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ほう、昇格試験ですか。 何すんだろうね?

初の狩を成功で収めた日から既に2週間が過ぎた。

思っていた以上にすんなり事が運んでいることに

内心何かよからぬことの前兆かもしれん、

などとひねくれた思考を働かせつつも、

俺はいくつもの依頼をこなした。

もちろん討伐が主となるが、

時には採取系の依頼も受けた。


そのおかげで手持ちのお金も増え、

全部で17254ピンスとなった。


レベルに関しても順調だ。

11まで上がって能力値もかなりましになったんではないか?


Lv.11

HP:83/63(+20)

MP:64/47(+17)

STR(筋力):31(+18)

DEF(防御力):26(+16)

INT(賢さ):32(+17)

AGI(素早さ):33(+16)

LUK(運):1(+5)


運についてはあげることができなかった。

俺だけのことではなく、運は生まれつきの先天的なものらしい。

ということは俺はスキルや装備を得ないと一生このまま。

ぐすっ、いいもん。数字には表れない幸運だってあるもん。


レベルを上げることのメリットは能力値上昇だけではなかった。

初狩の終わった後、宿屋でくつろぎながらステータスを眺めていると、

スキルの下の方に『スキルポイント:6』とあった。

レベルが2上がって6ポイントだから1上がるごとに3上がるのかな?

とりあえずどういうものか知ってからポイントを使おうと思ってとっておき、

後日ライルさんにスキルポイントについて聞いてみると意外な返答が返ってきた。



「スキルポイント?何だそれは?」

「え、わかりませんか?」

「すまんな、俺は知らん。どういうものなんだ?」

それを聞きに来たんだけど・・・。

「すいません、前提として、ライルさんってどうやってスキルってとってますか?」

「スキルは取るもんじゃないだろ。自然に強くなっていったら身に着くものだろ、

これは常識だぞ?」

何かスキルについての認識に齟齬があるらしい。

「すいませんでした、どうにも記憶が曖昧で。何々ポイントの何々のところが記憶を失った拍子に

すり替わったんだと思います。ライルさんのおかげで恥をかかずに済みました。」

「ああ、気にするな。カイトも記憶が無いと大変だな。いつでもおれを頼ってくれよ。」

「はい、よろしくおねがいします。」

うん、記憶喪失って便利だね。


俺はその日、スキルについて考察することにした。

この世界ではスキルは取るものではない、これは大前提らしい。

だが俺はレベルが上がればスキルポイントなるものが得られる。

それでスキルを取ることができるのだ。

確認として、スキルポイントを鑑定すると、


スキルポイント:スキルを取るために必要なポイント。


と出た。そのまんまだな。

だが、これでスキルポイントがスキルを取るのに必要な役割をしていることが分かった。

とすると、俺とこの世界の人々で異なっている要素とは、を考えれば答えに近づけるはず。

転生・・・・、スキル・・・・、スキル?


そこで一つのある仮説が俺の中で生まれた。


原則として、スキルポイント自体はこの世界の人もレベルアップ時に得られるはずなんだ。

だって『スキルポイント:スキルを取るために必要なポイント。』だもん。

ただ、自動に振られるからあることを観念できないんじゃないか?

そして、その人に的確なスキルが振られる役割をしているのは

恐らくは職業・ジョブの影響だろう。


一方で、例外である俺が、自動で振られずポイントとしての形で現れるのは

偏に『ステータス操作』の効果ではないか?

勝手にステータス操作は能力値に限って機能するものだとばかり思っていた。


ステータス操作:レベルが上がった際に得られるポイントを使ってステータス上の任意の能力を

あげることができるようになる。


となってたからな。この文の『能力』の解釈が一番の問題だ。

これを文字通り「能力値」という意味で取るんなら

スキルポイントに影響してるのはこれじゃないことになる。

「ステータス上の戦闘に関するモノ」を指すならこいつが原因だ。

こう考えないとこの世界についてのスキルを説明できない。

もっとも、今のところ前者の説を否定できる材料がないから仮説段階だが。


俺は一応ステータス操作がスキルポイントを自分で振れる原因だと結論付け、

この話を打ち切った。



ジョブについても進展があった。

ギルドで確認したとき、魔導師に転職可能になっていた。

だが、職員の人に転職をお願いすると、どうして戦士なのに

魔導師に転職可能なのかの説明ができない。


そこで俺は11レベルまで上がって貯めていたスキルポイントを使って、

『職業操作』を15でとった。

ステータス操作よりポイントが高かったのは

やはり特典として選んだからだろう。


今後はこれで職業管理をしよう。



俺がまた何か依頼を受けようとギルド会館に足を運ぶと、

受付嬢のリーさんが話しかけてきた。


「あ、カイトさん、こんにちは。

カイトさんにお伝えしなければならないことがありましてお待ちしていました。

実は、前回の依頼達成に伴って依頼達成状況が良好とギルド職員によって判断されました。

つきましてはDランクへの昇格試験をお受けになることができます。」

ほう、昇格試験とな?いきなりですな。

「普通はですね、試験を受ける前にギルドに申請して後日受験することになるんですが、

試験官を務める者が少なく今日しか都合がつかないんです。

今日を逃せば次に受験できるのは1か月後となります。いかがいたしますか?」

ふむ、今日ぶっつけ本番はできれば避けたいんだがな。

ライルさん辺りに聞いて試験についての情報を集めてから臨むのが俺としてはベスト。

まあ試験内容がころころ変わるとかだったら意味ないけど。

この次が1か月後というのはかなりダルい。

どうせ早いか遅いかの違いなら今受けとくか。


よっしゃ、暗黒舞〇会でもグリード・アイ〇ンドでもどんとこい!


「わかりました。受験させていただきます。」

「かしこまりました、では試験官にその旨伝えさせていただきます。」

「はい、よろしくおねがいします。」



10数分後、リーさんが戻ってきた。

「カイトさん、試験場所までご案内します。私についてきていただきますか?」

「はい、わかりました。」

リーさんの後ろについてギルド会館の外に出る。


そこから10分ほどしたところに石畳が敷き詰められた

学校にある普通の体育館の3倍くらいある広さの訓練場についた。

「ここが試験会場になります。後のことは試験官の方の指示に従ってください。

カイトさんなら絶対大丈夫ですから頑張って下さい!」

「はい、ありがとうございます。昇格できるよう精一杯頑張ります。」


リーさんは俺の元気な返事を聞いて満足そうに帰っていった。



俺は石畳の中央へと進んでいった。


そこには一人の背の高い女性が剣を突き立て、待ち構えていた。

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