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パーティーについて教えていただけますか?

時間で言うと30分位話していたと思う。

俺たちはその後、外でギルド職員と話しているギルド長を迎えに行った。

俺たちに話しかけられるとすぐに職員との話を切り上げる。

大丈夫なのか、と尋ねると「ただ事務の確認をしてただけだから気にしなくてもいいよ、

後でもできることだしね。」とのこと。



再び応接室。

「どうするかまとまったのかい?」

「はい、パーティーを組むことになりました。

それに伴って、パーティーについてできるだけの知識が欲しいのですが。」

「わかった、そういうことならこれからパーティーについてを話そう。

ライル君にも知っていることを話してもらえると助かるんだが。」

「はい、俺に話せることなら何でも。」

「よろしい、では話に移ろうか。」


そう言って、ギルド長はパーティーについてを語りだした。


「パーティーは本来ドラゴンや魔族なんかの強力な相手に対抗する目的で考え出されたものだ。

人間は一人ではできることは限られている、協力して強い敵にあたらないと勝てない。

そこで昔の学者陣が協力して考え出されたのがパーティー制度だ。

必要に駆られて考え出されたものではあるがやはり一人の力では作り出せなかっただろう、

このパーティー制度自体多くの人間が携わってできたものだ。

そういう意味でもこの制度は尊い価値あるものだと私は思っている。」


なるほど、この制度自体が人間が協力して力を合わせるための象徴になっているのか。


「さて、パーティーは3~4人を基本として組む。

だが最低2人以上であればパーティーを組むことは可能だ。

最大だと7人が今の制度上の限界となっている。

最もよっぽどのことが無いと7人でパーティーを組むというのはほとんど聞かないね。

それこそ緊急事態招集がかかって出来合いのパーティーとして組むことになるってときくらいかな。」

「多すぎると何か弊害があるんですか?普通は数が多い方が有利なはずですし。」

「そうだね、いいところに気が付くね。

ズバリその通り。数が多ければいいというものではないんだ。

カイト君が最初パーティーを組むのを渋ってた理由もその一つなんだ。

近頃のパーティーの傾向というのはね、

知り合いや兄弟、仲のいい者同士が組むことが圧倒的多数なんだよ。

だからただ数をそろえても互いに赤の他人だと協力することができなくてね。

だからよっぽどのことが無い限りはそんな大人数でパーティーを組むことはないんだよ。」


ふむ、そうだろうな、いきなり知らない奴と協力しろって言われても難しい、

知らないやつが多ければ多いほどそれは困難になっていく。

だが、裏を返せば互いに信頼できるやつを集めれば7人でパーティーを組むことには

多大なメリットがあるはずだ。

『パーティ恩恵(リーダー)』、『パーティ恩恵(メンバー)』のスキルを持つ俺なら

計り知れない位だろう。

もっともライルさん位信頼できるやつを後5人も集められるかって話だよ。

俺にはそんな自信ないな。

この世界にライルさんみたいなやつがはたして5人もいるのか。

そして百歩譲っていたとしてもそいつ等同士が

うまくやれるかといったらまた話は変わってくる。

俺とだけうまくやれてもあまり意味がない。

全員が全員を信用するっていうのは数が増えれば増えるほど難しい。

まして相手が俺みたいな偏屈野郎だ、イケメンのライルさんになら

たくさん人は寄ってくるかもしれんが俺にはまあ無理だろうなぁ。


「話を戻そうか。パーティーを組むといろいろな効果がある。

先ず敵を倒した時に得られる経験値が人数分に分散される。」

「パーティーを組んでいるだけでいいんですか?戦闘に参加するとか

攻撃を加えるとかは必要ない?」

「ああ、そうだね。組んでいるだけで経験値は入る。だからレベルの低い子を

強くしてあげるためなんかにもパーティーは利用されるね。」

それならレベルの低いやつは後ろに下がらせとけばいいわけか、

わざわざ危険を冒させる必要もない。

便利だな。

その代わりと言ってはなんだが戦闘の貢献度に関係なく人数分に経験値が均等化されるんだろう。


「次に、パーティーを組むと補助魔法や補助アイテムなんかの効果が上がる。

継続時間が長くなったり、効能自体がよくなったり効果は様々だね。」


これもマンガやゲームなんかでよく聞く話だな。


「後ね、これがすごいんだけど、パーティーを組めば

一定距離の範囲内ならお互いの居場所が大体わかるようになるんだよ。

ステータスもわかるんだよ。

これは最近考え出されたものなんだけどね、いやぁー、学者ってのは

すごいことを考え付くんだね。とても役に立つものだよ。」


ほう、それはすごいな。感覚的にわかるものなのかな?

だが俄然信用できない奴とはパーティーを組めないな。ステータスを見られるんなら。

「後、戦闘に関することじゃないんだけどね、ギルド上の措置ってのもあるかな。

自分よりランクが上の人とパーティーを組むと2ランク差を限度として

その人のランクより上のランクの依頼を受けることができるようになるんだ。

つまり、Dランクの人がAランクの人とパーティーを組めばBランクまでの依頼を

受けれるようになるってこと。」


ふむ、それはあれだな、レベルの低いやつがいきなり高ランクの依頼を受けて

レベル上げすんのに制限を設けてるってことだな。


後、自分にあってないレベルの依頼を受けて死ぬやつを減らすのもあるんだろうな。


「すいません、A、B、C、Dランクの人たち4人でパーティーを組んだ場合、

誰を基準にランクの限界を判断するんですか?」

そこで、ライルさんが手を挙げて質問する。

ライルさんもそれは知らないんだ。


確かにそうだな、どの人に合わせるかによって受けられる依頼のランクは

異なってくる。

この制度の趣旨からすると、一番弱いDランクの奴かな?


「いい質問だね、これはギルド職員でも時々間違えるんだけど、

一番ランクの低い人を基準とするんだ。

ライル君の例だとDランクの人。

だからそのパーティで受けれる依頼の限界はBランクってことになる。」


やはりか。

まあでも的確な基準かな。A、Bのやつにはかわいそうだが。


「お答えいただき、ありがとうございます。」

「いえいえ、じゃ続けるよ。

パーティーではよくモンスターがドロップするアイテムとか武具とかを巡っての

争いが起きるんだ。パーティーの協力という趣旨からすると争い事が起きるっていうのは

嘆かわしいことなんだけどね。

それで、ドロップアイテム等についてどうするかというのは決まっているんだ。

原則はモンスターにとどめを刺した人のもの。

これが嫌な人は個人的にギルド職員に申請して変えてもらうっていう方針を

とっている。

これでパーティーの概略については以上だよ。

何か質問はあるかい?」


ふむ、パーティーがどんなものかの知識については大方理解できた。

後はどうやったらパーティーになれるかだ。


「すいません、パーティーについてはわかりました。

後お伺いしたいのはパーティーになる方法なんですが・・・。」


「ああ、そうだったね、これは実際にやってもらった方がいいだろう。

ついてきたまえ。」

そう言ってギルド長は応接室を出ていく。


俺もライルさんに促されギルド長を追いかける。



ギルド会館の2階、パーティー科と書いてある立札があるところに着いた。


そこの受付嬢にギルド長が説明している。


「かしこまりました。ではカイト・タニモトさん、この用紙に必要事項をご記入の上、

しばしお待ちください。」

と1枚の用紙を受け取る。


内容は冒険者登録を行った時と同じようなものだった。


記入し終え待っていると、受付嬢の人が別のローブを着た人を連れて戻ってきた。


俺は書き終えた用紙を手渡す。


「・・・・・・・・・・・・・、はい、確認いたしました。

記入漏れなどは無いようですね。ではただ今よりパーティー登録に必要な魔法を

こちらの魔法使いにかけてもらいます。痛みや後遺症などはありませんのでご安心ください。」


なるほど、魔法という形をとるのか。

「わかりました、よろしくお願いします。」


魔法使いは受付嬢の「では、お願いします。」という言葉をきくと

何やらモゾモゾ言い出した。


そっか、俺はしたことないけどこれが「詠唱」か!

詠唱って概念を知らないと、はたから見たらおかしな人に見えるな。


30秒位詠唱してから、俺に向けて持っていた杖をかざす。


俺の周りに淡い光が降り注いだ。


「これで、カイト君はいつでもパーティー申請できるようになったよ。

ライル君に対して、パーティー申請、と念じてごらん?」

とギルド長が話しかけてくる。


俺は言われた通りに後ろの方で控えていたライルさんに対してパーティー申請と念じた。


すると、『ライル・アーグリット さん に対してパーティー申請を行います。

よろしいですか?』


と出た。

俺は少し驚いたがすぐに、「ハイ」を選択した。


すぐにライルさんが「おっ!」と声を上げる。


ライルさんに無事申請されたようだ。


その後、『ライル・アーグリット さん がパーティーに加わりました。』


と出た。


ふぅ、無事ライルさんとパーティーを組めたようだ。


「こういう風にギルドで登録すればギルドで登録している人になら

パーティー申請できるようになる。

だから登録してない人に対しては申請できないようになってるんだ。」


なるほど、ということはもしかしたら今までにも

俺に申請してきたやつがいるかもしれないってことか。

ただ俺が登録してなかったから何も反応がなかっただけで。


「ただ、ここで注意が必要なのはこれは奴隷には当てはまらないってことだね。

原則奴隷はその主人としかパーティーを組めない。

カイト君が所有者になることもあるかもしれないから

教えておくとね、奴隷は身分だからもちろん冒険者になれない。

するとその帰結として依頼も原則受けれない。

ただ、所有者が冒険者で、その所有者と一緒に、つまり

パーティーを組めば依頼を受けれるんだ。

そして、奴隷におけるパーティー登録は

奴隷を買ったりするときに行う主従契約で

代替してるんだよ。だから基本的に所有者以外とはパーティーを組めない。

他の人も奴隷に対してパーティー申請することはできないんだ。

でも所有者に対して申請してパーティーを組んだときに奴隷も一緒ってことはできるね。

後所有者が許可を出した時も可能だよ。

どうだい、わかったかい?」


なるほど、うまいことできてんだな。

ギルド長の説明の仕方もうまかったためかすんなりと納得できた。


「理解しました。

では正式に依頼を受けさせていただきます。」


「うむ、その返事が聞けてうれしいよ。よろしく頼む。」



俺とライルさんはその後、ギルド長と細かな打ち合わせをして、

解散し、3日後、目的の地に向かったのだった。

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