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治療を終えると、雨に打たれびしょ濡れの2人に、リーシャはタオルを差し出した。
「あんがとさーーくっしゅん!!」
「だ、大丈夫ですか?」
雨に打たれ、体が冷えているのだから、無理も無い。
「平気や。ほんま…今日はサクヤはんとこでのんびりしよー思てたのに」
「サクヤ、心配してるでしょうね」
外を見ると、先程より雨風が強くなっているのが分かる。
こんな雨の中、いつまでも帰って来ないゲンとイマルの事をとても心配しているサクヤの様子が目に浮かぶ。
「サクヤ…!よし!今から、じいちゃんが帰るからなーー!」
「大人しくしとけよ」
「…はい」
ギロリとイマルに睨まれ、大人しく着席するゲン。
「……しゃーないな。リーシャはん、暫くこのおっさん置いてってえーか?俺、ひとっ走りして、ゲンさんの無事をサクヤはんに知らせてくるわ」
「ええ?この雨の中ですか?!」
「こんくらい、別に村の外に出んのやったら平気や。村の外に出んかったらな!」
再三、ゲンに対しキツめの忠告を入れるイマル。
「でも……」
例え村の中でも、心配は心配になる。
この雨の中……急いで、もし、イマルに何かあったら……
ゲンと同じ様に、イマルも怪我してしまった時の事を考え、ぞくりと、背筋が凍った。
「……イマル、あのーー」
「んじゃ、ちょっくら行ってくるから、そのおっさんの事よろしゅーな」
それだけ言い残すと、イマルはまた、雨風の強い外に駆け出した。
「ワシが言うのも何だが、そんなんに心配せんでも、イマルなら大丈夫だ。しっかりしてるし、身体能力も村で1番高い。ヘマな事はせんよ」
出て行ったイマルを心配するリーシャに対し、ゲンはとても落ち着いていた。
「信頼されてるんですね」
「あいつはワシの若い頃そっくりだ!なんだってちゃんとやり遂げる男だよ」
ガッハッハッと、怪我の度合いも忘れ、大きな声でゲンは笑った。
その後、再度びしょ濡れになりながら戻って来たイマルは、サクヤからの伝言『無茶するじいちゃんなんて、大っ嫌い』を伝え、ゲンの活力を根こそぎ奪った。




