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世界を救いし聖女は、聖女を止め、普通の村娘になり、普通の生活をし、普通の恋愛をし、普通に生きていく事を望みます!  作者: 光子


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大魔法使い60







村娘生活4ヶ月目ーーー。



四季の森ガーデン。

「イマル兄ちゃーん!そっち行ったよー!」

炎の塊の魔法を周りに浮かばさせ、サクヤは目的の魔物ーー熊の魔物を追い詰めるように、炎の塊を飛ばした。

普通の熊も凶暴だが、魔物に変異した熊の魔物は、目が赤く光り、爪や牙も大きく鋭く尖り、体格は元の熊よりも2倍ほど巨大化していた。

サクヤの魔法によって追い詰められた熊の魔物は、逃げた先、誘導された場所で、銃剣を持ったイマルと対峙する。

『ガァアアア!!!』

大きな声で威嚇しながら、熊の魔物はイマルに向かい、鋭い爪を向けたーー。

「よっ。と」

避けつつ、銃口を魔物の頭部に向けると、そのまま銃口を引いた。



「ーー納得いかんわ」

見事に熊の魔物を退治した後、イマルは不服そうに、近くにあった川の付近で、釣糸を垂らしながら、ボヤいた。

「どうされたのですか?」

回復担当として同行していたリーシャは、不機嫌な表情を浮かべるイマルに向かい、持参していた水筒のお茶をコップに移しながら、尋ねた。

「何で俺等が魔物の退治に行かなあかんねん。良い様に使いやがって、あの強欲村長…!」

「何だかんだ、パーティ認定されちゃったもんね、僕達」

サクヤは、リーシャが入れてくれたお茶を受け取りながら頷いた。


そう。私達は今日、何度目かになる、村長さんからの頼まれ事をしている最中。

1度、村の畑を荒らす猿の魔物を退治したのを皮切りに、ちょくちょく私達3人に、困っている悩み事等を話されるようになったのです。





3日前ーーー。


「やぁやぁ、よく来てくれたね」

「お邪魔します」

村長宅に招かれた私は、玄関で歓迎を受けた後、そのまま応接室へ案内された。

辺境の村ヘーゼルで1番大きく 和の要素が詰め込まれた、襖や畳、掛け軸などが飾られた、立派な屋敷。


「都会から来たリーシャには、しょぼく見えるでしょうが…」なんて、最初にご挨拶に来た時に言われましたが、私は、味のあるこの建物が気に入っています。


「さぁさぁ、こちらにお掛け下さい」

お言葉に応じて、囲炉裏の前に用意された座布団に座る。

「いやぁ、リーシャがこの村に来て下さって、本当に助かってますよぉ。いやいや、良い人材が来てくれました」

「そんな……恐悦至極です」

「きょうえーーん?」

難しい言葉の意味を捉えられなかった村長は一瞬、言葉を詰まらせるが、深く考えない事にしたようで、話を進める。

「リーシャが来て下さってからというもの、村のサクヤは魔法使いとして開花しましたし、イマルも随分扱いやーーコホン。元から良い男でしたが、益々、良い男になられてー」

次から次へと、お褒めの言葉を頂ける。

リーシャは恐縮しつつ、出されたお茶を1口飲んだ。


ドッドドドドッド!!

暫くすると、大きな足音が聞こえ、こちらに誰かが近寄って来るのが分かった。

「おい!クソ親父!」

「お姉ちゃん!大丈夫?」

「イマル、サクヤ」

足音の主はイマルで、勢い良く襖を開けると、険しい表情で怒鳴り、その後から、心配したような表情のサクヤが顔を出した。

「おお!随分早かったな、愚息よ」

「舐めてんちゃうぞ…!毎回毎回、リーシャはんを人質に取りはってからにーー!!」

笑顔で迎え入れる村長に対し、イマルは正反対。厳しく村長を睨み付けた。


そう。実はイマルは、村長の息子さん。


「人質だなんて物騒な……相談事があるから呼んだだけだよぉ♡」

「可愛こぶって話すな!気色悪い!」

舌を出しウィンクをする村長に向かい、イマルは傍にあった座布団を投げ付けた。


実の親子なのだが、仲は良くないらしく、大喧嘩のすえ、イマルは実家を出て、一人暮らしたと聞いている。

こうして会った時は親父。と口にされますが、外では村長と呼ぶ程、徹底して他人を貫こうとされています。


2人が喧嘩を繰り広げる中、サクヤはリーシャの傍に近寄った。

「大丈夫?まだ何もされてない?」

「サクヤまで酷いなぁ。私が何か酷い事をするみたいじゃないか」

「だって村長、イマル兄ちゃんにお願い事を聞いて貰う為に、お姉ちゃんを人質に取るから!」

「わ、私、人質に取られているのですか??」

人質になったつもりが無かったので、リーシャは一気に不安になった。

「誤解だよ、ご・か・い♡」

「40半ばのおっさんが語尾に♡マークなんて付けて喋りなはんな!!」

「おっと」

再度投げ付けられた座布団を、今度は受け止めた。

またも激しい口論をされる最中、リーシャは、自身が人質と言われた意味を、頭に巡らせた。



村長の家に来ると、必ず応接室に通されて、お茶菓子とお茶を出されて、息つく間もなくお喋りが繰り広げられて、気付けば夜になって、帰ろうとしたら、まだまだお・も・て・な・し。をしたいと呼び止められ、客間に通され、暖かい布団で眠って、また次の日、用意された朝食を取りながら、お喋りが繰り広げられて、今度こそ帰ろうとしたら、今度は悩み事があると打ち明けられて、帰れなくてーーー

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