強くならないよううまいことできてるんだろうな。


もちろん奴等で一番能力値が高いのはお頭だ。

だからこいつをなんとかできれば一味全員処理できるってのが

俺の考えなんだが。


だが俺がどうにかできるような奴等相手にギルドが手をこまねいているってのが

どうにも腑に落ちない。

ただ単純にコイツ等のアジトがわからないから手が出せなかった、

ということなら今回の俺たちの依頼で目的は達成できる。


まだアジトだとは確定していなかった以上2人という少数で

潜入させることにも頷ける。


だがどうにも引っかかる。本当にそれだけなのか?

コイツ等が思っていた以上に弱かったんだから、

コイツ等自身が罠だということも十分有り得る。


ここは慎重を期してそろそろ退却するべきか?

アジトの場所の確認もできたし敵の大体の戦力も把握した。

これだけの情報があれば十分依頼は果たしたと言える。


レベルなんかの細かいことについては

ライルさんの鑑定でわかったことにすればいい

と言ってくれた。


ライルさんとも相談してそろそろ引き際だと判断する。

そうと決まれば長居は無用だ。

すぐにここを去ろう。


俺たちは撤退の準備を始める。



すると、不意にまた奴等の話し声が耳に入ってきた。


「それにしても今回はラッキーだったよなぁー。

なんたってあんな上玉手に入ったんだから。

今から夜が楽しみだぜ!」

「げへへ、お頭に相手してもらえるんですから

あの娘も光栄でしょうぜ!」

「今までの女どもはもう目が死んじまってやすからねぇ、

今回活きのいい奴が手に入ったのはまさに僥倖ってやつでさぁ!」

バカのくせによく『僥倖』なんて言葉知ってんな。

俺も普段は無知なことばっかだから

他人をバカにすることはほとんどないんだが。


だってこいつ等お頭以外軒並みINT(賢さ)が一桁だったんだもん!

数値には現れない賢さもあるかもしれないけれど、

あの会話だろ?


盗賊ってみんなこうなのかな?



「今はあの娘どうしてる?」

「へい、牢屋に閉じ込めてあります。」

「そうか、少々可愛がってやるか!」


そう言ってお頭は奥に去って行った。



ここで問題が発生した。

捕まってる人がいるのか。

話しぶりからすると今回一人女の子が連れてこられて、

それまでにも何人かの女性が連れてこられて奴等の毒牙にかかっている。


普通に考えれば助けるべきだろう。

こんな奴等に弄ばれるなんて女性にとって屈辱的だろう。

そういうプレイをお好みでわざと捕まってるという人もいるかもしれんが

そういうことは助けた後に文句として甘受すればいい。

今は助けるかどうかだ。

今回の依頼はコイツ等のアジトの調査で捕まってる人の救出は依頼内容に

含まれていない。

そんな形式ばったことでいいのか、とも思える。

だが必要以上のリスクを背負いたくないというのも本心だ。


コイツ等を倒すこと自体は恐らく可能だ。

そんなに能力値が高いというわけではないし2人でもなんとかなると思う。

ただ助けた人を守りながらここから脱出するとなったら話が全然違ってくる。


どうやって気をそらすか?

助けた人は走って逃げれるのか?

町に戻る途中のモンスターはどうするのか?


色んな要素が絡んでくる。

はっきり言って無事に守り通せる自信はない。

だがここで撤退を選べば安全は買えるかもしれんが

代わりに捕まった女の子がお頭の毒牙にかかることは必須。


さて、どうしたものか。

一人悶々としているとライルさんから声がかかる。


「カイト、俺は捕まっている人を助け出したい。

このまま放って帰るなんて俺にはできない!」

そうライルさんが口にする。


言うと思った、やっぱりライルさんはそういう人だよな・・・。



俺は真剣な顔をしてライルさんと向き合う。

「ライルさん、私も助けたいのは同じです。

ですが私達だけならまだしも、捕まってる人も連れて

脱出するというのはかなり困難です。

見つかる可能性が高い。

そうなると必然戦闘することになるでしょう。

とすれば捕まってる人も戦闘に巻き込まれることになります。

その人たちを無事に連れ出せる保証も私達が無事でいられる保証も

どこにもありません。それでも助けたいと思いますか?」

間を置くことなく、

「ああ、俺は助けたい!

協力してくれないか、カイト?」


即答だった。なんのためらいもなくそう答えたライルさんを

俺はとても頼もしく思った。

と同時に、こんなすごい人と俺は親友なんだ、

と何だか自分を誇らしく思えた。

こんな気持ちになるなんていつ以来だろうか・・・。



俺はライルさんに向かって笑みを浮かべる。

「ライルさんならそうおっしゃると思ってました。

わかりました。微力ながら私も協力します。

必ず助け出しましょう!」


俺がそう答えると、ライルさんはとてもうれしそうな顔をして、

「ありがとう、カイトが手伝ってくれるなら百人力だ、

必ず成功させよう!」


「はい。では私が作戦を考えます。

ライルさんは見張りをおねがいします。

何か動きがあったら教えてください。」

「よしわかった、

任せろ!」


そう言ってライルさんは奴等の監視に移る。


俺は自分の作業に入る。

どうやったら捕まってる人を無事に助け出すことができるか・・・。


俺は普段なら考えないような思考回路を用いてすぐに作戦を組み立てていった。


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