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Extra:とある日の二人

100話記念のお話です。

今回は誰視点かはあえて書きませんがまあ読んでいただければすぐに分かりますので。


まだまだ書きたいことは沢山あるのですが一先ずはこの100話という区切りを素直に喜ばせていただきたいと思っています。


今まで読んで下さった読者の皆さん、本当にありがとうございます。


俺達の物語はまだまだこれからだぜ!!

「……うんしょっと!」

「あれ?シーナ一人ですか?」


私が買い物から戻ると、シーナが一人で作業をしていました。

リゼルとは一緒に買い物に行って、私が先に帰ってきたので彼女がいないのは当たり前なのですが……

ご主人様とエフィー、カノン、それにクレイと聖獣たちがいません。

一体どうしたのでしょう?


「あ、シアさん、お帰りなさい。そうですね、今は私一人です」


シーナが手を止めて答えます。


「ご主人様やエフィー達は?」

「カイト様は途中いなくなったクレイさんと聖獣達を探しに行かれました。エフィーとカノンはカイト様が探しに行かれた後、当初想定していたよりも資材が必要になりそうなのでその補充で森の中に」

「ご主人様はクレイ達を探しに行かれたのですか?召喚がおできになるのに……」

「何でも、『緊急時以外では魔力の無駄使いは避けたい』だそうです」

「なるほど……」


……私が浅はかでした。

流石ご主人様です!

きっと色んな事を想定しての判断なのでしょう。

今後もご主人様のお役に立つためにもっと精進しなければ!


さて……


「シーナ、私も手伝います。今どの辺りですか?」


私は買ってきた物を一先ず置いておいても大丈夫なところに下し、作業に加わろうとします。

流石に一人で任せるのは忍びないですしね。


「だ、大丈夫です、シアさん。休んでてください!私一人ででも……」


シーナは道具を手にした私を慌てて止めに入ります。

どうしたんでしょう?


「いいんですよ、シーナ。遠慮しなくても」

「い、いえいえ、シアさん、シアさんの手を煩わせるわけには……」


警戒されているわけでは……無いと思うんですが。

変にそう余所余所しい態度を取られるのも少し傷つきます。


「シーナ、私達は同じご主人様の奴隷です。ご主人様に対して遜るのでしたら分かりますが私達の間で変に遠慮する必要はありません。この作業もシーナはご主人様に快適に過ごしていただきたいために頑張っているんでしょう?」

「それは……そうですが……」

「私もご主人様に少しでもより良い生活をしていただきたい思いは同じです。目的が同じなんですから、一緒に頑張ればいいんじゃないですか?」


ご主人様のように優しく話しかけてあげられているかどうかは分かりませんが、私を通して間接的にでもシーナにご主人様のお優しさを感じてもらえれば……


「シアさん……ありがとうございます」

「いえ、いいんですよ。では始めましょうか」

「はい!」







「……ふう、二人でやっている割には結構進みましたね。シーナ、いったん休憩しましょうか」


二人での作業を続けて凡そ2時間程、私は少し疲れ気味なシーナを見て提案しました。


「いえ、私はまだまだ大丈夫です。続けましょう」


ですがシーナはその提案を受け入れてくれません。

疲れているようにも見えるのですがその動きからは少し焦っているようにも窺えます。

……その姿が何だかご主人様とお会いして直ぐの私のように映りました。


私は、木材を担いで6割程完成した建物に向かおうとしているシーナの前に立ち塞がります。


「……シーナ、一度休憩しましょう」

「で、でも……」

「あんまり根を詰めますと体に無理がかかります。そうすると結果的にご主人様にご迷惑をおかけすることになりますよ?」

「そ、それは、そうですが……」

「ご主人様は大変お優しい方です。シーナがここで休憩してもシーナを怒ったり傷つけたりなんかなさりません。それどころか、シーナが倒れたらご自分をお責めになってお心を痛められすらなさるかもしれませんよ?……そんなご主人様を見るのは私達皆が嫌です。もちろんシーナも私達の仲間ですから、シーナが倒れるのは私達も嫌です」

「シアさん……」


シーナは私の顔と自分の持っている木材を交互に見ては少し辛そうな表情をしています。

……ここも何だか以前の私を見ているかのように錯覚してしまいますね。


「何もしていないと不安になる気持ちは私も十分に良くわかります。何もサボれと言っているわけではありません。ただ、今ここで頑張りすぎるよりも適度に休息をとってまた頑張った方が効率が良いと思うんです。それに……」


私はさっきシーナが木材を取りに行った方向に目をやります。


「木材の残りもほとんどありません。エフィーとカノンが帰ってこないことにはどっちにしろ完成させることはできないと思いますよ?……ですから、二人が帰ってくるまでは休憩でいいと思います。もしも怒られることになったら、一緒に怒られてあげますから。ね?」

「シアさん……私……ありがとう、ございます」


シーナは持っていた木材を落として泣き出してしまいました。

私はシーナを抱きしめてあげて、慰めてあげます。

……やっぱり、色々と不安だったんでしょう。

助けていただいたご主人様に恩をお返ししたいがために焦る気持ちというのは、私にも痛いほど良くわかります。


これで……いいんですよね、ご主人様?




私達はその後砂浜に腰を下ろしてしばしの間休憩することに。

休憩していることに少し居心地の悪さのようなものを感じているようですが、今はシーナも落ち着いていてくれています。


「……それにしても不思議ですね、カノンやリゼル、クレイよりもシーナとの出会いの方が早いのにこうして仲間になるのが……ってすいません、この話はあんまり良くなかったですか」

「いえ、全然そんなことありませんよ?私もそれはとても不思議な感じなんです。色々と考えることはありますけど」

「そうですか……あの時は少しシーナに嫉妬してしまいました」

「え!?嫉妬って、ど、どういうことですか?」

「だって、シーナはとっても美人ですし、髪だってとってもサラサラしていて綺麗です。それにエルフってやっぱり私のような獣人と比べると珍しいですから。最初見た時はシーナが仲間になったら私はご主人様に必要とされなくなるんじゃないかって……」

「そ、そんなこと無いですよ!それを言うなら私だって、シアさんを最初見た時、カイト様の奥様かそれに近い関係か位に思いましたよ!!」


……え!?

私が、ご主人様の、奥様!?

何ですか、その素晴らしい状態は!?

そんな幸せなことが起こるならば、私は死んでも構わな……

……いえ、死んだらそれ以上ご主人様と一緒にいられませんね。

流石にそこは控えますか。


「それは、どういう……」

「カイト様に、シアさんが奴隷だと聞かされた時はとても驚きましたよ!奴隷なんて思えない位本当にシアさんは大事にされているように見えましたから!!」

「そう、なんでしょうか?」

「はい!!……ですからシアさんがそんなこと思っていたなんてビックリです。まあでも、カイト様に見捨てられたくないって言う気持ちは私もとっても良くわかります」

「……ですよね、冗談抜きで、ご主人様に見捨てられたらもう人生の終わりだと思ってます」

「はい……私もカイト様に救っていただいて、本当に感謝しているんです。何としてもこのご恩をお返ししないと」

「はい……私達、案外似たところがありますね」

「そうですね、無い物ねだりなんですかね?」

「そうかもしれませんね……ところで、ふと思ったんですけど」

「はい、何ですか?」

「シーナの方が私よりも年は上ですよね?」

「えーっと……一応私は18ですね」

「リゼルと同じじゃないですか!……私は15です。どうして年下の私にそういう口調なんです?リゼルやクレイに対してなら分かりますが……」

「それはそのー、なんて言いますか……」


シーナが言い淀みます。

何か言い辛いことなんでしょうか?


「あ、いえ、別にマズイこととかではないんです。ただなんて言ったらいいか自分でも少しよくわからなくって……」


シーナは私の心境を察したのか、ちゃんと言ってはくれますが、自分でも何を言いたいのか纏まらないようです。


「何でも言ってみてください。必要であれば私からも質問したりしますから」

「うー、はい、分かりました。おかしなこと言うかもしれませんがよろしくお願いします」

「はい、大丈夫です。話してみてください」

「では……何でかと言いますと、難しいんですが……何となく、シアさんが一番カイト様に信頼されているように感じたんです。もちろんエフィーやカノン、リゼルやクレイさんも皆カイト様から信頼されているのは分かっていますが」

「……うーん、要するに程度の問題ですか?」

「そう言われるとそうかもしれませんね。カイト様から信頼を得ている皆さんの中でも一番信頼されているシアさんが何だかとってもすごい存在のように思えて……」


……シーナの言いたいことは分かりました。

ですが、そうなのでしょうか?

シーナ自身がそう感じたというのは個人の感覚ですし否定できないことです。

私が、ご主人様の信頼を受けさせていただく……

本当に、そうだったらいいのですが……


「まあ言いたいことは分かりますが……」


「シア、シーナ!!」

「シアさん、シーナさん!!」

「あ、エフィー、カノン。お帰りなさい」


二人が森から帰ってきたようです。

二人の後ろからは木材を一緒に運んできたラミアやスケルトンが見えますが、どうやら一番大きな木材を運んでいるのはカノンのようです。


カノンは魔法を使えてしかも力もあります。

何でもできるカノンが羨ましいと思うことも少なくありませんでしたが、今ではもう自分の中ではちゃんと区切りをつけています。

皆のお姉さんとして頑張ることも含めて、私は私のできることを精一杯してご主人様のお役にたてるよう

頑張るだけです。


「シア、もう帰ってたんだね。……あれ、クレイは?マスターまだ連れて戻ってないの?」

「確かにお二人とも見当たりませんね。どうしたんでしょう……」


二人は帰って早々いない二人の心配です。

……そこにリゼルが含まれていないのは気にしない方がいいんでしょうか?


「リゼルはまだ、『我は我の与えられた使命をこなすのじゃ!!』とか何とか言って買い物を一人で続けていましたが、ご主人様とクレイはまだお帰りになっていませんね」


私は一応リゼルのことも話しておきます。


「……まさか、マスターに何かあったんじゃ!!」

「カノンさん、それは流石に……ここは孤島ですから」

「で、でも、クレイいつもはボーっとしてるけど、マスターに対しては積極的だし……もしかして、二人っきりで!!」

「うーん、そうだとしても、クレイさんなら別に問題ないんじゃ。どこの馬の骨とも分からない女にご主人様を取られるわけでは無いんですし」

「そうだとしても、だよ!!マスターがもし、そういう事してるんだったら……そ、その、い、一緒にしてもらえるかもしれないし」

「カノン……」

「だ、だって、マスターあんまりそういうことしてくれないんだもん!!私はいつだってマスターとしたいのに!!」

「カ、カノンさん、最近自分の欲望に正直ですね!?」

「フ、フンだ、いいもん!私一人ででもマスターを探しに行くもん!!」

「あ、待ってください、カノンさん!!」


そう言ってまた森の中に二人で行ってしまいました。


「……どうしましょう、シーナ」

「私達も探しに行きますか?」

「そうですね、カノンの話は私も同じ想いで……」

「え!?シアさん!?」

「ん、んんん。……いえ、何でもありません。流石にここまでお帰りになりませんと心配になりますから、私達も探しに行きましょう」

「……シアさん」


シーナの目は何だか少し冷たいような気もしないでもないです。


「さあ、シーナ、急ぎませんとご主人様に何かあったら大変です!!」

「あっ、シアさん……」



そうして私達もご主人様の捜索に出ました。





「あれは……」

「カイト、様?」




私達が捜索を開始して1時間程、森の中の少し開けた場所に出るとご主人様らしき人を見つけました。

ですが、そこで私達が見たのは……




「寝て、いらっしゃいますね。カイト様」

「はい、寝ていらっしゃいます。クレイと一緒に」


クレイが猫のように丸まってぐっすり寝ている横でご主人様は手を頭の後ろで組んだまま眠っていらっしゃいます。

聖獣達もご主人様やクレイに寄り添うように眠っていて、何だかとっても気持ち良さそうです。


「カノンの言っていたようなことはありませんでしたね」

「はい。……カイト様、お疲れだったんでしょうか?」


……私はご主人様の体調を気遣って差し上げることができなかったのでしょうか?

こうしてご主人様がクレイと一緒に眠っていらっしゃるのは、クレイが鋭い直感からご主人様の疲労を感じ取って、それでご主人様がお休みになられるようにお誘いしたんじゃ……


こんなことで、よくご主人様の信頼を受けているなんて言えたものです。

私は……


「……アさん、シアさん!」

「え?は、はい、どうしました?シーナ」

「シアさん、何だか悲しい顔をしていますよ?」

「そんな、ことは……」

「シアさん、何か気になることでも?」


確かに落ち込んではいましたが、それがシーナにバレてしまいました。

……そんなに分かりやすかったんでしょうか?

シーナにまで心配をかけてしまうなんて、私は皆のお姉さんとしても……


「シアさん、何を気になさっているかは私には分かりません。どう言えば良いか……その、うまくは言えませんが、シアさんは皆のお手本です!まだここに来て日が浅い私でもシアさんが皆の中でとても大切な役割を担っているのは分かります!ですから、その、ああ、うまく言えない!とりあえず、元気出してください!」

「シーナ……」


心配させたばかりか、元気づけられてしまいました。

……こんなことではいけませんね。

もっと皆のお姉さんとしてしっかりしないと!!



……そして、少しでもご主人様のお役に立つんです。


「ありがとう、シーナ。私はもう大丈夫です」

「……わかりました、おっしゃるように、大丈夫そうですね」

「……ん、んん、あれ?寝ちまったか?」

「あ、ご主人様、お目覚めですか?」


私達が話している間にご主人様がお目覚めになったようです。


「……シアとシーナ、か。二人してどうしたんだ?」

「ご主人様がクレイを探しに行かれたまま帰っていらっしゃらないと皆でご主人様を探すことに。私とシーナはそれで一緒に」

「あー、なるほど」


ご主人様は頭を掻きながら少しばつが悪そうな顔をなさいます。

いつもご主人様は走り回っていてお疲れでしょうからお休みになられることに誰が文句を言えるでしょう?

そんな輩がいるのなら私が直ぐにでも剣の錆にして鉄槌を下し……


「済まなかったな。クレイを見つけたはいいが、本当に気持ち良さそうに眠っていたから……ついミイラ取りがミイラになってしまった」

「ご主人様、お気になさらずに」

「そうですよ!!カイト様は少し頑張り過ぎです!!もう少し休まれても……ってあれ?これって……」


シーナは何かに思い至ったかのように首を傾げて私の方に向き直りました。


「……どうしたんだ?シーナ」

「えーっと、その、さっきシアさんと話していたことと何だか少し似ていて……ね、シアさん?」

「……そうですね。休まれることはそれ以降の活動を頑張るためにも重要なことです。ご主人様が私に教えて下さったことです。いずれにしてもご主人様がお気になさることはありませんよ」

「……ああ、そうだな。その通りだ。……俺が休んでいるんだから、二人も疲れたら気にせず休むんだぞ?」

「カイト様……」

「言ったでしょ?ご主人様はこのように言って下さるとてもお優しい方だと」

「……そうですね」

「今後はシーナも疲れたら休むんですよ?」

「……はい」


私達はその後、ご主人様に促され、クレイが起きるまで一緒に休憩することに。

……それにしてもクレイは本当に気持ち良さそうに寝ていますね。

私も何だか眠たくなってきました。

……私も……


~一方その頃~





「マスターは一体どこに!?」

「カノンさん、そろそろ一端帰りましょうよ~?」

「ダメ!!見つけるまで絶対戻らないんだから!!」

「ええー!?もうご主人様も戻ってるかもしれませんよ……」

「絶対に見つけてマスターと一緒に、マスターと一緒に……」

「カノンさん、もう全く聞いていません……」





~更にその頃~





「これじゃー!!これこそが我が求めていた、主殿に頼まれた物か!!」

≪姉じゃ……これは全く関係の無い物、です。主様に頼まれた物は食材だったはずなのにどうしたら曲芸師の放るピンに辿り着くですか?≫

「なぬ!?何故それをもっと早くに言わんのじゃ、ファルよ!!」

≪さっきも言ったのに、姉じゃが、『我が一人でしかと買い物を務めて主殿に褒めてもらうんじゃ!!』と言って聞く耳持たなかった、です!≫

「ぐぬぬぅ、ええぃ、ファルは口を開けば我に文句ばかり!我は悲しいぞ!ファルがそんなに我儘に育って」

≪……姉じゃ、責任転嫁は見苦しい、です。そんなことでは主様に見放されますよ?≫

「むむぅ……。……スマン、ファルよ、ちょーっとだけ手伝ってくれんか?」

≪私は我儘ばかりなんですよね?そんな私に頼み事です?≫

「スマーン、ファルよ~、我が悪かった~!謝るから怒らないで力を貸してくれ~、主殿に嫌われるのは嫌じゃ!」

≪……全く、仕方ないですね。姉じゃは本当に……≫

「おおぅ、ファルよ、力を貸してくれるのかえ!?流石我の妹じゃ!!」

≪全く、どこまでも都合のいい姉じゃ、です。……そんな姉じゃに甘い私も大概、ですかね……≫





~そして孤島で~



んー、あれ?

私は、一体……


何だか頭に柔らかい感触が……


「お、シア、目が覚めたか?」

「……あ、ご主人様、どうなさったん……って、え!?」


私が目を開けるとそこにはご主人様のお顔が!!

しかも超至近距離です!!

どういうことですか!?

い、一体何が起こったのです!?


「……シア、ぐっすり眠ってた。カイトの膝で」

「え!?ご、ご主人様の、お、お、お膝で!?」


クレイが私に衝撃の事実を伝えてきます。



「ひゃっ!?」

「おっと……」



私が慌てて体を起こそうとするとご主人様のお顔が更に近づいてしまいます。

うーー、嬉し恥ずかしくって顔を逸らしてしまいました。


「……あー、すまん、シア。やっぱり俺がこんなことしない方がよかったか?」


ご主人様が少し悲しそうなお顔をなさってそうおっしゃいます。

私の態度が誤解を招いてしまったのでしょう。

……もう、私のバカ!!


「ご主人様、それは……」

「……シアさんは恥ずかしくって顔を逸らしたんですよ、カイト様」

「そう、なのか?」

「そうです!その通りなんです!……ご主人様にここまでしていただいて、嬉しくなりこそすれ、嫌なんてこと、この世界がひっくり返ろうと有り得ません。そんな惚けた顔を見られるとなると、とっても恥ずかしくって」


私は自分の心境を素直に吐露します。


「……そうか、なら良かったよ。シアにはいつも迷惑かけてるからな。皆のお姉さんとしてもずっと頑張ってくれている。何かシアにしてやれることは無いかな、って話をしてたらシーナがこうしたらシアにもご褒美になるからって」


シーナがそんなことを……

ご主人様に膝枕をしていただくなど私にはご褒美以外の何物でもありません。……良く、分かっていますね。


「こんなことでシアが満足してくれるんなら何よりだ。これからもシアには迷惑かけるかもしれんが頼りにしてるぞ、シア」

「シアさん、これからもよろしくお願いします」

「……シア、頼れる皆のお姉さん」


……ああ、ご主人様にこんなお言葉をかけていただけるなんて。

シーナとクレイからもとても嬉しい言葉を貰えました。



……ありがとうございます。

これからも私はお慕い申しあげるあなた様と、頼りにしてくれる皆のためだけにこの身を捧げて頑張ります。




~最後にその頃~




「ぬわー!!迷ったー!!」

≪姉じゃ……帰り位我に任せろと言ったのは誰です?≫

「言うな!何も言わんでくれ!!」

≪どうして街を出てから3分もしないうちに迷うです?孤島の入り口の見つけ辛さ最早関係ない、です≫

「くそっ、これは何かの陰謀じゃ!!我と主殿の仲を引き裂こうと策謀を張り巡らせている誰かの陰謀なのじゃ!!」

≪……姉じゃ、面倒くさい言い訳はその辺にしてそろそろ私に変わってくれませんと帰るのに日をまたぐことになりますよ?≫

「ぐわー!!何故こうなるんじゃー!?」

≪姉じゃ……本当に姉じゃは残念、です≫

⑥のシアとシーナのお話でした。

リゼルはどこに行ってもリゼルですね(笑)。

まあ皆登場してましたが主要になっていたのはシアとシーナかと思います。

ただ②の主人公のお話も今度時間ができた時に書きたいかな、と思っています。


その際はまた何かしらの記念か、もしくは特に意味も無くExtraとして上げさせていただきます。


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