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色々とお久しぶり……ですね。

皆さんに知らせていただいたおかげで『オリジンの源剣』のメンバーの名前や背景事情を間違えてでっちあげることなく済みました、ありがとうございます!!


自分でも探してたんですが、皆さんの方が早かった……微妙に悔しいです!!



「あら? ……もしかして、お探しの相手は、伯父様、でしたか?」


“えぇ、嘘、本当に?”という表情でミレアがそう確かめてきた。

 ええ……本当なんですよ。


 ゴメンね、話があちこち飛ぶんだよ。



「ああ。探している相手がいるんだ。それで『オリジンの源剣』のメンバーに、鍵になるかもしれない奴がいる」


 俺が手早くを説明すると、ミレアは納得したように頷いた。


「だから、そのボディーガードしてるっていうグリードと何とか連絡つかないかって、今、私達話してたんだけど……」 


 説明を引き継ぐようにしてフレアがミレアの顔色を窺う。

 協力して欲しいが強引にすることでもないので、相手の反応を待っているという感じだ。



「……ミレア、何とかなりませんか?」



 フィオムも続いてミレアへと頼み込む。

 しかも下から見上げる形だ。


 ……やべぇ。

 横から見てる俺でもグッと来た。

 

 ……あれは立場の上下とかがなくても、中々断るのは難しいだろう。


 ミレアは想像通り、何かに気圧されるようにして一歩後ずさった。

 

「う、うぅ……ベ、別にそこまでお願いしていただかなくても、協力は致します!!」

 

「ほ、本当ですか!?」 


「はい、ですから、フィオム様、その目は止めてください!!」


「へ? 目、ですか?」


 キラキラ、ウルウル、と子犬のような視線をこちらに向けてくる。

 うぐぅ、これは、キュンってなるな……。


 いや、そうじゃないな――





 

 るんって来た!!

  

 きらきらドキドキしたい!! 

 

 ハッピー!! ラッキー!! スマイルゥゥゥイェーイ!!







 やべぇぇ……擬音ばっかで何言ってるかわかんねぇ。



「フィオムはちょっーと自分が美少女って自覚持とうね……」


 フレアの呆れたような忠告にも首をコテンッと傾ける。

 コイツ、分かってねえな。



「――まあ、フィオムは置いといて……ミレア、頼めるか?」


「……それは、べつに、構わないのですが」


 俺が改めてミレアに確認すると、何だかフィオムの場合とはまた違った意味の歯切れの悪さを感じさせる。 


「何だ、何かあるのか?」


 再び問うと、ミレアはモジモジとして落ち着かない。

 

「その、私、あまり、伯父とは、仲は良くなくて、ですから、少し、連絡を取るのには、勇気がいりまして、でも中々、その勇気はでなくてですね……」


 何かを催促するような、言って欲しいというような期待の目でチラチラ見てくる。


「ええい、回りくどい!! 俺ができることならするから、言ってみろ!!」


「――え、今“何でも”と?」


「いや、そこまでは言ってない」


 食いつきが凄かったので、きちんと言うべきことは言っておいた。

 俺がすかさず訂正したので、ミレアもそれ以上勢い込むことはなく。 

 だが、それでも恥ずかしそうにしながら、消え入るような声で言った。

 







「……その、ハグを」







「え、ハグだって?」



“え、何だって?”みたいな聞き返し方になったが、きちんと聞こえてはいる。


唐突に何でハグ、と思っただけで。 



「――はい、ハグ、です」



ミレアの顔は羞恥で真っ赤になっていた。






「――カイト君、許可します」


「いやなんでフィオムが許可してるの」



親指を上げていい笑顔を浮かべるフィオムにツッコミを入れるフレア。


「なんでフィオムが許可してるのかは分からんが……――ミレア」


俺も何かしっくりこないモノを感じながらも、迷っている時間が惜しいと、えいやっと大胆にミレアを抱きしめた。



「ッ!?」



腕の中でミレアの体が強張ったのが分かった。

だが、知らん!!

お前が言ったんだろ!!


ミレアはただちょっとした勇気が欲しいだけ。

誰かに励ましてほしいだけ。


特定の誰かである必要はなかった。

ただ一番近くにいた異性が俺だっただけだ。

異性の伯父とギクシャクしてる中、異性の誰かに、一歩踏み出す勇気を送って欲しい――ただそれだけだ。


だから勘違いするな……。

滅茶苦茶良い匂いするとか、体うっひゃぁぁぁやわらけぇぇぇ!!とか、胸が当たってるぅぅぅ!!とか思うもんか!!




『うひゃぁぁぁ!!』



『エロスエロス!!』



『キース!! キース!!』



『イッキ!! イッキ!!』



『カイトの!! ちょっといいとこ見てみたい!! フ~~~!!』


うっせぇぞ、精霊ども!!

お前らガキか!!

ってか飲み会か!?


ちょっと色々黙っててもらえますかね!?




「コフッ!? こ、れは、我慢です。カイト君に器の広さを見せるんです。正妻の余裕、正妻の余裕、正妻の余裕……」


「ああ、やっぱりフィオムもか……私は親友と恩人、どちらを応援すべきか……もう、なんで私ばっかこんな悩みを抱えなきゃ……」




何かフィオムとフレアもそれぞれ頭抱えてるし。

頭抱えたいのはこっちなんですけど!?







「――ありがとうございます、もう、大丈夫ですわ」






何秒経ったろうか。

正常な奴がいないので止めなければ永遠この状況が続いたかもしれない。



「……そうか」



ゆっくりと離れると、ミレアは照れたように笑った。


「そ、その……こういうのは、恥ずかしいですわね」



「……まあな」



「ですが、これで元気が出ました!! 今すぐ伯父様と連絡を取ってまいります!!」


ミレアは早口にまくしたてると、俺の顔を見ずに、そそくさとその場を去っていった。


「ああ、頼んだ!!」


一応、俺も背中に向けてそう声をかけたが、聞こえていたのかいないのか……。




「……やっぱり嫌だったのかも」




流石に長くくっつき過ぎたかもしれない。

例え相手が求めてきたとしても、必要以上はセクハラと取られるのが世の常だ。

それは明確にセクハラという概念が無くても同様。


「良かれと思って」という言い訳は通用しない。

そう考えて呟いたら――





「「……はぁ」」




フィオムとフレアが揃って溜息を吐く。

……なんやねん。

息ピッタリか。


それといつ君ら蘇生したの。

さっきまであんなに虚ろな目をしてたのに。














「――じゃあ、行ってくる」


「オルトお姉ちゃん、色々後処理任せちゃってゴメンね?」


「ああ、気にするな。こちらは任せろ」


ワイバーンの前で、オルトさんに挨拶を済ませる。

俺がワイバーンを召喚して見せても、特に驚かれることはなかった。

……何か話が通ってた、のかな。



ミレアがグリードと連絡を取って、今ギルド本部にいることが分かった。

承諾はまだ得られていないが、同時並行で俺たちもギルド本部へと向かうことに。




「……ヤクモ、しっかりな」


「はい――リュートさん、ウォーレイさんやライザさんの言うことを聞いて、安静にしててくださいね」


肩を借りて立っているウォーレイさん。

ヤクモは少し心配そうにしながらも、切り替えて、もっと心配すべき相手にそう告げた。


「な、なんでリュートだけ!? ウォーレイも結構ダメージあるよ!? リュートとどっこいどっこいだよ!?」


「リュート様……ヤクモ様はダメージではなく、頭や頼り甲斐の方で判断されているのでは……」


「分かってるよ!? わざわざ言葉にしてくれなくても!! ――うわぁぁぁん!! ライザがいじめるよ、ユウ!!」


『そうだね、ボクもリュートを一夜中いじめ倒したいよ、勿論、性的な意味でね!!』



いや、ユウさんぜってぇんなこと言わねえよ。

ヤクモも同行するが、乗せてもらう相手の方がまだ少し時間がいるらしい。




「――フィオム、じゃあ、またね」


「――はい。フレア、気を付けてくださいね」




あちらでは、フレアとフィオムが一時の別れの挨拶をしていた。

フレアがギルド本部へと向かう道を先導してくれることになっている。

ミレアとヤクモはファイアドラゴンのニーナの背に同乗する。




「これが終わったら、必ずフィオムに会いに行くから」



おい、それ死亡フラグだから、フレア。



「はい、私、ずっと待ってます。フレアが来てくれるのを、ずっと……」



フィオムさんや、それも何かフレアが帰ってこないフラグっぽく聞こえるから。




そんなフラグを更に4,5個立てた後、二人は抱きしめ合う。



「――うん。じゃあ、行こうか。ランド、こっちのことは任せた」



離れた後、フレアは既に切り替えて、残る弟に声をかける。


「ああ、任せとけ、姉貴!!」


「義姉さん、ランドのことは私に任せてください!!」


「いや、何抜け駆けしてんの!! ――義姉さん、私、私が!!」


 何かランドのクランメンバーがこぞってフレアにアピールし出した。

 ……“お姉さん”と呼ぶニュアンスが、何か違う気がしたが、俺は気にしなかった。









 ケッ、ランドの奴も結局はリア充かよ、爆発しろ!!







「――カイト君」



「ん? ――どうした、フィオム」



ワイバーンにレンと一緒に騎乗を済ませると、フィオムが駆けてきた。


「悪い、レン。ちょっと待っててくれ」


「うん、大丈夫」


レンに断りを入れて飛び降り、フィオムの隣へ。


「……あの、もしかしたら“ティアーナ”に会えたとしても、協力を渋るかもしれません」


「何?」



いや、なんでそんなことがわかるの、というのは今はいい。

そっちじゃなく、じゃあ会っても意味なくない?

今からそのティアーナって人に協力を仰ぎに行くんでしょう?


その俺の懸念が伝わったのか、フィオムは俺にそっと顔を近づける。

うぁぁ、ち、近い近い良い匂い可愛いぃぃ!?



そしてそっと、耳元で囁いた。








「――“クロノスについて、知りたくないか”」








それだけを言うと、直ぐにフィオムは体を離す。




「これだけ言ってください。――おそらく、それで協力してくれるはずです」



その言葉の意味が何なのか、どうしてフィオムがそれを知っているのか。

何か“戦刃む○ろに気を付けて”みたいだね、とか。

色々と聞きたいことはあるが、でも、フィオムは俺たちのことを思って、その秘密の手札を俺に渡してくれたんだ。


俺は、追及することなく、頷いた。



「――分かった。ありがとうフィオム」


「はい――カイト君、気を付けて」


「ああ」




俺はフィオムにもう一度礼を言い、ワイバーンに乗り込んだ。

向かうはリューミラルから西――魔法国よりは東に位置する自由都市。

そこにあるギルド本部だ。





=====  シア視点  =====

魔法国ネアクリアスより東  自由都市ルルス ギルド本部



「うわぁぁ、凄いね、ボクもギルド本部に来るのは初めてだよ……」


「そうだったか? ゴホッ……シア君は?」


壮大な建物。

ルルスも大きな都市で活気にあふれていますが、この本部も息を飲むほどの大きさです。


建物自体はかなり昔に作られたと聞きましたが、それほど古びているようには見受けられません。

人の往来も途絶えませんし……。



「……私もです」



隣で感嘆の声を漏らすユウさんと同じように、私も中の景色に圧倒されました。

ここが……ギルド本部。



「……そうか。よっぽどのことでもない限り、あまり頻繁に来る場所でもない」


Sランク冒険者であるディールさんがそうなら、私はもしかしたら最初で最後になるかもしれませんね。

今のうちに、この光景を目に焼き付けておいた方がいいでしょうか。






「――おい、あれ」


「――ああ、間違いねえ」


「――“死霊使い(ネクロマンサー)ディール”だ」


「――本部にまで足を運ぶんだ、大事に違いねぇ」




「……やっぱり有名人だね、ディールさん」


「ですね……」


周りでディールさんの姿を見た人達の声が止みません。


「私は殆ど本部には顔を出さないんだがね……」


ディールさんは何やらご不満の様子です。

あまり注目されることを良しとしてらっしゃらないみたいですね。





「――後ろの二人は誰だ?」


「――いや、知らねぇ……でも只者じゃねぇぜ」


「――ああ。気配もそうだし、何よりネクロマンサーがわざわざ供をさせてんだ」


「――だな。他者の力を必要としない。にもかかわらず連れているってところが、既に普通じゃないことの証拠だ」







「……ボクらも、噂されてるねぇ」


「ですね……」


「ふふっ。そのお面、付けておいてよかっただろう? ゴホッゴホッ……」



自由都市に着く前に、ディールさんに買って頂いた鳥の(くちばし)を模したお面。

鼻から上を覆ってくれて、そして目には視界を確保するための穴が空けてある。


最小限、顔を隠しておきなさいという気遣いからですね。





「――さぁ、こんなところで時間を潰すものじゃない。さっさと用件を終わらせよう」




そういってディールさんは周りを気にせずに歩きだしました。

私達もそれに倣うようについていきます。













「ふむ……ここだね」




事務の人間に3階へと通され、そしてまた更に5分ほど歩いて。

“第12会議室”とプレートがかけられた部屋に着きました。




そして、中へと入ろうとした時――











「――おや、これはこれは!!」



「――ふん、アンタか」







後ろから声がかかりました。




振り返ると、そこには二人の男性が。

一人は片方の目に眼帯を付け、顔に目立つ傷を持つ、流れるような長髪のおそらくエルフ。


もう一人は、そこまで人が持てるのか――そう思わずにはいられない程の数を、帯剣していました。

腰だけでなく、背中、肩、足。

若いのに隠しきれない覇気のようなものを持っている、黒髪の人族。




ディールさんは、誰から声をかけられたのか既に分かっていたかのように、表情を変えませんでした。

そして、その声に応えます。






「――やぁ、久しぶりだね、ルーカス。それと、グリード」

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