第一章5-4 奴隷商から後・ユリアの苦悶と警戒 ◇
――――ユリア――――
今は、馬車に揺られながら王都を目指しています。
もう、あと2日もすれば王都へ着くでしょう。
本当なら飛び上がって喜ぶことでしょうが、今の私は、私の心は複雑です。
それは、前の街で買った。奴隷に関係することです。
奴隷の名前は、ナターシャ。ダークエルフで20歳と若くそして、綺麗な女性でした。
さらさらの銀髪に、大きな胸、くびれた腰、そして女性を強く思わせる滑らかな曲線を描いているお尻。
女の私でさえ息を飲むほど美しい女性でした。
それに、奴隷という身でありながらも、堂々とした気品と言うものが感じられます。
たぶん、奴隷になる前は、それなりの身分のダークエルフだったのでしょう。
しかし、ダークエルフです。
ダークエルフは、エルフほど高い魔力を持ってはいませんが、人間よりは魔力が高く、寿命も人間のおよそ3倍で300年は生きると聞きます。
人であっても、人間ではない、ダークエルフは恐れられています。
ダークエルフを普通の人間ならいくら美しくても、優れていようとも買うことはしません。
まあ、キルア様は普通の人間どころか人外で黒竜なんですけど・・・。
そういえばそうでした・・・。黒竜の方がキルア様と比べると、ダークエルフは普通の人間に見えてきますね。
それにしても、色々とあのダークエルフ・・・ナターシャを見ていると少し心がざらざらします。
昨日までは、無表情であまり動かず、奴隷のようでしたが、今は、というか、昨日の夜からでしょうか?
お風呂から戻ると、キルア様とナターシャは裸でベッドの上にいて、しかも、ナターシャは泣いていますし・・・。
正直、ナターシャを無理やり手篭めにしたと思って、キルア様にお説教しましたが、どうやらそうではないようです。
今は街から出て、一度目の夜を迎えましたが、キルア様に対するナターシャの態度が奴隷というモノの態度ではありません・・・あれは、そう、愛しい者への愛情が他人の私にも感じ取れます。
というか、ひと目見れば得分かります・・・。
夜になったて休むために荷馬車を路肩に止めた後。夕食を摂り、私が不寝番をするために荷台から降りたすぐ後のことです。普通なら用意しておいた毛布に包まり、眠るだけで終わりだったんですが、ナターシャは、服をすべて脱ぎ、キルア様と一緒に毛布に一つ毛布に自分から・・・自分から入ったんです!
しかもなんですかあの笑顔っ! キルア様の背中から抱きつき幸せそうに眠ってますっ!
3人になったことで、荷台が狭くなり、外で不寝番をしなくてはいけないと言うのに・・・。
まったくっ・・・!
私のキルア様をっ・・・と? キルア様の物が私なんですから私が怒る権利はない?
というより、キルア様は王族を救ってもらうために、交換条件で僕になったんですから、私は、何を嫉妬しているのでしょう?
「んっ・・・キルア様っ・・・あ、あまり動かないでくださいくすぐったいですよぉ・・・」
「いいじゃないか、もっと味あわせろ」
「・・・・」
荷台からナターシャの厭らしい声が聞こえてきます・・・。
キルア様は、まだ人間の体に慣れていないので性行為はまだ出来ないと言っていましたが・・・なんだか、むかつきますね。
宿屋での風呂を覗いていた時は、あんなに嫌がっていたと言うのに・・・。
今は、喜んでいるようですしっ、なんでしょうかこの女!
こんなに変わるものなんですか!?
イライラします。
それに、首輪と腕輪・・・。何も壊すことは無いでしょうに・・・。
あれだけでも金貨2枚はしたでしょうに・・・。
ああ、荷台でイチャイチャしてる・・・。私が、不寝番で固い地面に座っていると言うのに・・・。
ああ、魔物でもなんでもいいから、思い切り剣を振るいたい気分です・・・。
あと、2日。後2日もあります・・・
今回ユリアです!




