村娘生活祭り後日談52
村娘生活祭り後日ーーー。
「もう行くのですか?」
祭りの次の日。
ノルゼスは村を出立する為、旅支度を済ませ、村の入口にいた。
「ああ。リーシャが幸せな事が確認出来たし、いつまでもここにいる理由は無い」
ノルゼスはこのまま、城へ戻り、また騎士として役目に戻る。ちなみに、城を辞めたのも嘘だと謝罪された。
「何や。折角和解してんから、もう少しおったら宜しいのに」
見送りには、リーシャの他にイマルとサクヤもいた。
「そういう訳にもいかない。実は、こう見えて結構重要な仕事を任されていてね。あまり長い間離れる訳にはいかないんだ」
そうですよね?私も思ってました。城で1番の騎士で、隊長とかしてましたよね?よくここまで来ましたね。そして、王様がよく許可しましたね。
「イマルもサクヤも、世話になった」
頭を下げ、礼を述べる。
「えーよ。気にせんとき」
「凄い空気の読めない人だな。って思ったけど、村にもそういう人いるし、大丈夫だよ」
これはきっとカリンの事を指す。
言われてみれば、彼女もまた猪突猛進。周りが見えず、時間が経てば、全てを忘れたように、同じ事を繰り返し、また怒られるーー。
「失礼やでサクヤはん。学習能力無いカリンのが100倍酷い」
「…そうだね」
「そ、そうならないよう、努力しよう」
ノルゼスは、リーシャに向き直した。
「では失礼します。リーシャの幸せを、遠くの地から、いつまでも祈り続けています」
「…はい。ありがとうございます」
少し気持ちが重いが、有難く好意を受け取る事にし、リーシャはお礼をした。
「おっと、そうだ」
そのまま村を出ようとしたが、ノルゼスは何かに気付き、足を止めた。
クルリと周り、イマルの元まで行くと、そっと耳打ちをする。
「リーシャを幸せに」
「ーーーは?」
「ではまたな」
言いたい事だけを言い残し、ノルゼスは手を挙げて、村を去った。
「何を言われていたのですか?」
ノルゼスが去った後、耳打ちされた内容が気になったリーシャは、イマルに尋ねた。
「知らん。何か勘違いしてんのちゃう?」
「勘違いですか。ノルゼスは色々と勘違いしそうですものね」
今回の件で少しノルゼスの事を知ったリーシャは、彼なら有り得そうと納得した。
「でも良かったよ。ノルゼスさんが本当に嫌な人じゃなくて。本当に嫌な人とかなら、無理矢理お姉ちゃんを連れて行こうとしてもおかしくないもんね」
少し一緒に狩りに行っただけだが、ノルゼスの実力は確認済み。村の人間が束になってかかっても、ノルゼスには太刀打ち出来ないと分かる。
「物騒な事言うな。誘拐やで、それ」
「だってさ、何かこうーーお姉ちゃんに対する執着過ごそうだったしさ」
「誘拐…ですか」
一緒に話を聞いていたリーシャはポツリと呟いた。
「こら。あんまり不安になる様な事言うたらあかんで」
「え?あ、ごめんなさいお姉ちゃん!そんなつもり無くて!」
イマルの注意に、サクヤは慌てて謝罪した。
「いえ。私なら平気ですよ」
「ごめんね、怖がらせちゃって…」
私は本当に何も気にしていない。
少なくとも、ノルゼスにはーーー城の関係者が、私を無理矢理連れ戻すなんて事は、出来ないはずだから。
国の面子など、色々理由はあるけど、私を連れ戻したいなら、私を説得してみせるしかない。
「私は、この村や、ここに住んでいる人達が大好きなので、絶対にここから離れませんよ」
「お姉ちゃんー!うん!良かった!」
リーシャの台詞に、サクヤは喜んで、抱き着いた。
でも、城から、こんなふうに、私を連れ戻そうとする人が来るとは、思わなかった。
(王様も王子様も、私の願いに特に反対されなかったのに…)
注意 それは、リーシャが早々に平民の生活に根を上げ、城に戻ってくると思っていたから。
(また……誰か来たり、しませんように)
静かに平和に過ごしていきたいリーシャは、晴天の空を見上げながら、切実に願った。




