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気を取り直して冒険者登録と行きますか。

長めになってしまいました。

しかし区切りがいいところが思いつかなかったのでぶっ続けです。


お釣りを受け取る。

門番さんは何とも言えない顔をして

「お前さんもあんまりライルに迷惑かけんなよ。」

むぅ、そりゃ俺だってかけたくてかけてるわけじゃないんだが。


まあ知り合いが心配なんだろう、こんなどこの馬の骨ともわからない、

金なさそうに見えてたのにいきなり金貨出してくるようなやつ拾ってきて。


うん、自分が同じ立場でも心配するわ。

俺みたいな普通に過ごしててもミステリアスな雰囲気が漏れ出て仕方ない

人間味あふれるやつを見たらそりゃ心配になるよね。


別に嘘はついてないよ、ただ履歴書に書くとしたらこんなふうに客観視して

書かないとな、と思って少し言葉を言い直しているだけであって・・・。



とりあえず町には入れた。

これからどうするか。

ライルさんはすぐギルドに行くらしい。


元々俺も冒険者にはなるつもりだったので、ついて行っても構わないか、

ということ、そして冒険者になりたい旨尋ねた。


すると、「ああ構わないぜ。大きくはないが一人だと迷うかもしれんしな。

とりあえず冒険者になれば身元がギルドに保証されることになるから入門税も

返ってくる。登録に必要な保証人には俺がなってやるから安心しな!」


何このイケメン!惚れちゃいそう!

保証人が要るってのは初耳だが、それを受け持ってくれるのはこちらとしては大助かりである。

が一方でこの人大丈夫か、と心配にもなってくる。

門番さんの気持ちがかなりわかってきた。

なんかこんなに危ないことに首突っ込みそうな人って女性からすれば庇護欲っていうの?

を掻き立てられるんだろう。

ハッ、門番さんはそれでライルさんに女性ができることを懸念している?

門番さんはライルさんにいけない感情を抱いているということなのか?


・・・・ないか。発想の飛躍も甚だしい。


まあ心配になるってことは事実か。

俺も世話になってるし少し気を付けるか。



俺はライルさんに連れられ、町を進んでいく。

大きいとまでは言えないが町の中に活気もあって

人々が生き生きしているように映る。


「どうだ、いい町だろ?」

不意にライルさんが尋ねてくる。

俺は思っていたことをそのまま口にする。


「ああ、おれもこの町が大好きでね。カイトにもこの町を好きになってもらえればうれしいよ。」

この話しぶりからしてライルさんの中では

俺はこの町の人間ではないことはほぼ確定しているんだろう。その通りだが。

もし俺がここの住人ならライルさんが知らないというのはなかなかに観念しづらい。

すると、自然、俺はよそ者という結論に至るわけだ。


今までのことから推測するにライルさんはこの町でかなり顔の広い人なんだろう。

困っている人をほっとけない、そしてこの町を愛する姿勢。

そりゃ好かれるわ。そこそこ顔だちもいいし。

男じゃなかったら嫁に欲しいくらいだもん。


そんな人をだましていることに胸が締め付けられる思いをしないでもないが、

相手が誰だろうと嘘をつく必要があるときは必ずあるしその度に躊躇していては

身が持たん。

申し訳なく思わんというのはそれはそれで問題だが必要以上に敏感になることもなかろう。

なにごとも適度に、が肝要だ。



そんな感じでいろいろ話しているうちに、ドーム状の建物の前に着いた。

「ここがギルド会館だ。」

ふむ、まあ想像してたものと大差ないな。


俺たちは扉を開け中に入っていく。

中に人はあまりいなかった。

まあ今2時くらい?だから普通依頼受ける人ってもっと早く来るもんな、

あくまで想像だけど。


ライルさんを見かけるとその中のほとんどの人が声をかけて挨拶していた。

やっぱりこの人人望あんだな。

ライルさんは「よう」とか「元気そうだな」とか言って軽く済ませると

俺に軽く申し訳なさそうにした。

「お気にになさらず。」

とだけ言っておく。


奥に進むと3人程女性が受付をしているスペースがあった。

ちょうど一人いだけ手持無沙汰にしていたのでライルさんはその人に話しかける。

「よう、リー。今戻った、これが依頼されたものだ。確認してくれ。」

そういって、ライルさんは幾つかの草を渡す。

「はい、ライルさん、少々お待ちください。」

リーさんと呼ばれた女性はすぐにその草をもって受付の奥に入っていった。


名前:リー

人種:獣人族(猫)

身分:平民

職業:ギルド受付嬢

性別:女

年齢:17歳



Lv.4

HP:25

MP:15

STR(筋力):18

DEF(防御力):15

INT(賢さ):16

AGI(素早さ):22

LUK(運):33


むむ、これを見て分かったことがあるぞ!


俺は運がないort。


3人ともなれば確定的だな。

まあいいさ、俺は数字には惑わされないって決めたからな!


それはおいといて、名字のある人とない人がいるのか。

ライルさんはあったけど門番さんとリーさんはない。

試しにこの建物内で見える範囲の人を鑑定してみた。

7人鑑定したが6人がなかった。

今のところ法則性なんかは見いだせない。

普通に考えるんなら偉い人にのみ許されているって線。

江戸時代でも武士にのみ帯刀と苗字?だったか、を認めてたっていうし、

この世界でも階級と何か関係があるかもしれん。

まあすぐに解決せにゃならん問題でもあるまい。

保留だな。


リーさんが戻ってくる。

「はい、確認できました。これが報酬です。」

そういって小銀貨と銅貨を何枚かライルさんに渡す。

「悪いな、それで、まだ用があんだが。こいつの冒険者登録をしたいんだが。保証人は俺でいい。」

「はい、かしこまりました。こちらの必要事項を記入して少々お待ちください。」

と彼女は一枚の用紙を渡すとまた裏に行った。


何をどう書けばいいか知らないはずなのにスゥッと頭の中に浮かんでくる。

異世界言語(筆記)の効果か。

そんなに書くところはないからあまり困らなかったが、

どちらかというとこの後の方が心配だ。


おそらくこの後何かしらの方法で俺の能力値を測られる。

その時にスキルや能力を見られるのは今後のことを考えると好ましくない。

今のうちにステータス操作と偽装を使っとくか。


俺はステータス操作を念じる。


しかし何も起こらない。


えっ、何で、どういうこと?

焦りが生じる。


もう一度念じてみるが結果は同じであった。

ヤバい!どうしよ、なんか発動条件とかあんのか?

わからんが発動しない以上、なんか原因があるとしか・・・、

そうだ、スキル自体鑑定できないか?


俺は急いで「鑑定、ステータス操作!」

と念じる。

すると


ステータス操作:レベルが上がった際に得られるポイントを使ってステータス上の任意の能力を

あげることができるようになる。


と出た。


うそん、そっち?

自分の好きな値にいじれるバグスキルじゃなくて?


うわー、やらかした。

語感に誘導されたな、普通ステータス操作っつったらバグの方っしょ。


もしかしたら偽装もなんかのハズレかもしれん。


偽装:ステータス上の名前・人種・身分・職業・年齢、能力値、又はスキルを隠すことができる。


何これ?隠せる?それって偽装っていうよりは隠蔽って言わね?

むぅ、これもハズレ臭がする。


しゃあない、できる範囲で隠すか。


ああ、ステータス操作に関しては完全にやられたな。


後で時間とってスキル全部鑑定しよ。



リーさんが占いに使うような水晶玉をもって戻ってくる。

俺は紙を渡す。

「お待たせしました。はい、お預かりします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、

はい、記入事項の確認ができました。

これより、ギルドと冒険者に関する説明を始めさせていただきます。

冒険者はギルドに依頼される様々な依頼を解決することを生業としていますので

一見職業・ジョブのように思われがちですが実際には身分として扱われます。」

これはライルさんの鑑定をしたときに確認できたから大丈夫だ。


「冒険者にはそれぞれの能力に見合った依頼を受けていただきたいのでギルドは

ランク制を採用しております。

冒険者になりたての方は基本みなさんFランクから始めていただいて、依頼の達成状況等

次のランクに昇格されても問題ないと判断された場合には

昇格試験を経たうえでランクアップしていただくことになります。

一番高いランクとしてはAランクよりひとつ上のSランクが設けられておりますが、

実際Sランクになられた方はギルド発足当時から今まで6人しかいらっしゃいません。

ですのでたいてい皆さんはAランクを目指して頑張っておられるようです。

ここまではよろしいですか?」

俺はその話を頭の中で咀嚼して問題ないか検討する。


「はい、大丈夫です。」


「では続けさせていただきます。冒険者になられるといわゆる納税の義務が免除されます。

もっとも、報酬から天引きされているというのが実態ですので、

あまり普通の方々と変わりありませんが。

次に、何かモンスターが異常発生した等の有事の際に発令される緊急事態招集があると

冒険者の方には招集に応じる義務が生じます。

これに応じなかった場合には故意・過失を問わず

賠償金支払いの対象となりますのでお気を付け下さい。

この義務は予め多額のお金を納税されたり、一定の地位、

具体的にはSランクの方だったり大きな功績を残された方は免除されます。

免除される方は冒険者の方々の中でもごく一握りの方々のみとなりますので

大抵の方々には縁のない話として受け取られています。

冒険者としての活動を精力的に行っていればない話ともいえないと私は思っております。

ぜひ頑張って下さい。

以上で説明は終わりです。何か質問はございますか?」


うーん、招集は面倒だな。Sランクが免除の対象ということは功績も納税の額もそれ相応に

無茶苦茶に違いない。

「私は思ってる」ってことは基本そんなことはないがという前置きがあるはず。

つまりほんとに例外中の例外なんだろう。免除はあきらめといたほうがいい。

まあそんな有事の際なんてそう頻繁に起こることでもないだろう。

いや、今までどんだけ招集があったかは知らんが。

そう何度も何度も起こってたらやってらんないよ。



「大丈夫です、問題ありません。」

「畏まりました。それではカイトさんのステータス計測を行いますので

この水晶に手をかざしていただけますか?」

来ました!やっぱりか。ちゃんと隠せてればいいが・・・。

「この計測って頻繁に行うものなんですか?」

一応確認しといたほうがいいだろう。

「いえ、基本みなさんに冒険者登録をしていただく時だけです。

最初の適性を見て明らかにFランクから始めていただくには適さない方には

他の適したランクから始めていただくためにその人の能力を見極める、

というのがこの測定の本来の趣旨ですから。」

うぅむ、一見安心していい説明だが、

「基本」と着くということは何かしらの例外があり得るということだ。

今回だけで安心するのは危険か。


「わかりました。では。」

俺は水晶に手をかざす。

すると水晶玉がかすかに輝きを放ちだす。



名前:カイト・タニモト

種族:人族

身分:冒険者

性別:男

職業:戦士 

年齢:16歳



Lv.1

HP:43

MP:21

STR(筋力):23

DEF(防御力):19

INT(賢さ):22

AGI(素早さ):21

LUK(運):1



ふう、何とか隠せたようだ。

偽装は役に立つな、思ってた効果とは違うが。



「はい、登録できました。これよりは正式に冒険者として活動していただけます。」

「ありがとうございます。」


俺は冒険者になった。



そろそろ少しずつ話が進みだしそうです。

とか言いつつまだヒロインの影も見えていませんが。

もう少しなんです。

もう少しお付き合い下さい。

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