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異世界の町に着いたはいいが・・・。

すいません、若干長くなってしまいました。

なのに物語的にはあまり進んでいません。

申し訳ない思いでいっぱいですがもう少し我慢しておつきあいしていただければ

と思います。

町はそんなに小さなものではなかった。

ここに来る途中ライルさんがあんま期待すんなよ、と言ってたが

そういう割には家や大きな建物、鐘のある塔なんかもちらほら見える。


自分の住んでる町が小さなところだと幻滅されるのが嫌だったんだろう。

まあ普通小さい=田舎だからな。

そりゃどちらかと言ったら自分の町を好きになってもらう方がいいに決まってる。

気にし過ぎじゃなかろうか。

仮に小さくても、小さいなら小さいなりにその良さというものがあるものだ、

ご近所同士の繋がりだとか、助け合いとか。

逆に村八分にされたときは恐ろしいが。


ま要するにだ、みんな違ってみんないい(引用:金子みすゞ「わたしと小鳥とすずと」)!

うん。


二人で門の衛兵さんに近づいていく。

鑑定しとくか。


名前:タイラー

人種:人族

身分:平民

職業:門番

性別:男

年齢:25歳



Lv.15

HP:78

MP:24

STR(筋力):35

DEF(防御力):39

INT(賢さ):10

AGI(素早さ):16

LUK(運):22


まだ二人目だし確かなことは言えんが、運高くない?

なに、俺がおかしいの?俺が異物なの?

いや、後ろ向きな考え方はだめだ、前向きに考えるって決めたじゃないか!

そうだ、この二人が特別運のいい人たちでおかしいのはこの人たちなんだ!

そうに違いない・・・。

でもそうだとしたらそんな二人に出会える俺の運が低いっておかしくね?

この二人がなんか厄介ごとに巻き込まれ体質なら説明がつく・・・、

いやだめだ、それだとこの二人が厄介ごとに巻き込まれるのを幸運・嬉々と思ってる

奇人変人でないとこの二人の運の高さが説明できん。


ああぁ、だめだ。俺が運の無いやつというかなり確実性のある推論しか思い浮かばん。

よし、ここは発想を変えよう。運なんて目で見て確かめれないものが数値化されてるから

こんなに悩むことになるんだ。きっと数値では表せきれない運だってあるはずだ!

それをいうと不運についても同じことが言えるが、

ステータス上の数値だけであきらめるよりかはましだ。


よし、これからは数値には騙されないぞ!



「おおライル、戻ったのか。依頼は無事終わったのか?」

「ああ、ばっちりだ!これから報告に向かうところだ。」

「それは何よりだ。ところでそこのやつはなんだ?行く時には見かけなかったが。」

「ああ、こいつはカイト。

橋の近くの街道であったんだがちょっとばかしわけありなんだわ。

もしかしたら噂の盗賊集団絡みかもしれんから一緒に連れてきたんだ。

大丈夫、安全な奴だってことは俺が保証するよ。」


えっ?まだ会って一時間も経ってないのに、安全な奴だって言っちゃっていいの?

いや俺自身でも流石に不用心なんじゃと思っちゃうよ?


さっきもライルさんが言ってたその盗賊集団のおかげでうまい具合に嘘が機能してるけど

あんまり過度な期待をするとあとで関係ないことが盗賊集団調べて分かったとき面倒だから

最初から関係ないと思うよ?的な空気は出しといたほうがいいだろう。


「そうか、また厄介ごと拾ってきたのか。お前も大概にしとけよ。」

「別に厄介ごとって決まったわけじゃねえよ。でも忠告はありがたく受け取っとくよ。」


うん?この会話からするとライルさんは厄介ごとをよく拾ってらっしゃる?

いや、ただ下町の頼れる兄貴的な存在でなんだかんだ言いつつもほっとけねえぜ、

って助けちゃう人なんだよ、きっと!

決してトラブルに自分からまきこまれるような変態さんなんかじゃないはず!

うん、信じてるよ?俺は。あたりまえだろ!いくら危機管理マイスターとして

ミシェラン2つ星はくだらない俺でも、

森を出て心細い思いをしてた俺に優しくしてくれた人を疑うはずないじゃないか!

ちょっと距離を取ってるのは最近なんか風邪気味だったからうつしちゃいけないっていう

俺の配慮だよ?決して危ない人から離れたいっていう願望が出ちゃったんじゃないよ?


「わかった、じゃあ一応身元の保証が取れるまでは決まりだから。

入門税で20ピンスな。」


おおぅ、ここに来て金か。

ピンスってのが通貨で、円って翻訳されないのは円自体は地球では共通の単位ではなかったためか

と推測される。

キロは発音とかは違ったかもしれんが一応世界共通だったはず。

まあこれは推測レベルだから今は何とも言えん。


ちなみに貨幣の価値の凡そについては先ほどライルさんに教えてもらっていた。


この世界には小銅貨、銅貨、小銀貨、銀貨、金貨、白金貨、閃貨とあってその上にも

なんか紙幣があるらしいが実際使うことがあるかもしれないのは上記銭貨だからそれを覚えておけばいいらしい。


小銅貨一枚1ピンス、一円玉にあたり、金貨までは前の10枚と同じ価値、つまり

小銅貨10枚=銅貨1枚、銅貨10枚=小銀貨1枚・・・、となっていく。

で、白金貨からは金貨100枚と同価値、閃貨は白金貨100枚と同価値。


で、ここがよくわからんとこなんだが、話しぶりからすると、1ピンス=約100円位っぽい。

なら実質銀貨1枚約10万円って計算になる。

となるともう白金貨とか閃貨になると使う機会あんのかね、とも思ったりするが

まあ使わなくても銭貨一式くらいなら覚えてても損はないだろ。

紙幣もとなると途端にめんどくささが増しそう。


それと普通1ピンスを基準にするんだから銅貨1枚を1ピンスにして

大銅貨10ピンス、銀貨100ピンス、大銀貨100ピンスとしていかないか?

何で小銅貨を1ピンスとして基準にしたんだ?


ここらへんは経済の話になってくるのかな?

経済については全く興味なかったしさっぱりわからん。

なんか深刻な理由でもありそうなら調べようかな、って気にもなるが

俺の危機管理センサーが反応しない。

ということは裏をかえせばどうでもいい理由なんだろ。

とりあえず無視の方向でいいや。



さて、思考という名の現実逃避が終わったところで直面している問題に向き合うとしよう。



お金どうしよう~~~(泣)。

んなもん持ってるわけないでしょ。

来たばっかですよ、こっちは。


事前に必要だってわかってたらライルさんに相談できたんだが。


「ちょっと待ってください。」

と言って俺は体のあちこちを物色する。

門番の何さんだっけ?が必要な額を「銅貨2枚」ではなく

「20ピンス」といったということはおそらく提示方法については

指定されてないのではないだろうか。

なら何かそれくらいの価値あるもので物納というわけにはいかないだろうか。


特にそんなことは意図してなく銅貨2枚か小銅貨20枚、

それかそれ以上の銭貨ならお釣りを出しますよ的な意味にもとれる。

最悪もしそうなら恥を忍んでお金が無いこと、

そして物を換価してもらえないか頼むしかない。


いろいろ自分を物色したが石ころとかしか出てこない。

服装や持ち物は基本死ぬ前と同じで制服を着ていて、

生徒手帳とグチャグチャになった携帯くらいしかなかった。

携帯はおそらく下敷きになって死んだときになったんだろう。

壊れて使い物にならず、アドレスに家族と叔父しか登録されていなかった物に

愛着があるわけもなくただ見ててもむなしさしか生まなかったので森の中で捨てた。


生徒手帳は中が紙でできてるわけでして、

またちょうど残念なことに森の中で紙が必要になったのですよ。

後は言わなくても良いよね。

後で生活魔法何のためにあったんだよ!と使うの忘れてて発狂しそうになったが

まあ犠牲が生徒手帳だけならいっか。と落ち着いた。


本来なら財布を持ち歩いていたはずなんだがその日だけなぜか家から持ってくの忘れた。

そのせいで昼飯買えずに午後の授業を空腹で過ごしたのを今でも鮮明に覚えてる。

俺ってやっぱり運悪いのかな?


えっ?幼馴染の手作りお弁当はって?

それは・・・、まあいいじゃん。


今は問題と向き合おうぜ。

っと、そいえば4次元ポケッ〇調べてなかったな。


俺はここでどれくらいの価値があるかわからんので

二人とは少し距離を取ってアイテムボックスを開く。

すると、中に1枚の金貨と手紙が入っていた。

手紙を開いて読んでみると、

「海翔君、僕からの最後になるかもしれないプレゼントだよ。

これを読んでいるということは僕はもう・・・。

いや湿っぽくなってごめんね。

どう、異世界を楽しんでるかい?

何かと入用になるだろうから当分これで足りるだろう額のお金を

入れといたから。もし海翔君がアイテムボックス取らなかったらどうやって

君に渡そうか心配だったけど杞憂に終わったね。

これで僕の仕事も一応終わりかな?

ははっ、これが終わったら故郷に帰ってあの子に告白するんだ(遠い目)。

妬いちゃだめだよ。勘違いしないでよね、

べっ別に僕は君のことなんて大好きじゃないんだからね!

この手紙だってあんたのために書いてるわけじゃないんだからね!


ふぅ、一通りかけてスッキリしたよ、

じゃあね、とりあえず体に気を付けてね。

後ちゃんとこまめに家に顔だすんだよ。

後いちばん右のタンスの上から3段目の引き出し裏にあった本は捨てとくからね。


by 君の最愛の神様より                         」


・・・・・・・・・・・・・・目が滑る。

ツッコミどころが多すぎてもうどう扱えばいいかわからん。

しかし一つだけ・・・・・・・・、

なぜあの隠し場所がわかった!

俺の決して短くない時間を使って研究に研究を積んでやっとのことで考え出した

あの場所を!

くそ、くやしいがこれがおかんの力か、あきらめるしかないか。


はぁ、萎えるわぁ。



「すいません、なんか1枚金貨ありました。」

さっきまでの心配とかもうどうでもよくなった。


俺は、あわてて両替してくる、という門番さんをしり目に

遠い目をして優しい顔をするのであった。


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