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俺にとって、初めての・・・・・

おまえか、お前のせいか!

あれだよな、この前あげた確か「リア充の指輪」だったか。

あれがそもそもの原因だよな?

どんだけ運上がってんの、ライルさん!

ほんとどんだけリア充なんだよあんた、もうカンストしちゃってんじゃねぇか?


運ならしゃあない。運なんて不確かなものに因果性や論理を求める方が難しい。



そうか、ライルさんは鑑定して俺のスキルを知ってたのか・・・。

スキルのこと知ってて何も言わずにいてくれたのか。

それだけじゃなく、そんな俺と親友になりたいとまで言ってくれた。

でも俺は・・・、


「なるほど、ライルさんが鑑定持ちで、

私のスキル等についてをご存じだということはわかりました。

でもそれなら私のスキルやジョブの多さその他もろもろおかしいと思いませんでしたか?

私が言うのもなんですが、これは異常です。レベルが低いのにこんなにスキルをもって、

しかもそのスキルはかなりレアなものです。

こんなのを持ってるやつなんて、おかしいでしょう?

この世界では異物なんですよ、私はっ!」


俺は自分の不安な内心を吐露する。

もう嫌われるかもしれない。

それでも仕方ないと思う。

やはり俺はもともとこの世界の人間じゃないんだ。


「確かにどのスキルも今まで見たこと聞いたこともないようなスキルばかりだ。

初めてみたときは驚いた。でもだからと言って今まで俺と接してきたカイトが

嘘だということにはならない。」


ここまで言われて俺は一瞬泣きそうになった。

だが、ここでいい話で終わらせるには大きな壁が立ちふさがっていた。

それを乗り越えずして終わりにはならない。


「私にはまだ隠し事があります。ライルさんは今まで接してきた私が

嘘にはならないとおっしゃいました。

ですが私が隠していることはその根本を覆すことになります。」


俺はライルさんに包み隠さずに話そうと決めた。

ここまで来たらもう避けては通れないと思ったのだ。


「俺はどんなことを聞いても受け入れてみせる、

そしてカイトと親友になって見せる!」


ライルさんも腹を決めたようだ。


俺もその気迫に負けまいと自分を叱咤する。

どんな結末になろうと俺が望んだことだ、受け入れるさ。



「私はまず、記憶喪失ではありません。

過去の記憶がちゃんとあります。

この世界で生きるために嘘をついたんです。

そして、ここからが核心になりますが、

私はこの世界の人間ではありません。

この世界とは異なった世界で生きていましたが、

死んでこの世界に転生したんです。

もちろんちゃんと死んだときの記憶もあります。」

最後のは嘘だ。

死因は神様から聞いただけで今も漠然としか思い出せていない。


やはり、異世界から転生してきたなんてことをいきなり言われても信じずらいだろう。

こういった方が少しは信憑性が増すんじゃないかと思った。

まあとんでも話には違いないんだが。


ライルさんの反応を窺う。

顎に手をあてて今の話を自分なりに精査しているようだ。

体勢はそのままで俺に話しかけてくる。

「2,3質問していいか?」

「はい、私に答えられることでしたら。」

「まず1つ目、カイトがそのスキルを手に入れたのはどうやってだ?」

「私が死んだのは間違いだったらしく、

しかし元の世界に生き返らせることはできないため、

お詫びとしてもらいました。」

「なるほど、じゃあ2つ目、記憶喪失だって嘘をついたのはどうしてだ?」

「私は転生するにあたってこの世界についての常識が全くありませんでした。

それこそ赤ん坊からお年寄りまで知っているような習慣でさえ。

そんな中でできるだけ波風立てずに情報を集めるのはこの方法が一番だと思ったからです。」

「わかった、じゃあ最後に、これは答えたくなければ答えなくていいぞ。

死んだのは間違いだったって言ったが、どうして死んだんだ?」

「・・・、死因は恐らく圧死です。幼馴染の女の子を助けようとして

物の下敷きになりました。即死だったはずです。」

「・・・よくわかった。カイトがどういうやつで、

今までどんな生き方をしてきたのか。」


やっぱり嫌われたか。



「やっぱりカイトはカイト、俺の知る中でも最高の奴だ!

カイト、改めて俺と親友になってくれないか?」

「はい、やっぱりそうですよね。

この世界の人間でない異物である私なんて・・・、へ?」

「だ、か、ら、俺と、親友に、なってくれ!」

「へ、あのいいんですか?私は異世界人ですよ?っていうかそんなこと信じていいんですか、

私が言うのもなんですが途方もなく胡散臭い話ですよ。

それに私がまた嘘をついてるかもしれません。」

「俺だって流石に人が真剣な話をしているときにその人が嘘をついてるかどうか位

何となくわかる。それに異世界人だろうが何だろうがさっき言ったように

俺が見てきたカイトがそれで変わるわけじゃないんだ。

カイトが死んだ理由も幼馴染助けるためなんだろう?

これで理由が実は猟奇的殺人犯で死刑になりましたとかだったら

ちょっと考えたかもしれんが。」

「それで考えるのがちょっとって・・・、

ライルさんお人よしすぎますよ。」

「いっただろ、例え、おかしなやつでも今まで俺が見てきたカイトが

変わるわけじゃないって。それにおかしなやつになったら、

すぐに俺が元に戻してやる!その代わり、俺のことはカイトに任せる。

そういうのが親友だろ?」

「もう親友ってことになってるんですね。」

「やっぱり嫌か、俺と親友になるの?」


そんなことあるはずないじゃないですか。

現実世界でもこんなに俺のことについて一所懸命になって考えてくれた人はいなかった。

こんなにも心が温かくなったことなんてなかった。

俺が心の底から信頼できると思った人も今までいなかった。


高校でのあの日以来、俺の孤独の日々が始まった。

そして今までこの日々が終わりを告げることはないと信じて疑わなかった。



だが今はもう違う。



「いえ、私からお願いします。

ライルさん、私と親友になっていただけますか?」

「嫌だ!」

「え、ここでそれですか!?」

「嘘だよ、今まで記憶喪失って嘘ついてたんだからな、これでおあいこだろ?」

「勘弁してくださいよ、驚きすぎて2度目の死を経験するところでした。」

「はははっ、でも今度から嘘をつくようならその曲がった根性、親友が矯正してやるからな!」

「はい、では改めまして、今後ともよろしくお願いします。ライルさん!」

「おう、よろしくな。カイト!」




その日、俺に初めての親友ができた。


今回の話は前回でも申し上げましたが、端的に申しまして好き嫌いの分かれる内容となっていると私は考えています。

これでこの作品を嫌いになる方もいらっしゃるかもしれないとさえ思っています。


でき得るなら1章の終わりまで我慢してお付き合いいただきたいですが

我慢できないとお思いになる方もいらっしゃるでしょう。

そんな方には私の独りよがりな進め方でつまらないと感じさせてしまい

大変申し訳なく思います。



また読んでみてやろうかな、と思っていただけるよう精進しますので今後もまた機会がおありでしたらぜひ足を運んでくださるようお願いします。


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